けもの

夢人

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けもの吠える2

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 隠れ家に戻ると次々に薬売りが戻ってくる。藤堂の軍は城に引き上げたという。家老を始め死んだ者は5人、怪我をしたものは高吉を入れて5人。だが撃たれて引き上げるか。高虎なら死に物狂いで攻めてくる。2刻後に宗矩も兵を山から引き揚げた。
「狐は?」
「谷に仕掛けを作りに出かけました」
「ムササビは?」
「鼠と伊賀上野城に出かけました。下忍を5人連れて行きました。服部屋の隠し納屋に火薬があるそうです」
「火薬はまだまだいる」
 仕掛けを見て回っていたら狐が15人を連れて戻ってきた。彼女はさっそく地図を開いて古い隠れ家に繋がる谷道を指した。ここは狭い尾根道より攻めてくるのは都合のいい道だ。どうしても古い隠れ家から探すはずだ。
「第1戦は成功したようね?」
「これからだ。兵が攻め込むのは難しい。今動いているのは?」
「宗矩が残していった40人の柳生だけど、まだ麓の村に残っている。誰かを待っているようね?」
「京之助殿は?」
「狼の骨をともらってこの奥の山に籠っておられます」
 夜になってムササビと鼠が戻ってきた。それぞれが火薬を背負っている。
「伊賀上野城に天海が入ったようです。幕府の鉄砲隊を3百率いてきています」
「やはり出て来たか天海」
 たかがけものを追い詰める気だ。だがけものも吠えるぞ。
「服部は?」
「それが情報が入らない」
「山側にも樵を出してみた方がいい」
「城には?」
「私も服部の隠れ家を探しましたが、誰一人いませんでした」
と鼠が答える。













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