けもの

夢人

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総攻撃7

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 急な渓谷を1刻登ると川幅が狭くなった。
「全員たどり着いたのか?」
「ええ、最後の京之助を狼が担いできた。ここからその前の山を越えたら隠れ家に通じる獣道に出る。もうここまで抜けると地獄谷の猛獣はいない」
「だが服部を確かめないとな?」
「そうよ。まだ着いてくるようなら付けられる恐れがある」
 それで京之助達弱ったものを置いて狗と狼と狐で地獄谷の方に戻ることにした。川筋を少し戻り崖を上る。
「服部は総勢3百だった。だが最後の戦いの時には半分になっていたと思う」
「だがそれで引き下がる服部ではないわ」
 崖道を登ると狼は指を指した。胴体を引きちぎられた服部の下忍が枝に突き刺されている。やはり襲われたようだ。それから半刻したところに狼の死体が10頭がちらばってあり、服部も同数転がっている。狗が合図をして3人が木に飛びつく。ここは森が深く夜のように何時も暗い。だが3人とも夜目は強い。
「少なくとも50頭がこちらに向かっています」
 狼が伝える。
「服部じゃないの?」
 狐が言い返す。
「いえ、四足です」
 先頭に走ってきた狼を見て驚いた。倍の大きさの狼だ。
「これなら半蔵も食われるだろう」
「お婆の話にも出て来た化け物だわ。やはり本当だった」
 狗のいる木のところで止まって上を向いて吠えた。
「迂闊に下に降りれないな」
と木の上を渡って狼が来た方向に進む。
 火が燃え上っている。服部が円陣を組んでいる。
「50人ほどがいます。狼も10頭ほど死んでいます。怪我人も相当いるようです」
「もう少し近づくぞ」
 狗の目に横たわっている半蔵がいる。やはりあの時京之助の剣が伸びて半蔵の脇腹を割いたのだ。









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