復讐の芽***藤林長門守***

暗殺2

「服部に襲われたのでしょう?」
「いよいよ藤林を乗っ取るわ。このままじゃ服部に飲み込まれる」
　凛は小姓姿で今井の京屋敷に戻ってくる。
「弾正はどうなの?」
「京の支配者のように振舞っている。今大和に天守閣の建築にかかっている。今井宗久はお金を出し渋っているよ」
「将軍の館で藤吉郎を見たわ。織田が京に来るという話よ」
「宗久は弾正から織田に乗り替わったようよ。京屋敷から鉄砲がまた織田に運ぶ予定よ」
「弾正は?」
「どうも赤松と六角の和解に乗り出して織田の京の進出を阻む気だよ」
「弾正と少し距離を置いた方がいいね」
　いつの間にか裸になった凛が抱きついてくる。
「姉さんは慎吾と一緒になるの?」
「結ばれることはない」
「どうして好きなのでしょう?」
「私はいつまでも魔王としてみんなを引っ張る責任がある。お祖母ちゃんや源爺の恩を返さないといけない。それに父の無念を晴らさないと」
「清州には?」
「私が行く」