168 / 225
覇権10
しおりを挟む
鬼女から朱雀のお呼びがかかり久しぶりに賀茂家に戻った。その足で待っていた鬼女と関白邸に出かけた。鬼女は輿に乗り朱雀が付き添う。
「薬造りは順調か?」
「はい。すでに販売を始めています。評判はいいです」
「そうか」
双子の女の子のことは聞かない。門を通されると茶室に案内される。
「おお悪いな。急に呼び出して」
これは関白の呼び出しだ。
「最近、一条兼良が度々柳生宗矩と会っていてな」
「柳生?」
朱雀が聞き直した。一条兼良と家康を結ぶ線が見つからない。
「それが1月前にその宗矩が禅僧と引き合わせたのじゃ。それが帝にその禅僧を会わせたのだ」
「その禅僧の名を聞かれましたか?」
「確か天海と」
やはり天海が出て来た。だが今は天海が光秀の生まれ変わりなどと答えられない。
「家康の補佐僧です」
「やはり家康殿か」
「一条兼良は今まで柴田勝家を押していたので乗り替わったのでしょう」
「しばらくその天海を見張ってほしいのだ」
「京に来ているのですか?」
「一条邸にいる」
天海は朝廷対策も担当しているのだ。ならば秀吉との戦いに備えているのだ。秀吉を破れば帝の詔を取る気だ。もちろん家康が天下を取れば一条兼良も関白になれる。式神の報告では織田信雄は密かに家康と結んで親秀吉派の家老を殺している。明らかに秀吉も兵を上げるだろう。これならまた揚羽は動くことになるだろう。
その夜その足で一条邸に潜った。
「薬造りは順調か?」
「はい。すでに販売を始めています。評判はいいです」
「そうか」
双子の女の子のことは聞かない。門を通されると茶室に案内される。
「おお悪いな。急に呼び出して」
これは関白の呼び出しだ。
「最近、一条兼良が度々柳生宗矩と会っていてな」
「柳生?」
朱雀が聞き直した。一条兼良と家康を結ぶ線が見つからない。
「それが1月前にその宗矩が禅僧と引き合わせたのじゃ。それが帝にその禅僧を会わせたのだ」
「その禅僧の名を聞かれましたか?」
「確か天海と」
やはり天海が出て来た。だが今は天海が光秀の生まれ変わりなどと答えられない。
「家康の補佐僧です」
「やはり家康殿か」
「一条兼良は今まで柴田勝家を押していたので乗り替わったのでしょう」
「しばらくその天海を見張ってほしいのだ」
「京に来ているのですか?」
「一条邸にいる」
天海は朝廷対策も担当しているのだ。ならば秀吉との戦いに備えているのだ。秀吉を破れば帝の詔を取る気だ。もちろん家康が天下を取れば一条兼良も関白になれる。式神の報告では織田信雄は密かに家康と結んで親秀吉派の家老を殺している。明らかに秀吉も兵を上げるだろう。これならまた揚羽は動くことになるだろう。
その夜その足で一条邸に潜った。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
ヴィクトリアンメイドは夕陽に素肌を晒す
矢木羽研
歴史・時代
カメラが普及し始めたヴィクトリア朝のイギリスにて。
はじめて写真のモデルになるメイドが、主人の言葉で次第に脱がされていき……
メイドと主の織りなす官能の世界です。
仇討浪人と座頭梅一
克全
歴史・時代
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。
旗本の大道寺長十郎直賢は主君の仇を討つために、役目を辞して犯人につながる情報を集めていた。盗賊桜小僧こと梅一は、目が見えるのに盗みの技の為に盲人といして育てられたが、悪人が許せずに暗殺者との二足の草鞋を履いていた。そんな二人が出会う事で将軍家の陰謀が暴かれることになる。
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる