当たり屋

次の一手3

　第６号の特集に２年前のオレオレ詐欺の仲間達の写真の頭のぼかした部分を鮮明にアップした。その横にその頭が出入りする茂さんの写真を載せた。これは余探偵と牙が打ち合わせをして決めた。余探偵はすでに昔の上司の局長に情報を出したと言う。局長はあの組長射殺事件で繋がりができている。
　オレオレ詐欺の金は頭のところに集まり、ここから３分の1で現場と大池社長のグループと関西の組に流れている。これはすでに頭のパソコンの中で流れを掴んでいる。すでにゴンさんが古巣の大坂に来ている。今日は茂さんと打ち合わせをして花田の会社を張り込みを始める。
　もちろん週刊誌には大池社長から抗議の電話が入っている。だが余探偵も編集長も強気だ。だが一部のマスコミが人権侵害と騒いでいる。これも大池社長が後ろにいる。牙は今回で大池社長と最後の勝負をしようと考えている。牙の会社を乗っ取った黒幕だ。今日は釣りにも出ず畑にも出ずパソコンにしがみついている。
「ゴンさん、今だ。誰もいない」
　盗撮器を見ながらスマホで声をかける。３時だ。特集が始まってからこの部屋には人気がないことが多い。普通は幹部らしい男達が７人ほど詰めているが頭を初め顔を出さないことが多くなっている。茂さんの調査ではこの会社には同じ階に４つの部屋があり、この部屋が幹部たち詰めている。もう一つ社長室があり花田がいる。その横に経理部があり元専務がリーダーで女性中心で５人がいる。幹部の横に一番広い部屋がある。ここがシステム部で３０台のパソコンが並んでいて昼夜３交代で延１００人ほどが勤務している。
　ゴンさんは清掃会社と契約してここに入った。実際の状況をカメラに収めるのだ。ゴンさんが各部屋を回って７時を回って外に出る。それで牙もパソコンを閉めて夕食に出かける。
「遅いね？」
　娘が新しいエプロンで牙を迎える。
「えらい客が多いな？」
　若い男性客が１２人も入っている。それに釣られたのか地元の若者も１０人も入っていて満員状態だ。
「泊まり込みで私のファンが来てくれたの」
「サービスしないとな？」