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二人の家康3

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 夜になって狼を連れて蔵に近づく。ここは蝙蝠に昼の間に調べさせている。ここは服部も柳生も近づけない。修験者が50人ほど棲みついている。それで蝙蝠に5人の足の速い下忍に服部の装束で走り回らせることにした。手薄になった頃狗と狼が蔵の屋根に飛び降りた。
「狼は笛の音が聞こえたら蝙蝠達に知らせるのだ。お前も持久戦に堪えるのだ」
と言うなり瓦を剥してその中に入る。短刀で時間をかけて天井裏に入る。それに丸1日かかった。ここは櫓にも使えるように2階建てになっている。2階には相当数の鉄砲が並んでいる。1階部分に人の気配がする。
 胡蝶の唸るような呪文の声がする。胡蝶の前には世話係の女が2人いる。彼らも式神のようだ。人臭さがないのだ。今まで寝ていた男が起き上がる。なんと!家康そっくりだ。秀長の場合は狐が探し回り連れてきて術をかけた。だが完ぺきではなく繋ぎとして使った。だがこの家康はしっかり訓練がされているようだ。
 2日後胡蝶がいる時間に頭巾を被った男が蔵に入ってきた。天海だ。
「どうだ?もう3年になるが?」
 となるとずいぶん早くから用意していたようだ。
「もう完璧です。本人も家康と思っています。この2人の式神も付き添えとして」
「このことは家康殿は?」
「知らない。宗矩も知らない。だが胡蝶も知ってるようにこれは明智光秀になる時から考えてきたことだ。光秀には伝えていた。光秀が天下を取るのにはこの方法しかなかったのだ」
 果心はそこまで考えていたのだ。
「家康を殺すのですか?」
「いや、だがいずれ命を落とすとある。その時はまだ見えないが」
 狗は完全に気配を消している。でも驚きは隠せない。
「大きな戦いが2度起こる。そのどちらかで出番が来る。揚羽と修験者達をすでに浪人に混じって大坂城に入れている」
 すでに家康や高虎達は大坂城を出ている。すでにここにいるのは秀頼を担ぐ者たちだ。狗は狐の繋がりからまだ大坂城に潜んでいる。天海は胡蝶の繋がりでここにいるのだ。だがどうして家康とともに影武者がいないのだろう。















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