夢追い旅

夢人

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ベンチャー事件の始まり

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 翌日のKジャーナルに未公開株のリストがぼやかせて載せられた。これを持って来たのは轟だ。周平もミーも思い思いにソファや椅子を並べて寝ていた。あれから裏会社に書類の段ボールを運び込んだ。手伝ってくれた藤尾と運転手は自分の事務所に戻って仮眠をとった。気が立っていたのかミーがなかなか寝付けず持ってきたワインを二人でいつの間にか空けてしまっていた。いつ寝たのかも覚えていない。
「Kジャーナルには黒崎の車が残っていて、部屋には数人がいるようだった。今ダチに張り込みを続けさせている。それからY新聞の系列の雑誌を買った。やはり同日であの小林と秘書の映像をベンチャー事件としてシリーズ掲載を始めた」
 ここにはまだリストらしきものは載せられていない。
 私設秘書から携帯が入る。
「やられたな。昨夜第1秘書から電話で3か月前付の解雇を言い渡されたよ。そちらとの関係もなかったということにしてもらえということだ」
「そうだろうね。これだけ聞きたいのだが、未公開株はあのリスト通りに配られた?」
「おそらくリストの半分もその通りに配られていないね。あくまでも想像だが」
 これは総理が自分で振り分けたのだろう。
「噂でいいから集めてくれ」
「分かったよ。失業者だからな」
 携帯を切った途端、本社の総務部長からの電話だ。
「銀座には公衆電話がないね。小林と秘書が警察に入った。解雇は済ませている。これからはこちらから電話を入れる。社長もそうだ」
「社長は?」
「ヘリで大阪に。任せたと言っておられた。でも未公開株の身内売買は業界の恒例だったはずだが?」
「でもそれを恒例としてきた人達が恒例でないと決めたらどうなるのでしょか?」
「私には考え付かないな」
 これが黒崎の言う上の人達なのだろう。










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