復讐の芽***藤林長門守***

夢人

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激動15

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 翌日から容赦のない鉄砲の攻撃が始まった。予定通り海峡を九鬼の鉄鋼船が塞いだ。だがその意図が悟られる以上に激しい各地での戦闘で信長の将も倒れたすざましいものだった。だが信長は一歩も引かない。
 茉緒はもう1月も半島に小舟で乗りよせては縄橋子と寺の警備を探り、3つの道の先を調査した。いよいよ信長から出撃の指令が出た。鉄鋼船から初めての大砲が打ち込まれた。海岸線に下忍がすべて揃う。鉄鋼船の周りから兵を乗せた船が湧き出てくる。それまで海岸線を守るのが茉緒の役割だ。
「気付かれました!」
 断崖から忍者が何人も降りてくる。まだ船は来ない。茉緒は降りてくる2人を切った。だが下忍が2人鮮やかに切られた。慎吾の剣だ。もう20人降りてきている。これは防ぎきれない。鋭い切り込みがあり茉緒は岩に転がりながら下から切り上げる。ほとんど同時に飛び上がった慎吾の一撃を肩に受ける。やはり慎吾には勝てない。
「茉緒今だ!」
 どこからか声が聞えてきてすべるように着地目がけて突きを入れる。見事に心臓を貫いている。
「茉緒!」
 今度は慎吾からだ。
「凛によろしくな」
と言ってもう息絶えている。降りてきた忍者をそろりがなぎ倒している。船から鉄砲が打ち込まれ上陸してくる。それから1千ほどの兵が崖を登っていく。九鬼の水軍だ。大砲は待っていたように鳴り止んで更に水軍の上陸が続く。茉緒はいつの間にか消えたそろりを見て思い出したように慎吾の髷を切って懐に入れた。




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