当たり屋

夢人

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反撃7

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 ウイルスの除去は出来たが不具合が出て信頼を失うことになった。システムの社員が一人行方不明になった。この社員は社長が連れて来た社員で片腕に近い社員で社長がしばらく体調を崩して休んだ。代わりに牙が朝から出勤している。裏切られることに彼はまだ慣れていないのだ。だが社長は信じることから出発するのだ。
 ノックがして経理部長が入ってくる。それで牙はコーヒーを入れて招く。
「買占めの方は?」
「拮抗しています。これ以上はどちらにとっても有利ではないように思います。投資会社は大池社長に引き取りを要求していると言う話です」
「だが今の株数では物申すわけにもいかないな」
「それと営業部からテレビ宣伝の話が出ています」
「それは初耳だな?」
 経理部長が用意してきたパンフレットを出す。
「5人組の若手のグループです。まだ将来性が分からないのでどうかと言う意見も出ていますが、社長は乗り気です」
 YOUのグループだ。やはり社長はYOUに興味があるのだ。この場で娘だとは言えない。
「社長の意見を尊重したらどうだ?」
 2時間半打ち合わせをして、システム部に上がってウイルスの除去の状況を確認する。6時にはすっかり疲れてコートを取る。スマホを見ると茂さんから帰り寄れよとメールが入っている。
 事務所に上がるともう社員は帰っていて茂さんがCDの複製をしている。牙を見ると冷蔵庫から缶ビールを出してくる。
「彼がな、幹部が兄と会う前に殺されるかもしれないと言っていたようだ。それを兄に連絡したと言っていた」
 やはりそうだったのか。兄貴は逃げれる体制で幹部と会ったのだ。殺そうとしたのは関東の武闘派だ。
「若頭、いや代行はS級の女優で味をしめて第2弾を撮るようだ。前は1億越えの売り上げを達成したらしい。次は入ってくれないか?」
「彼では駄目なのか?」
「代行が嫌がるのだ」








 
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