137 / 225
陰謀21
しおりを挟む
信長や小姓達が構えているが早馬の知らせもなく本願寺の周辺は静まり返って夜を迎える。森蘭丸が信長の部屋に入って来た。側にいた小姓達が去る。
「光秀も気の弱い男よな?」
「はい。家康はまだのんびり堺にいるようです。光秀は丹波に向かっているようです」
二人とも酒を飲み始めた。やはり裏切りはないのか。
「次は毛利に出かけるか」
それでも蘭丸は警戒を怠っていない。時々小姓が知らせに入ってくる。
「気になります」
「何がだ」
「光秀は摂津を通ったようです。近道を通っていないのです」
既には夜半を大きく回っている。さすがに二人とも興奮をしているのだ。血を流した小姓が飛びこんできた。早馬で掛けて来た小姓だ。
「見定めるために近づき過ぎて鉄砲を撃ち掛けられました。本能寺に向かっています」
信長が弓を掴んで立ち上がった。ほぼ同時に雄たけびの声が本能寺の門に聞こえる。
「所定の位置に付け」
蘭丸が落ち着いて叫ぶ。だが小姓達は知らせれていないので大慌てだ。蘭丸の弟達が呼ばれ畳を上げている。だが信長は弓を持って外に出ている。この瞬間揚羽が忍び込んで来た。
「途中で信長を討つと光秀が叫んだわ」
「決めたのか?」
「すぐにここを離れた方ががいいわ。嫌な予感がするのよ」
屋根に上がるともう門に鉄砲が撃ち込まれて開かれた。ここから入ってくる鉄砲隊を小姓が切りまくっている。だが次には鉄砲隊が下がり足軽が押し込んでくる。信長が弓を引いているのが見えている。揚羽は裏側の大木に飛びついた。寺の周りは光秀の大軍がひしめき合い抜け出るのは容易ではない。
「大誤算だな?」
「遠回りになるけど抜け道を見つけているから」
「光秀も気の弱い男よな?」
「はい。家康はまだのんびり堺にいるようです。光秀は丹波に向かっているようです」
二人とも酒を飲み始めた。やはり裏切りはないのか。
「次は毛利に出かけるか」
それでも蘭丸は警戒を怠っていない。時々小姓が知らせに入ってくる。
「気になります」
「何がだ」
「光秀は摂津を通ったようです。近道を通っていないのです」
既には夜半を大きく回っている。さすがに二人とも興奮をしているのだ。血を流した小姓が飛びこんできた。早馬で掛けて来た小姓だ。
「見定めるために近づき過ぎて鉄砲を撃ち掛けられました。本能寺に向かっています」
信長が弓を掴んで立ち上がった。ほぼ同時に雄たけびの声が本能寺の門に聞こえる。
「所定の位置に付け」
蘭丸が落ち着いて叫ぶ。だが小姓達は知らせれていないので大慌てだ。蘭丸の弟達が呼ばれ畳を上げている。だが信長は弓を持って外に出ている。この瞬間揚羽が忍び込んで来た。
「途中で信長を討つと光秀が叫んだわ」
「決めたのか?」
「すぐにここを離れた方ががいいわ。嫌な予感がするのよ」
屋根に上がるともう門に鉄砲が撃ち込まれて開かれた。ここから入ってくる鉄砲隊を小姓が切りまくっている。だが次には鉄砲隊が下がり足軽が押し込んでくる。信長が弓を引いているのが見えている。揚羽は裏側の大木に飛びついた。寺の周りは光秀の大軍がひしめき合い抜け出るのは容易ではない。
「大誤算だな?」
「遠回りになるけど抜け道を見つけているから」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
ヴィクトリアンメイドは夕陽に素肌を晒す
矢木羽研
歴史・時代
カメラが普及し始めたヴィクトリア朝のイギリスにて。
はじめて写真のモデルになるメイドが、主人の言葉で次第に脱がされていき……
メイドと主の織りなす官能の世界です。
仇討浪人と座頭梅一
克全
歴史・時代
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。
旗本の大道寺長十郎直賢は主君の仇を討つために、役目を辞して犯人につながる情報を集めていた。盗賊桜小僧こと梅一は、目が見えるのに盗みの技の為に盲人といして育てられたが、悪人が許せずに暗殺者との二足の草鞋を履いていた。そんな二人が出会う事で将軍家の陰謀が暴かれることになる。
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる