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盗聴
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「お早う!」
小さいカオルに声をかける。最近は団長はカオルの代役を務めてくれた少女を子守に雇っているようだ。
「団長は?」
「朝一番に横浜に劇団の打ち合わせに。朝御飯はオムライスがあるということです」
少女は慣れた手つきで抱きかかえると、カオルを1階の階段の上り口に揺り籠を据え付ける。周平は昨夜は12時過ぎに戻ってきて、先に眠ってる団長に声をかけずそのまま寝てしまっている。ホワイトドームの壁掛け時計はすでに10時を回っている。久しぶりの休日だ。
「名前は?」
「ユキ」
「近く?」
「裏口から路地を10メートル」
カウンターに素早く温めたオムライスにビールの小瓶を置いてくれる。
「ビールまで出してくれるのか?」
「はい。団長がそうするようにって」
「ユキはカオルを知っている?」
「お母さんの方?よく知ってる。ここで舞踏会があるときは裏口からよく見に来ていました。それでずっと劇団に入れてほしいと。最初に認めてくれたのはカオルさんでした」
カオルが目を覚まして泣き出した。ユキが飛ぶように駆け寄って抱きかかえる。
「おお、起きてたか!」
アロハシャツにサングラス、いかにもチンピラ臭い轟だ。
「遂にKジャーナルを首だ」
カウンターにテープを出して、自分で冷蔵庫から氷を出してきて焼酎のロックを作る。
「仕事は回すから心配するなよ。それより小林と許は?」
「たっぷり3時間テープが入ってるぜ。ただ肝心な話は最初の10分と最後の3分だけだ。二人ともめっちゃな女好きだ」
「ポイントは?」
「京都駅裏の土地だが、B勘を3億もかましているそうだ。そこから小林が1億貰う条件だ。ばっちりテープに入っている」
周平は持って降りてきた鞄から100万束を出す。轟は折りたたんだ領収書拡げて並べる。領収書は表の経理に載せて100万はB勘処理でミーに口頭で伝える。ミーはそんなこともいらないというが生真面目に今でも続けている。
小さいカオルに声をかける。最近は団長はカオルの代役を務めてくれた少女を子守に雇っているようだ。
「団長は?」
「朝一番に横浜に劇団の打ち合わせに。朝御飯はオムライスがあるということです」
少女は慣れた手つきで抱きかかえると、カオルを1階の階段の上り口に揺り籠を据え付ける。周平は昨夜は12時過ぎに戻ってきて、先に眠ってる団長に声をかけずそのまま寝てしまっている。ホワイトドームの壁掛け時計はすでに10時を回っている。久しぶりの休日だ。
「名前は?」
「ユキ」
「近く?」
「裏口から路地を10メートル」
カウンターに素早く温めたオムライスにビールの小瓶を置いてくれる。
「ビールまで出してくれるのか?」
「はい。団長がそうするようにって」
「ユキはカオルを知っている?」
「お母さんの方?よく知ってる。ここで舞踏会があるときは裏口からよく見に来ていました。それでずっと劇団に入れてほしいと。最初に認めてくれたのはカオルさんでした」
カオルが目を覚まして泣き出した。ユキが飛ぶように駆け寄って抱きかかえる。
「おお、起きてたか!」
アロハシャツにサングラス、いかにもチンピラ臭い轟だ。
「遂にKジャーナルを首だ」
カウンターにテープを出して、自分で冷蔵庫から氷を出してきて焼酎のロックを作る。
「仕事は回すから心配するなよ。それより小林と許は?」
「たっぷり3時間テープが入ってるぜ。ただ肝心な話は最初の10分と最後の3分だけだ。二人ともめっちゃな女好きだ」
「ポイントは?」
「京都駅裏の土地だが、B勘を3億もかましているそうだ。そこから小林が1億貰う条件だ。ばっちりテープに入っている」
周平は持って降りてきた鞄から100万束を出す。轟は折りたたんだ領収書拡げて並べる。領収書は表の経理に載せて100万はB勘処理でミーに口頭で伝える。ミーはそんなこともいらないというが生真面目に今でも続けている。
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