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~第二章:冒険者編(初期)~

45ページ目…宿屋へ向かおう

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 役所を出た僕達は、その足で奴隷商へと向かう。
 場所に関しては、役所の人が分かりやすく教えてくれていたので、直ぐに見付ける事が出来た。
 そして、奴隷商でクズハを正式に僕の奴隷とする為の契約をする事となった。

『ボッ!』

 クズハと奴隷契約を済ませたら、いきなり契約書が燃えてしまった。
 だが、それは契約したら必ず起こる現象で、燃えないと言う事は契約が成されていない証拠だったらしい。
 つまり、クズハは僕の奴隷になった瞬間である。

 あの後、僕達は役所の人から奴隷譲渡の書類を受け取った後、すぐに奴隷市場に来た。
 そして、奴隷商人に貰った書類を見せたら、店の奥に案内され…あれよあれよと話が進み、クズハは僕の奴隷となった。
 本当は、クズハを売る選択肢もあったのだが、クズハも僕の奴隷になりたいと言った事で、その選択肢は消えていた。

「はい、これで手続きは全て完了です。
 今から、その子は、正式にムゲンさんの奴隷になります。」
「えっと…契約書が燃えたんですが、本当に良かったんですか?」
「はい、契約書が燃えた事により、見えない鎖と言いますか…絆と言いますか…2人の間に主従関係が結ばれました。」

 なるほど…なんとなく理解出来た。
 っと、クズハの首輪について聞かないと…だな。

「そう良いば…この子を奴隷から解放する事は出来るんですか?」
「えぇ、それは可能です。
 ですが…奴隷も立派な財産ですから、まず解放する人なんていませんよ?」

 へぇ~、そうなんだ…奴隷になりたくてなった訳でもないだろうに、一生奴隷なんて、なんか可哀想だな…。

「あ、あの!私、もう帰る場所がないから奴隷から解放しないでください、お願いします!」
「えッ!そうなのッ!?」

 出来るだけ早い内に、クズハの事を開放しようと思ったら、奴隷のままが良いと言われるのは予想外だ。

〔ご主人様…町の中だと私が手伝えない時もありますし…この子に手伝わせてみては?〕
〔な、なるほど、確かに僕一人だと不安だしね…。〕

 と、念話で言って僕は宿屋の場所を見た。

「な、なら、クズハ、このまま宿屋に向かう事にしよう…か。」

 一応、念の為…と、断ってから奴隷商人に、奴隷からの解放…首輪の外し方だけ聞いて、僕達は宿屋に向かうのであった…。

◆◇◆◇◆◇◆

 ってな訳で、大した出来事イベントもなく僕達は無事に宿屋に着いた。
 なんでも、ここの町には珍しく温泉が湧いてる場所があるらしく、温泉に入れる宿屋との事だ…やはり風呂と言う物は日本人にとって命の泉だと思う。

「あの、部屋を借りたいんですが…2部屋空いてますか?」
「あちゃ~、申し訳ない!今日は珍しく予約客で一杯でして…。
 生憎《あいにく》と、空いてる部屋は2人部屋が1部屋しか空いてないんですよ…。」

〔同じ部屋か…プリンの事もあるし、どうしよっか?〕

 と、僕はプリンに念話で尋ねた。

〔ご主人様、クズハはまだ首輪・・を着けたままなのですから、騒がない様に言えば大丈夫だと思われますが?〕
〔なるほど…プリンがそう言うなら大丈夫…なのかな?〕

「…クズハ、部屋が一つしか無いらしいけど、僕と一緒の部屋で大丈夫かな?」
「は、はい、大丈夫です…と言うか、私でしたら馬小屋の隅でも貸していただければ、それだけでも…。」

 馬小屋の隅って…それなら同じ部屋の方が何倍もマシだろ…。
 そうと決まれば…その部屋を借りよう。

「えっと…なら、その部屋をお借り出来ますか?」
「はいよ、なら…一泊、400ゴルドだよ。」

『チャリン…チャリン…チャリン…。』

 400ゴルドとの事だったので、僕は大銅貨4枚で支払う。

「はい、確かに…じゃ~コレが部屋の鍵ね。
 部屋は2階の一番奥の部屋だから、すぐに分かる筈だよ。
 あと、食事は1階の食堂で食べる事も出来るし、外へ食べに出ても良いからね?
 うちで食べるなら、サービスするよ。
 それと、風呂の順番が来たら、部屋に呼びに行くけど…留守だと最後に回すから注意しておくれ?」
「了解です…それなら先に部屋に荷物を置いて、食事とかの前に町で買い物を済ませて来ます。
 部屋の鍵はどうしたら良いですか?」
「あぁ、それなら鍵は預かっておくよ。
 その代わり、このカードを持ってお行き。
 帰ってきたら、そのカードと部屋の鍵を交換さね。
 まぁ、酔っぱらって鍵を無くすお客さんが多かったから、紛失対策って事で…ごめんなさいね?」

 なるほど…そうやって鍵を無くさない様にするのか良いシステムだ…と思う。
 じぃちゃん曰く、備えあれば嬉しいな…じゃなかった、備えあれば憂い無し…ってヤツだ。
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