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~第二章:冒険者編(初期)~

53ページ目…冒険者ギルド【1】

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 さて皆さん、僕は何処にいるでしょうか?

 こっこで~す、ここ、ここッ!
 と、某テレビ番組みたいに言ってみたが、何て事はない…。
 特別な場所にいるなんて事もなく、単に冒険者ギルドの入り口にいたりする。

「さて、二人とも準備は良いかな?」

 と、すぐ後ろの…クズハに声を掛ける。
 もっとも、プリンに関しては俺の着ている鎧に擬態しているので、直接声が聞こえる事はない。

〔はい、ご主人様。〕
「だ、大丈夫です、ご主人様。」

 と、二人から返事が来る。
 その返事を聞いた後、僕達はギルドの扉を潜った。

◆◇◆◇◆◇◆

「受付番号62番のお客様、お待たせしました。
 6番窓口にお越しください。」

 と、案内係の人の声が聞こえた。
 受付番号62番…おっと、僕達の番号札だな。

「んじゃ、行くか!」

 と、気合いを入れて受付に向かう。

「冒険者の新規登録ですね?
 それでは、こちらの記入用紙に分かる範囲で良いので、ご記入お願いします。」
「分かりました!」

 と、返事をして記入台へと向かう。

『サラ、サラ…サラまわし…。』

 っと、分かる所は、こんな所かな。
 どうやら、クズハも書き終わったので二人で記入用紙を提出。
 再び呼ばれるのを待つ…。

◆◇◆◇◆◇◆

 再び、『受付番号62番のお客様~こちらの部屋へどうぞ~』っと呼ばれたので、僕達は案内係の指示に従い部屋に入る。
 すると、そのまま少し待つ様に言われたので、用意された椅子に座って待つ事になった。

『コンコンッ』

 と、軽いノックの後に部屋の扉を開けて、ライオンみたいなゴツイおっさんが入ってきた。
 すぐに〖神眼〗で確認をする…情報によると獅子族《ししぞく》の獣人らしい。

「いや~、待たせてすまない、ちょっと手が離せなくてな。
 私がこのギルドのギルドマスターのラオンだ。
 さっそくで悪いんだが…本題に入らせて貰う…幾つか質問するが構わんかな?
「は、はぁ…。」

 相手が獣人と言う事もあり、個人的に、いったい何を聞いてくるのか不安になってくるのがだ…。

「一昨日、役所の方から連絡があったムゲン君と言うのは君の事かね?」
「はて?どんな内容でしょうか?」
「森で奴隷商人が襲われてるのを助けたと言う話だったが…。」
「あ~…はい、それなら確かに僕ですね。
 ですが、僕が助けたのは、奴隷商人と言うか、護衛の人?ですよ。
 ついでに言うと、この女の子が、その時に助けたクズハです。」

 何もやましい事がないので、僕は正直に話す。
 すると、やはりか…と呟いてラオンさんの少し険しくなる…。
 何か問題があったのだろうか?

「あの…何か問題があったのでしょうか?」
「それがだね…君は知らないかもしれないが…妖狐族と言うのは魔物と認識されていてだね…。
 困った事に、このままギルドカードの発行と言う訳にはいかないんだよ…。」
「えっと…どう言う事ですか?」

 まさか、ギルドカードの発行が出来ないって事なのか?

「いや…その…だね、君がその子の持ち主・・・って話はすでに聞いているんだが、ちゃんと言う事を聞くのか…って事なんだ。
 もし、君の言う事を聞かないのであれば、討伐…と言う事にもなりかねないって事だ。」
「はぁ?何言ってるんですか!クズハは、ちゃんと僕の言う事を聞いてくれます。
 それに、彼女は魔物じゃない!普通の女の子だ!!」

 と、あまりの理不尽さに、僕が怒りを抑えきれず怒鳴る…すると、僕の身体から魔力が溢れ出してしまった。

「ま、待ちたまえ!私の話を最後まで聞いてくれ!」

 と、慌ててラオンさんが言ってきた。

「…それで、話と言うのは?」

 僕は、何とか怒りを静めて、話を再開させる。

「その件については、あくまでも表向きの話…大した話じゃない。
 私が、問題なかった…と、判を押せば済む話だ。
 ただ、他のヤツ達だと分からないかもしれないが…、そちらのクズハ君より、君の方が危険だと私の危機感知能力がずっと訴えてきているのだ。
 私は、その理由が知りたいのだ…。」

 ラオンさんは獣人だからか、そんな感覚に優れているいるのだろう。
 それに、おそらくラオンさんが感じているのは、僕ではなくプリンの事だろう。

「分かりました…ですが、条件があります。
 貴方は、先ほどクズハが魔物であっても大した問題じゃないと言いましたよね?」
「あぁ、魔物とは言え、良い魔物や悪い魔物だっている。
 現に…魔物であるゴブリンの中には、我々と商売をする友好的な者もいる。
 だから、私は、ただ魔物だからと言って、敵と決めつけたりはしない。」
「そうですか…なら、秘密を教えます。
 ですが…おそらく他の人にバレると問題があると思うのですが…ここは安全ですか?」
「ならば…誰も出入り出来ず、声とかも漏れない結界を張ろう。
 元々、この部屋はそう言う秘匿な話をする為の部屋だからな。」

 と…ラオンさんは、そう言うと呪文を唱えて結界を張る。

 〖神眼〗で見ていたのだが、残念ながら魔法ではなく魔導具による結界だった為、魔法を覚える事が出来なかった。

「さて、これで誰にも知られる事はない。
 もっとも、個人的に言えば、私自身、知りたいとは思っていないのだが…立場上、そうも言ってられないからね。」

 僕は大変ですね…と苦笑しながら、この人なら大丈夫だ…と思い、秘密を明かす事にしたのだった…。
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