218 / 225
光秀の天下17
しおりを挟む
大坂城退去を拒否したら当然のように双方の戦闘状態が始まった。家康はこれを待っていた。揚羽はこの1か月修験者の数を2百人に増やし金塊の運び出しを行っている。当然この動きでは目立ってしまうので服部と何度か戦闘を繰り返している。だが不思議なことに服部の数が少なすぎるのだ。
治長は遂に浪人達の野戦案に応諾した。彼はこの戦いで勝てるとは思っていないのだ。朱雀は宗久に言われて密かに秀頼を連れ出し地下金倉を抜けて多田銀銅山に連れて行く段取りをしている。そんな時に南宗寺の式神からの繋ぎが届いた。家康の影武者達が動いたというのだ。天海はすでに秀忠の陣に籠っている。
まず秀忠の陣に走ることにした。家康の陣は天王寺口にあり奈良寄りに秀忠の陣がある。これは薬売りの式神の報告で確認している。秀忠の陣に着いて驚いたのは天海が隣に陣を構えて兵を持っていることだ。元々天海の取り巻きは柳生の侍ばかりだったのだ。だが今は騎馬が50頭に足軽が50人もいる。だがこれは服部だ。陣に潜り込む。
「どうだ繋ぎを入れたか?」
天海も鎧を着ている。前にいるのは兜を被った半蔵だ。
「金で養ってきた後藤又兵衛の軍が真田の軍と並行して陣を張っています。報告では真田は真っ直ぐ家康の本陣を目指すはずです。又兵衛には兵を潜めて家康だけを狙うようにと伝えています」
「これが最後のチャンスだ。分かったな」
この返事に頷いたのは後ろに座っている兜を被った家康の影武者だ。半蔵が立ち上がり影武者が続く。朱雀は騎馬に跨ろうとしている服部を陣幕に曳きづり込み入れ替わる。半蔵が先頭で騎馬隊と足軽が動き出す。騎馬隊は時々かけてくる服部の繋ぎを受けながら進む。又兵衛と家康の双方の動きを知らせてきているようだ。朱雀も頭に覚え込んだ陣形をその報告を受けて動かす。
すでに真田の先頭が家康の本隊にぶつかったようだ。又兵衛は真田の軍の後ろに隠れるように進んでいるようだ。半蔵が丘の上で馬を留める。ここからは家康真田両軍の戦闘の様子が手に取るようにわかる。真田の勢いは予想をはるかに上回っている。家康の後ろにいる黒田官兵衛の軍が撤退を始めている。どうしたことか?これでは家康本隊だけが戦場に取り残される。急に丘を登ってきた騎馬に蠍が乗っている。
「予定通りに家康の後軍を切り離します。約束は守ってくださいのことです」
「天海殿に伝えて置く」
どうやら情勢を見て官兵衛は天海に乗り変えたようだ。見張っていた蠍が官兵衛に乗り換えることを提案したのだ。
治長は遂に浪人達の野戦案に応諾した。彼はこの戦いで勝てるとは思っていないのだ。朱雀は宗久に言われて密かに秀頼を連れ出し地下金倉を抜けて多田銀銅山に連れて行く段取りをしている。そんな時に南宗寺の式神からの繋ぎが届いた。家康の影武者達が動いたというのだ。天海はすでに秀忠の陣に籠っている。
まず秀忠の陣に走ることにした。家康の陣は天王寺口にあり奈良寄りに秀忠の陣がある。これは薬売りの式神の報告で確認している。秀忠の陣に着いて驚いたのは天海が隣に陣を構えて兵を持っていることだ。元々天海の取り巻きは柳生の侍ばかりだったのだ。だが今は騎馬が50頭に足軽が50人もいる。だがこれは服部だ。陣に潜り込む。
「どうだ繋ぎを入れたか?」
天海も鎧を着ている。前にいるのは兜を被った半蔵だ。
「金で養ってきた後藤又兵衛の軍が真田の軍と並行して陣を張っています。報告では真田は真っ直ぐ家康の本陣を目指すはずです。又兵衛には兵を潜めて家康だけを狙うようにと伝えています」
「これが最後のチャンスだ。分かったな」
この返事に頷いたのは後ろに座っている兜を被った家康の影武者だ。半蔵が立ち上がり影武者が続く。朱雀は騎馬に跨ろうとしている服部を陣幕に曳きづり込み入れ替わる。半蔵が先頭で騎馬隊と足軽が動き出す。騎馬隊は時々かけてくる服部の繋ぎを受けながら進む。又兵衛と家康の双方の動きを知らせてきているようだ。朱雀も頭に覚え込んだ陣形をその報告を受けて動かす。
すでに真田の先頭が家康の本隊にぶつかったようだ。又兵衛は真田の軍の後ろに隠れるように進んでいるようだ。半蔵が丘の上で馬を留める。ここからは家康真田両軍の戦闘の様子が手に取るようにわかる。真田の勢いは予想をはるかに上回っている。家康の後ろにいる黒田官兵衛の軍が撤退を始めている。どうしたことか?これでは家康本隊だけが戦場に取り残される。急に丘を登ってきた騎馬に蠍が乗っている。
「予定通りに家康の後軍を切り離します。約束は守ってくださいのことです」
「天海殿に伝えて置く」
どうやら情勢を見て官兵衛は天海に乗り変えたようだ。見張っていた蠍が官兵衛に乗り換えることを提案したのだ。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
ヴィクトリアンメイドは夕陽に素肌を晒す
矢木羽研
歴史・時代
カメラが普及し始めたヴィクトリア朝のイギリスにて。
はじめて写真のモデルになるメイドが、主人の言葉で次第に脱がされていき……
メイドと主の織りなす官能の世界です。
仇討浪人と座頭梅一
克全
歴史・時代
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。
旗本の大道寺長十郎直賢は主君の仇を討つために、役目を辞して犯人につながる情報を集めていた。盗賊桜小僧こと梅一は、目が見えるのに盗みの技の為に盲人といして育てられたが、悪人が許せずに暗殺者との二足の草鞋を履いていた。そんな二人が出会う事で将軍家の陰謀が暴かれることになる。
帝国夜襲艦隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1921年。すべての始まりはこの会議だった。伏見宮博恭王軍事参議官が将来の日本海軍は夜襲を基本戦術とすべきであるという結論を出したのだ。ここを起点に日本海軍は徐々に変革していく…。
今回もいつものようにこんなことがあれば良いなぁと思いながら書いています。皆さまに楽しくお読みいただければ幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる