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暴く
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柳沢の事件を掘り下げて、2号、3号と書く。M商事の会長と組んだ柳沢が藤尾をマドンナの強姦という罠で退職に追い込む。会長によって取締役部長に昇進した柳沢によって片腕だった鈴木部長が押し出され、閑職であった創業者一族の相談役に近づき監査役に赤坂の地上げと不明金を指摘される。そこで柳沢の指示で暴力団のチンピラが追突事故と見せかけて監査役を殺した。もちろん記事はすべてイニシャルだが、見るものによってすべて実名が浮かぶ。
今朝藤尾が任意で呼ばれた。彼とは入念に打ち合わせ済みだ。彼はいつの間にかマドンナとできているようだ。マドンナの任意も覚悟している。くすみかけていた赤坂事件がまた一般紙で旗手社長事件並んで特集記事になる。
旗手社長は今朝の朝刊で全株をDの会長に譲ったと公表した。これで未公開株事件は旗手社長が背負い会社は志位体制の元、会長の指導で再建に向かうことになる。取引銀行は役員を派遣することもできず融資を続行を決めさせられた。
夜、藤尾からこのビルの裏の怪しげなスナックに呼び出される。ここは地上げ時代からの馴染だそうで、このビルの露地から入れる。
「まいったね。昼ありの9時間だぜ」
ボトルの焼酎の水割りを飲んでいる。周平にはビールの小瓶を頼んでくれる。
「調書のサインはした?」
「ああ、だがまた呼ばれるかもな」
「ポイントに整理して話してくれ」
周平はメモを出してきて記入始める。
「まずマドンナの強姦についての事実確認だ。眠り薬を飲ませれて起きると半裸のマドンナがいた。それを柳沢に取り押さえられたという話をした。それで自己都合で退職する羽目になった。嵌められたと主張したよ。柳沢の手帳にそれらしいことが書かれていたのだろう疑わなかった。でもマドンナを呼ぶだろう」
「赤坂の地上げの不明金のことは?」
「それは次回のような話しぶりだ。ただ『噂の真相』と見比べていた。かなり信憑性があるという感じだ。最後に赤坂の地上げはどこから持ち込まれたかと聞かれたよ」
「そうか」
周平は次号で赤坂の地上げがS銀行より会長に持ち込まれて始まったと書こうと決めた。
今朝藤尾が任意で呼ばれた。彼とは入念に打ち合わせ済みだ。彼はいつの間にかマドンナとできているようだ。マドンナの任意も覚悟している。くすみかけていた赤坂事件がまた一般紙で旗手社長事件並んで特集記事になる。
旗手社長は今朝の朝刊で全株をDの会長に譲ったと公表した。これで未公開株事件は旗手社長が背負い会社は志位体制の元、会長の指導で再建に向かうことになる。取引銀行は役員を派遣することもできず融資を続行を決めさせられた。
夜、藤尾からこのビルの裏の怪しげなスナックに呼び出される。ここは地上げ時代からの馴染だそうで、このビルの露地から入れる。
「まいったね。昼ありの9時間だぜ」
ボトルの焼酎の水割りを飲んでいる。周平にはビールの小瓶を頼んでくれる。
「調書のサインはした?」
「ああ、だがまた呼ばれるかもな」
「ポイントに整理して話してくれ」
周平はメモを出してきて記入始める。
「まずマドンナの強姦についての事実確認だ。眠り薬を飲ませれて起きると半裸のマドンナがいた。それを柳沢に取り押さえられたという話をした。それで自己都合で退職する羽目になった。嵌められたと主張したよ。柳沢の手帳にそれらしいことが書かれていたのだろう疑わなかった。でもマドンナを呼ぶだろう」
「赤坂の地上げの不明金のことは?」
「それは次回のような話しぶりだ。ただ『噂の真相』と見比べていた。かなり信憑性があるという感じだ。最後に赤坂の地上げはどこから持ち込まれたかと聞かれたよ」
「そうか」
周平は次号で赤坂の地上げがS銀行より会長に持ち込まれて始まったと書こうと決めた。
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