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~第二章:冒険者編(初期)~

50ページ目…お風呂でイベント

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 あまり関わり合いたくなかったが、犬?に餌をあげた僕達は宿屋に戻ってきた。
 で、その後、何をしたかと言うと…食堂でお腹いっぱいになるまで食べた。

 黒パンだっけ?ちょっと硬くて食べるとガリガリとした触感だったが、一緒に頼んだスープに浸して食べると、ちょうど良い柔らかさになって、かなり満足いく料理だった。

 それ以外にも、何たら肉のステーキやら、山賊焼きってのも食べた。
 あと、部屋で食べるからと、部屋にテイクアウトするのも忘れない。
 流石に、食堂で食べ物を鞄に入れると目立ってしまうからだ。

〔ご主人様、私のご飯~…ポロポロ…。〕

 なお、僕達は部屋に戻るまで、お腹を空かせて泣いているイメージを器用に送ってくるプリンを、半ば無視する感じで食べまくった。
 ちなみに、お詫びの意味を兼ねたテイクアウトした料理の量が、かなりの量になってしまったのはご愛敬だ。

 部屋に帰った僕達は、急いで部屋の鍵を掛けると、プリンに〖擬態〗を解除させた。
 そして…プリンは〖人化〗を使い、テイクアウトした食べ物を夢中になって食べ始めたのだった…。

 その後は、風呂の順番が来るのを待つだけなのだが、やっと気が休まった所為か眠気に襲われた。
 僕は、プリン達に順番が来たら起こしてくれる様にお願いして、軽く寝る事にした。

◆◇◆◇◆◇◆

「ご、ご主人様、起きてください…お風呂の順番が来ましたよ。」
〔クズハさん、そんな起こし方じゃダメです。
 私が起こしますので離れてください。〕
「は、はい。」

 そんな会話が僕の耳に聞こえたが、残念ながら、眠い物は眠いのだ。
 なので、僕はそのまま寝ようとしたのだが…。

『ちゅッ♪』

 僕の唇に柔らかい物が押し当てられる。
 たぶん、僕のよく知っている物だ…なので、僕はゆっくりと目を開けた。

「もがもが…。」

 口を塞がれているので、上手く言葉が出ないが、コレで起きた事は伝わったはずだ。
 プリンも起きた事に気が付いたみたいで、離れる…事はなく、そのまま僕を抱きしめ舌を入れてきた。
 もっとも、まだ〖人化〗のレベルが低く、舌もゼリー状なので、舌と言って良いのか微妙なのだが…。

 何はともあれ、少しの間、プリンはその感触を楽しんだ後、離れてくれた。
 個人的には、もう少し楽しみたかったので残念だったが…プリンが顔を真っ赤にして離れた所を見ると、今のが彼女の精一杯の努力だったのだと思う。

 ちなみに、クズハはと言うと…両手で顔を隠しているが、めっちゃ指の間からしっかり見られていた。

◆◇◆◇◆◇◆

 と、まぁ…そんな事もあったが、今は全員で風呂に来ている。
 相変わらず、プリンには〖擬態〗を使って貰い移動しないといけないのだが…早く見分けが付かないほど〖人化〗のレベルが上がって欲しい所だと、改めて思った。

 まぁ、部屋にいる時は、他の人に見られない時でも〖人化〗を使う様にさせているので、そんな遠い未来ではないと思う。

〔ご主人様、お背中流しますので、こちらへ♪〕

 と、プリンが僕を呼んでいる。
 なので、少し恥ずかしいが、僕は遠慮せずに背中を流して貰う事にした。

「わ、私もご主人様のお背中流したい…です。」

 とは、クズハの台詞だ。
 何やら二人で話し合い、背中を流す順番を決めている様だった。
 個人的に順番はどっちでも良いので、早く洗って欲しいなと思いつつ、話し合いが終わるのを、静かに待った。

「ご主人様、お待たせしました…私達・・がお背中流しますね。」

 と言って、プリンが背中にお湯を掛けてくれる。
 そして、次の瞬間…。

『ぷにゅんッ♪』

 僕の背中に柔らかく、すごく気持ちの良い物が押し付けられた。

「よ、よいしょ、よいしょ…っと」

 声と気配からすると、クズハが体全体を使って背中を洗っている様だ。
 って、ちょっと待て…それは18禁のイベントじゃないのか!?

 僕は慌てて注意する為に振り返る…そこには、自分の体を使い洗ってるクズハが…いない。
 クズハはちゃんと大きなスポンジで体を隠している…うん、文句なし健全的で良い。
 18禁イベントじゃなくて一安心だ。
 もちろん、クズハもバスタオルを巻いて、大事な所は隠している。

 だとすると、さっきの『すごく気持ちの良い物』は何だったんだろう…。
 そこで、ある事に気が付いた。

「あれ?…プリンは?」

 そう…さっきまでクズハの側にいたはずの、人型で居たプリンの姿が見えないのだ。
〔ご主人様、呼びました?〕

 と、すぐに返事が来た。
 声はすれども姿は見えず…かと言って、魔王化と違い〖融合〗はしてない…。
 つまり、何処かにいるはずだ…。

 僕は周囲を、隈無くまなく観察する…。
 どこだ?いったい、どこにいるんだ…どこなんだ?

 次の瞬間、僕の中にあるか分からない第六感が働いた気がした。
 それは…そこだ~~~~~ッ!!

 そこには、クズハが僕の体を洗っていた物、それは大きなスポンジだった。
 『すごく気持ちが良い物』の正体…それこそがプリンだったのだ。
 えっと…勿体ぶって、ごめんなさい。

 簡単に説明すると、プリンは人型からスライムに戻る。
 更に、〖擬態〗を使いスポンジと姿を変えた様だ。
 そして、クズハはスポンジと姿を変えたプリンを使い、僕の背中を洗う。
 それを、僕はクズハのと勘違いした事になる。

 ある意味、勘違いで良かった…が、移動中でも思ったが、やはりプリンは気持ちが良いのが確認出来た。

「って、そうじゃないッ!!なんでプリンで洗ってんだよッ!」
「え、あ、あの…その…二人でご主人様を洗う方法を考えていましたらプリン様が、この方が良いと…。」
〔どうですか、ご主人様?すごく気持ち良さそうだったし、良い考えだったでしょ?〕

 …さて、僕はどうしたら良いのでしょう。

 1.プリンに叱りつける。
 2.クズハを叱りつける。
 3.二人とも叱りつける。

 僕は、それ以外の選択肢を…4.二人に罰を与える…を選択した。

 僕はクズハからプリンを奪い取ると後ろへ投げる。
 次に、クズハのタオルを剥ぎ取り、親戚のクソガキを洗うか如く、力任せに洗うと風呂に放り投げた。

『ザバーーーンッ!』

 ちょっと…いや、かなり予想以上に水飛沫みずしぶきが上がったが気にしない。

 そして、今度はプリンを捕まえて優しく…とても優しく洗う。
 町に着くまでの間、プリンを触りまくった結果、どこが弱点・・か見付けてある。
 その弱点を特に念入りに優しく洗う…。

〔あ…あん、いや、やめて…それ以上はもうラメ、ラメーーーーーッ!!〕

 と、一際、大きな声を上げて、ピクピクして動かなくなる。
 そして、ゆっくりとプリンを持ち上げて、一緒に風呂に入った。

「ふ~…コレに懲りたら、二度と変な事をしない。
 二人とも、分かったッ!!」

 それまでの間、僕は一言も喋っていない。
 その為、効果抜群だったみたいで、クズハは慌てて無言で何度も肯いている。
 よほど、プリンの反応に恐怖を覚えたのだろう。

 そして…プリンはと言うと、未だにピクピクして返事がない。

 大丈夫かな?と思って、軽く表面を触ると『ビクッ!』と反応する物の、再びピクピクして返事すらない。

 5分ほど湯船に浸かっていたのだが、プリンが反応が変わらないので、仕方なくクズハにプリンの事を任せると、僕は先に部屋へと帰った。
 その後、部屋で待ってるとクズハがタオルに来るんだプリンを持ち帰ってきてくれたのだった…。

◆◇◆◇◆◇◆

 部屋に戻ると、風呂場での一件が引き金となったのか、旅の疲れが出たのか、少し寝ていたのにも関わらず、一気に眠気がやってきた。

「ごめん、僕は先に寝るから、クズハもプリンが気が付くのを待たなくても良いから、早めに寝なよ?」

 と、クズハに声を掛けて先に寝る事にしたのだが…プリン、本当に大丈夫かな?と、心配になりプリンを軽く撫でる。
 すると、再び、ビクッビクッと反応すると、またピクピクと小刻みに震えるだけで、プリンは何も言わない…。

「クズハ、もし起きてる時にプリンが目を覚ましたら、やり過ぎたゴメンって謝っておいて。」

 と伝言をお願いして、今度こそ、僕は深い眠りに落ちたのだった…反省…。
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