式神

夢人

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 今度は果心の力を借りずに空を飛んだ。だがどんどん朱雀は置いて行かれる。
「光秀殿に?」
「そうなるかな?だがこの情報をどう使うかは光秀次第だ。秀吉もそうだろう」
と言うと果心の姿は見えなくなった。朱雀は揚羽の姿を見つけて舞い降りる。
「どうだった?」
「信玄は死んだ」
「まさか!」
「走るぞ」
 朱雀と揚羽の走りに礫と式神は置いて行かれる。織田の陣に着いたら即座に揚羽は秀吉に面会を求める。揚羽は秀吉に人払いを願い出る。
 揚羽の報告にさすがに秀吉も唖然としたようだ。朱雀は具体的に詳しく説明した。秀吉はその間押し黙って天井を見ている。
「迂闊にしゃべると首が飛ぶわ」
 これが秀吉が漏らした最初の言葉だ。
「その情報を知っているのは?」
「恐らく光秀殿も」
 そう言うとバタバタと秀吉が出かけて行った。
 その半刻後に秀吉も光秀も急遽京に戻ることになった。これは揚羽が竹中半兵衛に聞いた話だが、秀吉はわざわざ光秀を訪ねて伴って信長を訪ねたと言うのだ。これは半兵衛の策だ。秀吉は困ったことがると必ず半兵衛を通すのだ。光秀は丹波に向かい、秀吉は堺に向かう。
 信長は秀吉にすでに鉄甲船を指示していたようだ。これに九鬼水軍が乗る。どうも本願寺の輸送路の報告をしていたようだ。これに付いては宗久が動いている。
「私は秀吉様と宗久様に会う。朱雀は鬼女様に報告して関白様を動かすの。恐らく信玄の死はしばらくは表には出ないわ。その間に次の手を打つのよ。礫には毛利の動きを探らせて」







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