88 / 225
包囲網10
しおりを挟む
今度は果心の力を借りずに空を飛んだ。だがどんどん朱雀は置いて行かれる。
「光秀殿に?」
「そうなるかな?だがこの情報をどう使うかは光秀次第だ。秀吉もそうだろう」
と言うと果心の姿は見えなくなった。朱雀は揚羽の姿を見つけて舞い降りる。
「どうだった?」
「信玄は死んだ」
「まさか!」
「走るぞ」
朱雀と揚羽の走りに礫と式神は置いて行かれる。織田の陣に着いたら即座に揚羽は秀吉に面会を求める。揚羽は秀吉に人払いを願い出る。
揚羽の報告にさすがに秀吉も唖然としたようだ。朱雀は具体的に詳しく説明した。秀吉はその間押し黙って天井を見ている。
「迂闊にしゃべると首が飛ぶわ」
これが秀吉が漏らした最初の言葉だ。
「その情報を知っているのは?」
「恐らく光秀殿も」
そう言うとバタバタと秀吉が出かけて行った。
その半刻後に秀吉も光秀も急遽京に戻ることになった。これは揚羽が竹中半兵衛に聞いた話だが、秀吉はわざわざ光秀を訪ねて伴って信長を訪ねたと言うのだ。これは半兵衛の策だ。秀吉は困ったことがると必ず半兵衛を通すのだ。光秀は丹波に向かい、秀吉は堺に向かう。
信長は秀吉にすでに鉄甲船を指示していたようだ。これに九鬼水軍が乗る。どうも本願寺の輸送路の報告をしていたようだ。これに付いては宗久が動いている。
「私は秀吉様と宗久様に会う。朱雀は鬼女様に報告して関白様を動かすの。恐らく信玄の死はしばらくは表には出ないわ。その間に次の手を打つのよ。礫には毛利の動きを探らせて」
「光秀殿に?」
「そうなるかな?だがこの情報をどう使うかは光秀次第だ。秀吉もそうだろう」
と言うと果心の姿は見えなくなった。朱雀は揚羽の姿を見つけて舞い降りる。
「どうだった?」
「信玄は死んだ」
「まさか!」
「走るぞ」
朱雀と揚羽の走りに礫と式神は置いて行かれる。織田の陣に着いたら即座に揚羽は秀吉に面会を求める。揚羽は秀吉に人払いを願い出る。
揚羽の報告にさすがに秀吉も唖然としたようだ。朱雀は具体的に詳しく説明した。秀吉はその間押し黙って天井を見ている。
「迂闊にしゃべると首が飛ぶわ」
これが秀吉が漏らした最初の言葉だ。
「その情報を知っているのは?」
「恐らく光秀殿も」
そう言うとバタバタと秀吉が出かけて行った。
その半刻後に秀吉も光秀も急遽京に戻ることになった。これは揚羽が竹中半兵衛に聞いた話だが、秀吉はわざわざ光秀を訪ねて伴って信長を訪ねたと言うのだ。これは半兵衛の策だ。秀吉は困ったことがると必ず半兵衛を通すのだ。光秀は丹波に向かい、秀吉は堺に向かう。
信長は秀吉にすでに鉄甲船を指示していたようだ。これに九鬼水軍が乗る。どうも本願寺の輸送路の報告をしていたようだ。これに付いては宗久が動いている。
「私は秀吉様と宗久様に会う。朱雀は鬼女様に報告して関白様を動かすの。恐らく信玄の死はしばらくは表には出ないわ。その間に次の手を打つのよ。礫には毛利の動きを探らせて」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
武蔵要塞1945 ~ 戦艦武蔵あらため第34特別根拠地隊、沖縄の地で斯く戦えり
もろこし
歴史・時代
史実ではレイテ湾に向かう途上で沈んだ戦艦武蔵ですが、本作ではからくも生き残り、最終的に沖縄の海岸に座礁します。
海軍からは見捨てられた武蔵でしたが、戦力不足に悩む現地陸軍と手を握り沖縄防衛の中核となります。
無敵の要塞と化した武蔵は沖縄に来襲する連合軍を次々と撃破。その活躍は連合国の戦争計画を徐々に狂わせていきます。
陰陽道物語 ~蝶の行きついた場所~ 第三巻
海空 蒼
ファンタジー
事件の主犯格、かつて真神一族を離脱した男・夕凪の根城を突き止めた沙希たち一同。
決行に備えて、それぞれ自分の持ち場につく一方、様子がおかしい風夜とすれ違いにいる沙希。
そんな中、突如夕凪が沙希たちの元へ姿を現した。
「夕凪さんは、悪戯に戦争を引き起こそうとしているわけじゃない。あの人は目的があるんだ」
と紫雨が沙希に伝えた言葉。
夕凪は下界を目の敵にしてまで一体何を成し遂げようとしているのか……。
★こちらは「陰陽道物語 ~忍び寄る暗翳~ 第二巻」の続編になります!
ご覧になっていない方はそちらを読んでいただくことを推奨します。
※表紙のイラストは、にじジャーニーで生成し、ロゴは自分で作成して付け足しました。
鬼閂薙はセーラー服陰陽師!
濁酒
ホラー
怪異霊障が災害と認められた日本。政府は怪異霊障に対抗する為に怪霊災害対策課を警視庁に設立。対怪霊特殊免許を日本中の霊能者、祈祷師、そして陰陽師への公布される事となった。
私立坂巻高等学校に通う鬼閂流陰陽道の陰陽師にしてお嬢様女子高生…鬼閂薙は最年少最初の免許取得者であり、鬼閂流陰陽道の次期当主として怪異霊障災害に挑む。
鬼を討つ〜徳川十六将・渡辺守綱記〜
八ケ代大輔
歴史・時代
徳川家康を天下に導いた十六人の家臣「徳川十六将」。そのうちの1人「槍の半蔵」と称され、服部半蔵と共に「両半蔵」と呼ばれた渡辺半蔵守綱の一代記。彼の祖先は酒天童子を倒した源頼光四天王の筆頭で鬼を斬ったとされる渡辺綱。徳川家康と同い歳の彼の人生は徳川家康と共に歩んだものでした。渡辺半蔵守綱の生涯を通して徳川家康が天下を取るまでの道のりを描く。表紙画像・すずき孔先生。
出島で番士をしている俺が、遊女殺害の罪を着せられたら、おせっかいな美男通詞がぐいぐい来た。
緑のおおかみ
歴史・時代
「大丈夫。俺は、お前の身の潔白を、信じている。それに、eb je geen paard, gebruik dan een ezel.『馬がなければロバを使えばいい』。鉄杖、お前の嫌疑を晴らす方法は、いくらでもある」
***********************
【苦労人&不愛想だが屈強な男】×【超自信家&寂しがり屋だけど弁の立つ美男】
屈強出島番士・鉄杖と、美男オランダ通詞・藤馬のバディ。
***********************
出島の番士として、長崎で暮らす鉄杖は、持ち前の面倒見の良さで、悪いこともしていないのに、面倒ごとを押し付けられてばかり。
ある日、出島から遊女が失踪した。出島の門番を務める鉄杖は、監督不行き届きを理由に、蟄居を命じられてしまう。
蟄居で家に籠っていた鉄杖の下に、あまり話したこともない、阿蘭陀通事の藤馬がやって来て、言う。
「大丈夫。俺は、お前の身の潔白を、信じている。それに、eb je geen paard, gebruik dan een ezel.『馬がなければロバを使えばいい』。お前の嫌疑を晴らす方法は、いくらでもある」
鉄杖は、藤馬を怪しいと思いながらも、共に犯人を捜し始める。そこに、長崎の船競争、ペーロンも絡んできて――。
【キャラクター】
●鉄杖(てつじょう)
「だが、悪い奴ではない。確かに、少し考えの足りぬところはあるが」
出島で番士を勤める、二十三歳。背が高く、がっしりしている、無表情な男。幼少時の病気により、体や顔に痣がある。
やめればいいのに、何でもしょい込んでしまう、苦労人気質。
●藤馬(とうま)
「今日はなんだか、いつもと雰囲気が違うと思ってな」
「当たり前だ。寝巻だからな」
「いや、お前は役に立ってくれたぞ。頑強な人物が傍にいると、遺体から発せられる邪気を跳ね返してくれるような気がするしな」
「俺は、お守りか何かか? そんな効力はないぞ」
阿蘭陀通詞。二十二歳。垂れ目、釣り眉の美男。高飛車そうに見えるが、意外と気安い、と言われる。弁が立つ。
10㎡の戦争-エンペラーガーディアン-
フェーベ
歴史・時代
出口のない真っ白な空間で目が覚めた綾瀬コウと椎名さくらは太平洋戦争の激戦地、占守島でサバイバルゲーム「エンペラーガーディアン」に参加させられる。一方、大手住宅メーカーで営業職の青山健太と川上奈々美は勤務先の向かいに出来た謎のビルの秘密を探る。4人の運命が交錯するなか、生き残り、謎のゲームの秘密を解き明かすことは出来るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる