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~第一章:冒険開始~

34ページ目…姫様、ご乱心?

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〔何故じゃ、なぜ妾じゃダメだのじゃ!〕

 いや、何故って言われても…ね?
 そりゃ、好きだって告白されたら事自体は、非常に嬉しい。
 …が、人として、スライムに告白されるってどうよ?って話だ。

「何故も何も…僕は人間だからとしか…。」

〔その様な事は分かっておる!
 じゃが、そんな些細な事を聞いておるのではない。
 妾では、お主に釣り合わないとでも言うのか?〕

 へ、へぇ~…人間とスライムってのは些細な事なのか…さすが異世界、もう何でもありだな…。

「って言うか…会ったばかりの僕の何が好きな訳?」
〔もちろん、妾を倒すほどの強さじゃ。〕
「あのさ…正直な話、僕の方が倒されてる気がするんだけど?」

 もう、僕はまともに動く事すら出来ない。
 そして、スライムは、HPこそ減ってはいるが進化しているし、ピンピンしている。

〔何を言っておるのじゃ?
 妾は先ほど、お主の攻撃で負けたではないか。〕
「…そ、そうなのか?」

 両者の姿を見ると逆な気がするが…。

〔うむ…そうなのじゃ。
 それ故、妾はお主が欲しいと言うておるのじゃ。〕

 あれ?でも、その理屈って…なんか違うんじゃないか?
 ゲームとかだと、勝者が敗者を好きにするって話では聞くが、敗者が勝者を…ってのは逆な気がする。
 まずは、そこの所を確認しないとダメな気がする。

「もう一度確認するけど…勝ったのは僕で、負けたのは君…で合ってるよね?」
〔お主もしつこいの~!先程から妾が負けだと言っておるじゃろが!〕
「それって…負けた君が、僕を欲しいから君の物になれって言うんじゃなくて…勝った僕が、君を欲しいから俺の物になれって言うのが正しいんじゃないのかな?」
〔う、うぐぅ…そ、それは…そうなのじゃが…妾が惚れてしまったのじゃから、妾が言うのが正解なのじゃ…。〕

 それ、どんな理屈だよ…。

「僕は君の物になる気はないよ!
 でも、君が僕の物になるって言うなら、考えなくもない…かな。」

 じぃちゃん曰く、ピンチの時ほど、相手より上に立て…だ。
 今までの話の流れだと、僕がスライムの支配下にって言う感じだしね。
 だけど、勝負に勝ったのは僕と言ってるのだから、スライムが僕の支配下に…だ。
 ここで間違えたら、後が大変な事になるのは目に見えている。

 ただし、現時点で、再び戦闘になると、僕の方が圧倒的に不利…と言うか、確実に負ける。
 上手く誘導しなきゃ待ってるのは死だけだ。

〔よく判らんのじゃが…どちらでも同じ事ではないのか?〕
「全然違う!僕が君の物だと、僕は君の言う事を聞かなければいけない。
 逆に、君が僕の物だと、君は僕の言う事を聞かないといけない。
 勝負に勝ったのが僕なんだから、君が僕の物になるのが正しいと思うんだけど、そこの所どう思う?」
〔ふむ…言われて見れば、確かに少し違うようじゃな…。
 ならば、妾をお主の物にしてくれぬか?これならば良いのであろう?〕
「えぇ~!本気《マジ》で良いのッ!?」

 自分で言って置いて、それはどうかと思うぞ?

〔何を言っておるのじゃ…お主が今言った事ではないか!
 それに、先程も言ったが、妾はお主に惚れたと言っておる…先に惚れた方が負けなのじゃ。〕
「えっと…なら、そう言う事で…これからよろしくお願いします…?」
〔うむ、不束者《ふつつかもの》じゃが、末永く愛してたもれ。〕

 いや、不束者って…嫁じゃないんだから…。
 …嫁じゃないよね?仲間って事だよね!?

 色々と腑に落ちない事が多々あるが…どうやら、スライムが仲間になった様だ。
 ってか、絶対に何か間違ってると思う…。

 僕はいったい何処で何の選択肢を間違えたのか…と、後悔しながら途方に暮れていた…あぁ、お腹が減ったな…。

【称号:〖魔王の欠片〗を手に入れた。】
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