けもの

夢人

文字の大きさ
上 下
130 / 199

秀吉の死6

しおりを挟む
 三成は5奉行を集めて茶々を抱き込んで家康と対抗した。家康の周りには武闘派が集まっている。秀保はかなり遅れて戻って来て城に籠っている。大坂城にはもっぱら高虎が代理人で控えている。それでも今は三成が前田候を家康の対抗で据えている。高虎は武闘派を取りまとめて家康と引き合わせている。とくに寧々が家康を高く評価しているようだ。
 狗は高虎の側近として武闘派の繋ぎをしている。加藤清正のところで宗矩の代理できた京之助に会った。それから久しぶりに飲もうと言うことになって町屋の酒屋に入る。
「三成は毛利を抱き込んだ。三成は5奉行を持って豊臣政権を維持しようとしている。だが彼らにはその力はない。秀吉の作ったものを食いつぶしていくだけだ。だがもう秀吉はいない。天下は統一はされていないのだ」
「再び戦乱の世に戻るのですか?」
「そうならないように思っている。狗は嫌だろうが家康殿しかいないのだ」
「残念ながらそうでしょうね?」
「高虎殿は家康殿の賛成者だがちょっと他の武将たちと違うように思うのだ。どちらかと言うと家康殿に似ておられます。だがもう下克上でもないので今のやり方しかないのでしょう」
「でも私は宗矩殿のようなことはできません」
「もちろんだ。だが狗なりの仕え方があろう」
「道場に帰られないのですか?」
「まだ離してもらえぬ。宗矩殿はこの先天下を2分する戦いがあると思われている」
「やはり」
 これは高虎も同じことを考えている。それで蝙蝠を三成に鼠を黒田の息子に付けている。今のところ柳生や服部と戦うことはない。狐から薬草園と大坂城下に薬屋を置いたと報告を受けている。ここに下忍5人と年寄り3人、くノ一を5人置いている。
「狗、服部には気を付けるのだ。徳川の裏舞台も一枚岩ではない。柳生と服部も裏では戦っている。すでに双方が数十人は失っている。怖い世界だ」










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

富嶽を駆けよ

有馬桓次郎
歴史・時代
★☆★ 第10回歴史・時代小説大賞〈あの時代の名脇役賞〉受賞作 ★☆★ https://www.alphapolis.co.jp/prize/result/853000200  天保三年。  尾張藩江戸屋敷の奥女中を勤めていた辰は、身長五尺七寸の大女。  嫁入りが決まって奉公も明けていたが、女人禁足の山・富士の山頂に立つという夢のため、養父と衝突しつつもなお深川で一人暮らしを続けている。  許婚の万次郎の口利きで富士講の大先達・小谷三志と面会した辰は、小谷翁の手引きで遂に富士山への登拝を決行する。  しかし人目を避けるために選ばれたその日程は、閉山から一ヶ月が経った長月二十六日。人跡の絶えた富士山は、五合目から上が完全に真冬となっていた。  逆巻く暴風、身を切る寒気、そして高山病……数多の試練を乗り越え、無事に富士山頂へ辿りつくことができた辰であったが──。  江戸後期、史上初の富士山女性登頂者「高山たつ」の挑戦を描く冒険記。

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

ジェド
歴史・時代
1894年、東洋の島国・琉球王国が沖縄県となった明治時代―― 後の世で「空手」や「琉球古武術」と呼ばれることとなる武術は、琉球語で「ティー(手)」と呼ばれていた。 ティーの修業者たちにとって腕試しの場となるのは、自由組手形式の野試合「カキダミシ(掛け試し)」。 誇り高き武人たちは、時代に翻弄されながらも戦い続ける。 拳と思いが交錯する空手アクション歴史小説、ここに誕生! ・検索キーワード 空手道、琉球空手、沖縄空手、琉球古武道、剛柔流、上地流、小林流、少林寺流、少林流、松林流、和道流、松濤館流、糸東流、東恩流、劉衛流、極真会館、大山道場、芦原会館、正道会館、白蓮会館、国際FSA拳真館、大道塾空道

強いられる賭け~脇坂安治軍記~

恩地玖
歴史・時代
浅井家の配下である脇坂家は、永禄11年に勃発した観音寺合戦に、織田・浅井連合軍の一隊として参戦する。この戦を何とか生き延びた安治は、浅井家を見限り、織田方につくことを決めた。そんな折、羽柴秀吉が人を集めているという話を聞きつけ、早速、秀吉の元に向かい、秀吉から温かく迎えられる。 こうして、秀吉の家臣となった安治は、幾多の困難を乗り越えて、ついには淡路三万石の大名にまで出世する。 しかし、秀吉亡き後、石田三成と徳川家康の対立が決定的となった。秀吉からの恩に報い、石田方につくか、秀吉子飼いの武将が従った徳川方につくか、安治は決断を迫られることになる。

鈍亀の軌跡

高鉢 健太
歴史・時代
日本の潜水艦の歴史を変えた軌跡をたどるお話。

近衛文麿奇譚

高鉢 健太
歴史・時代
日本史上最悪の宰相といわれる近衛文麿。 日本憲政史上ただ一人、関白という令外官によって大権を手にした異色の人物にはミステリアスな話が多い。 彼は果たして未来からの転生者であったのだろうか? ※なろうにも掲載

処理中です...