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仮釈放
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ブザーを押すとミーの声がした。おそらく私の顔が写っているのだろう。すぐにドアが開く。見慣れた玄関の奥にバアのカウンターがあり同じ部屋にダブルベットがある。さすがに綺麗にシーツが掛けられていて乱れは一つもない。
旗手社長がカッター姿で『噂の真相』を数冊積み上げて読んでいる。
「直接こちらに?」
「ああ、またすぐに戻される。本社とは昼から会長と社長と会う。今の体制が続けば一安心だが、思わぬことも起こり得る」
それは周平も考えているが、思わぬことが想像できない。
「政界も経済界も下剋上になっている。この事件が転べば体制が変わる。もう私の復権はないだろう。だが会社は潰さない。それは意地だ。下剋上も起こさせない」
ミーが二人分のアイスコーヒーを入れてくれる。まるで新妻のようだ。
「最後のリストは完全に葬り去ってくれ。もし洩れたらそれは君しかいない。その時はミーに殺される覚悟をするのだな」
「そんなこと言わないでよ」
ミーが話をそらそうとする。それで旗手社長は笑っている。
「この赤坂事件のシリーズはいい。今回の事件の関係者が絡んでいる。彼らは派手な行動は起こせない。その脅しも含めて書き続けるのがいい。時として核心のそばまで突いてみるのもいい。Yテレビの社長も自分の命は惜しい。銀行は日和見だしな。柳沢があんな行動に出るとは、まだこちらにツキは残されているようだ」
今日の旗手社長は異常に雄弁だ。
「ミーは店をやるようだが、君も雑誌社でもするかね?」
「いえ、もう少し成り行きを見守ります」
「ありがとう。私が死んだら真実を公表してもいい」
死ぬまで口をつぐめということだ。その時は誰も周平の言うことなど信じないだろう。
旗手社長がカッター姿で『噂の真相』を数冊積み上げて読んでいる。
「直接こちらに?」
「ああ、またすぐに戻される。本社とは昼から会長と社長と会う。今の体制が続けば一安心だが、思わぬことも起こり得る」
それは周平も考えているが、思わぬことが想像できない。
「政界も経済界も下剋上になっている。この事件が転べば体制が変わる。もう私の復権はないだろう。だが会社は潰さない。それは意地だ。下剋上も起こさせない」
ミーが二人分のアイスコーヒーを入れてくれる。まるで新妻のようだ。
「最後のリストは完全に葬り去ってくれ。もし洩れたらそれは君しかいない。その時はミーに殺される覚悟をするのだな」
「そんなこと言わないでよ」
ミーが話をそらそうとする。それで旗手社長は笑っている。
「この赤坂事件のシリーズはいい。今回の事件の関係者が絡んでいる。彼らは派手な行動は起こせない。その脅しも含めて書き続けるのがいい。時として核心のそばまで突いてみるのもいい。Yテレビの社長も自分の命は惜しい。銀行は日和見だしな。柳沢があんな行動に出るとは、まだこちらにツキは残されているようだ」
今日の旗手社長は異常に雄弁だ。
「ミーは店をやるようだが、君も雑誌社でもするかね?」
「いえ、もう少し成り行きを見守ります」
「ありがとう。私が死んだら真実を公表してもいい」
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