74 / 199
光秀12
しおりを挟む
未明にときの声が上がる。今京には信長の手のものはほとんどいない。唯一大軍を率いるのは明智光秀だけだ。信長は光秀を追い詰めていたが自ら実感がなかったようだ。
門を内から開けたものがいる。弾正の忍者だ。その周りの建物の陰に服部の忍者が潜んでいる。狗は戻ってきた蝙蝠と隣の寺院の大屋根から見ている。
「順慶殿は?」
「やはり光秀からの文が来ていたと言っておられました。もちろん参戦しません」
門前はあっという間に明智軍で埋まった。ようやく建物から信長の小姓たちが出てきた。
「鼠」
鼠は先ほどまで熟睡させておいた。
「この文を秀吉殿に届けるのだ」
もう鼠は駈けだしている。鼠には走り抜ける道もすでに狗が調べて置いた。この日が来ることを予想していたのだ。もちろん本能寺だとは思ってもいなかった。最後まで胡蝶による毒殺をイメージしていた。狐には商人になった家老を見張らせている。果心のお棺を燃やしたことで光秀と接触するはずだ。
建物から火の手が上がった。
「建物から逃げ道があったか?」
「地下室から地下道を通れるのですが、出口はしっかり施錠されていて破るのは難しいかと」
年寄りが説明する。
「どこに抜けている?」
「本能寺の末寺の墓場に出ます。でも地下道の場所も見つけにくいところにありました」
年寄りとくノ一を4人出して信長来るまでに調べさせていたのだ。
建物からの火の勢いが増した。もう戦う姿が見えない。広い庭に光秀の姿が見えた。横に斎藤利三が付いている。建物の中に兵が入っていく。どうも信長の亡骸を探しているようだ。すでに服部は消えている。家康は動くのだろうか?
門を内から開けたものがいる。弾正の忍者だ。その周りの建物の陰に服部の忍者が潜んでいる。狗は戻ってきた蝙蝠と隣の寺院の大屋根から見ている。
「順慶殿は?」
「やはり光秀からの文が来ていたと言っておられました。もちろん参戦しません」
門前はあっという間に明智軍で埋まった。ようやく建物から信長の小姓たちが出てきた。
「鼠」
鼠は先ほどまで熟睡させておいた。
「この文を秀吉殿に届けるのだ」
もう鼠は駈けだしている。鼠には走り抜ける道もすでに狗が調べて置いた。この日が来ることを予想していたのだ。もちろん本能寺だとは思ってもいなかった。最後まで胡蝶による毒殺をイメージしていた。狐には商人になった家老を見張らせている。果心のお棺を燃やしたことで光秀と接触するはずだ。
建物から火の手が上がった。
「建物から逃げ道があったか?」
「地下室から地下道を通れるのですが、出口はしっかり施錠されていて破るのは難しいかと」
年寄りが説明する。
「どこに抜けている?」
「本能寺の末寺の墓場に出ます。でも地下道の場所も見つけにくいところにありました」
年寄りとくノ一を4人出して信長来るまでに調べさせていたのだ。
建物からの火の勢いが増した。もう戦う姿が見えない。広い庭に光秀の姿が見えた。横に斎藤利三が付いている。建物の中に兵が入っていく。どうも信長の亡骸を探しているようだ。すでに服部は消えている。家康は動くのだろうか?
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
富嶽を駆けよ
有馬桓次郎
歴史・時代
★☆★ 第10回歴史・時代小説大賞〈あの時代の名脇役賞〉受賞作 ★☆★
https://www.alphapolis.co.jp/prize/result/853000200
天保三年。
尾張藩江戸屋敷の奥女中を勤めていた辰は、身長五尺七寸の大女。
嫁入りが決まって奉公も明けていたが、女人禁足の山・富士の山頂に立つという夢のため、養父と衝突しつつもなお深川で一人暮らしを続けている。
許婚の万次郎の口利きで富士講の大先達・小谷三志と面会した辰は、小谷翁の手引きで遂に富士山への登拝を決行する。
しかし人目を避けるために選ばれたその日程は、閉山から一ヶ月が経った長月二十六日。人跡の絶えた富士山は、五合目から上が完全に真冬となっていた。
逆巻く暴風、身を切る寒気、そして高山病……数多の試練を乗り越え、無事に富士山頂へ辿りつくことができた辰であったが──。
江戸後期、史上初の富士山女性登頂者「高山たつ」の挑戦を描く冒険記。
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-
ジェド
歴史・時代
1894年、東洋の島国・琉球王国が沖縄県となった明治時代――
後の世で「空手」や「琉球古武術」と呼ばれることとなる武術は、琉球語で「ティー(手)」と呼ばれていた。
ティーの修業者たちにとって腕試しの場となるのは、自由組手形式の野試合「カキダミシ(掛け試し)」。
誇り高き武人たちは、時代に翻弄されながらも戦い続ける。
拳と思いが交錯する空手アクション歴史小説、ここに誕生!
・検索キーワード
空手道、琉球空手、沖縄空手、琉球古武道、剛柔流、上地流、小林流、少林寺流、少林流、松林流、和道流、松濤館流、糸東流、東恩流、劉衛流、極真会館、大山道場、芦原会館、正道会館、白蓮会館、国際FSA拳真館、大道塾空道
強いられる賭け~脇坂安治軍記~
恩地玖
歴史・時代
浅井家の配下である脇坂家は、永禄11年に勃発した観音寺合戦に、織田・浅井連合軍の一隊として参戦する。この戦を何とか生き延びた安治は、浅井家を見限り、織田方につくことを決めた。そんな折、羽柴秀吉が人を集めているという話を聞きつけ、早速、秀吉の元に向かい、秀吉から温かく迎えられる。
こうして、秀吉の家臣となった安治は、幾多の困難を乗り越えて、ついには淡路三万石の大名にまで出世する。
しかし、秀吉亡き後、石田三成と徳川家康の対立が決定的となった。秀吉からの恩に報い、石田方につくか、秀吉子飼いの武将が従った徳川方につくか、安治は決断を迫られることになる。
転娘忍法帖
あきらつかさ
歴史・時代
時は江戸、四代将軍家綱の頃。
小国に仕える忍の息子・巽丸(たつみまる)はある時、侵入した曲者を追った先で、老忍者に謎の秘術を受ける。
どうにか生還したものの、目覚めた時には女の体になっていた。
国に渦巻く陰謀と、師となった忍に預けられた書を狙う者との戦いに翻弄される、ひとりの若忍者の運命は――――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる