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~第二章:冒険者編(初期)~

51ページ目…朝の一時

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『チュチュン…チュチュン…』

 どうやら朝の様だ。
 だけど、僕はまだ眠い…スタトの塔でどれだけ時間が経ったのか分からないが、昨日は色々な事があった所為か、残念ながらまだ体から疲れが抜けきっていないのだ。

「ご、ご主人様、朝ですよ…起きてください。」

 と、クズハが起こしに来る…だけど、僕はまだ起きたくない。
 と言うより、動きたくないのだ。

 僕は無限庫インベントリから財布を取り出すと、クズハに投げて渡す。

「え?ご、ご主人様、コレは?」

 急に財布を渡された事により、慌てるクズハ。
 そんなクズハに、ある頼み事をする事にした。

「悪い、食堂に行って適当に朝食をテイクアウトしてきて…。」

 と、クズハにお願いする。
 どのみち、プリンは食堂で食べれないからテイクアウトは必要だ。

 だったら、みんなの分もテイクアウトして部屋で食べた方が早い。
 と言い訳してみたが、結局の所、本音は『動きたくない』だ。
 それを察した様で、クズハは『それでは行ってきます。』と買い出しに行ってくれた。

〔ご主人様、ご飯…。〕

 と、今度はプリンが言ってくる。
 だが、何度も言う様に、今日の僕は動きたくないのだ…。

「今、クズハが買いに行ってくれてるよ。
 待てないなら、昨日の残りがあるだろうから、適当に食べてな?」

 と伝えると、プリンは離れていった。
 そして、僕は再び意識を手放した。

『もぞもぞ…もぞもぞ…ちゅッ♪』

 何者かが僕の口を塞いだ…まぁ、予想はしていたが、目を開ける。
 やはり、犯人はプリンだった。
 だが、目を開けたのにプリンは離れようとしない。
 そして、僕から何かを奪い取るか如く、そのままキスを続けた。

 まぁ、実際、吸われたんですけどね?色々と…。

 僕のHPとMPが減っている…理由としてはプリンが〖強奪の接吻ドレイン・キッス〗で僕から奪ったのだ。

 それは別に問題はない…何せ、時間が経てば自動的に回復するからだ。
 だが、僕から奪う理由がわからない…。

「プリン、どうしてこんな事をしたんだ?」

 と、問いかけると素直に教えてくれた。

〔ご飯はお腹は膨れたけど、その…力が吸収出来なかった…。〕

 と、申し訳なさそうに言ってきた。
 詳しく聞けば、何て事はない…スライムとしての性質上の問題だった。
 つまり、生き物を体内に取り込み、そこからHPやMPを取り込む事により命を繋いでいるのだ。

 その話を聞いて、改めて今までの事を考えてみる…。

 昨日、僕は彼女と戦った…その時に、僕は彼女の体を大量に破壊した。
 進化して体の質量そのものは復活したが、その後が悪い。
 魚は食べたが焼き魚…既に死んでいる。
 彼女の言う力とやらは吸収出来なかったのだろう。

 次に〖融合〗…魔王化だ。
 普通の時ならまだしも、進化したばかりで大して回復出来なかったはずだ。
 そう考えれば、〖融合〗してかなりの負担だったはずだ。

 そして、クズハを助ける為の戦闘…まぁ、これは大した事じゃないが、それでも宿屋で食べたご飯…これもまた生き物からじゃないので力を吸収出来なかったのだろう…。
 つまり、今のが僕と出会って、本当の意味・・・・・でのご飯と言う事になる。
 そりゃ、何度もご飯とお強請ねだりする訳だ…。

「プリン、そう言う大事な事は先に言いなさい。
 そりゃ、僕も命まで奪われたら困るけど、力を分けあげるくらいならば、大した事じゃないんだから…ね?」

 と言ってから、今度は僕から彼女にキスをする。
 いつまでも僕がキスを止めない事で、プリンは僕の考えを察した様だ。
 そして、プリンは再び僕から力を吸収し始めた。

 結果、僕は限界近くまで、彼女に力を分けてあげる事となる。
 流石に限界まで力を分け与えた所為か…今日は、もう動きたくなくなる程の怠さがある。

 そんな時、ちょうど食堂から帰って来たクズハに、二度手間になるが宿屋の女将にもう1泊すると事を伝えて貰う事にした。
 ついでに、お金が足りなくなると悪いので銀貨も数枚渡しておく。

 しばらくすると、クズハが戻って来たので、みんな仲良くご飯にしてた。
 その日、僕は1日中、プリンを抱き枕にして、ゴロゴロ寝て過ごした。

【称号:〖怠惰たいだ〗を獲得した。】

 って、なんでやねん!と、ツッコミしたかったのだが、今回は怠いから止めて眠る事にしたのだった…。
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