式神

夢人

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下剋上17

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 伏見港で荷を下ろしてここから京は目の前だ。港を降りると荷と共に揚羽は商人宿に泊まる。朱雀は蝦蟇達を京に入る街道に送る。自らは揚羽とは別行動をとって荷車を追う。揚羽の人夫はそれぞれ逞しい足をしている。順調に京に向かっている。
 その時街道に蝦蟇の式神が現れる。
「どうした?」
「この先の河原で安倍の式神を見たと」
「安倍が?」
 だがあり得ることだ。最近は一条兼良と安倍は手を結んでいる。何をしようとしているのか。朱雀は揚羽に注意するように伝えて先を行く。やはり河原には5人ほど安倍の式神がいる。急に草むらから四方から煙を投げ込まれた。朱雀はその式神を追いかける。だが安倍の式神は逃げるばかりで戦う様子がない。この時後ろに煙が上がっているのが見えた。どうも誘導されたようだ。朱雀は反転をすると藪の中を走る。
 荷車が襲われている。取り巻いているのは騎馬隊だ。安倍が竜達を送ってきたのだ。騎馬が15頭いる。それに揚羽達が降り飛ばされている。竜に飛びついたのは揚羽だ。巧みに竜の槍を掻い潜って馬の後ろに飛び乗った。だが馬上の竜の姿がない。ほとんど同時に朱雀も飛び上がった。
 竜の槍が深々と揚羽の腹を突き刺したように見えた。だが僅かの瞬間その間に朱雀が槍を押し止めるように入った。揚羽はバランスを崩し地面に叩きつけられる。竜は跳ね上げるように槍を朱雀に向けた。
「戻って来たか?」
「安倍と組んだのだな?」
「金を貰っているからな」
 竜の槍が隙間なく突いてくる.。朱雀の参加で劣勢になっていた揚羽の人夫達が本来の力を出してきた。騎馬を怯えず飛び上がって攻める。それと荷車がすべて避難をしている。
「邪魔が入ったな。引き上げろ」
 もう騎馬隊が引き上げている。
「揚羽大丈夫か?」
 抱き起すとわき腹から血が滲んでいる。
「朱雀が飛びこんでくれたおかげで皮膚を破ったほどよ。安心して」


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