夢追い旅

夢人

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時の流れに

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 M商事に銀座のママが押しかけてきた。周平が携帯に出ないからだ。現在は舅と別れて会長の愛人に戻っている。非常に我儘な人だ。
 会長室の応接に人事部の人間が気を使って通したようだ。
「ずいぶん避けられたものね!」
 相変わらずの口調だ。もうテーブルには煙草の吸殻が3本も溜まっている。
「そういうのではありませんが」
「まあいいわ。相談役にうまく取り込んだようね?」
 そういう風に伝わっているのか。
「今までM商事からは少なくとも15組は入れ代わり立ち代わり店に来てくれていたのに先月などは誰も来ない。調査部も1度も使っていないどういうわけ?」
「経費節減です」
「そんなの通じないよ!はっきり言ってよ」
「会長からは?」
「あの人も来ないわ」
「彼女はどうしています?」
「子供を抱えて私の店に出てるわ」
 煙草の煙に舅を思い出した。
「会長はおそらく近々退任されると思います。現在その調整にかかっているところです」
「次のポジションは?」
「今のところ白紙です」
「何が悪かったの?」
「何とは言えませんが、右腕を変えられたのが躓きと言えば躓きです。柳沢さんをご存知ですね?」
「よく来てくれていた部長ね」
「彼が今は右腕です。でも危険な男です」
「じゃあ鈴木とよりを戻したら?」
「鈴木さんにも私にもどうすることもできません。後は時の流れに任せるしか」







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