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お化け屋敷
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ケイ君から赤坂で待ち合わせしたいと携帯が入った。
待ち合わせの場所は、藤尾のアジトのさらに奥にあるビルだ。これは地図では工場になっているが、すでに廃屋になって久しいように思う。これは何時か藤尾に聞いたような気がするが、地上げした建物は税金の関係で更地にはしないそうだ。でも、赤坂にこんなお化け屋敷がある風景がちょっと信じられない。
「こちらだ」
作業着を着たケイ君が手招きで呼ぶ。工事用のヘルメットを被った年配の男性がいる。
「彼が見つけた。彼のような男を5人入れて地図を塗りつぶしているんだ。この奥だったね?」
男が頷いて、シャッターの隙間をこじ開けて中に入る。ケイ君はポケットの車の写真を出して見せる。
「ずいぶん前から解体し始めていたようだ。肝心な衝突痕のある部分は剥がされている。もう少し経っていたら跡形もなくなっていただろうな」
ヘルメットの男が中二階から呼ぶ。周平はカメラに手に動き回る。
「ここに人がいた形跡があるね」
ケイ君が煙草の吸殻と毛布をさす。吸殻をつまんでビニール袋に入れる。
「何か刑事になった気がするな。今更刑事だなんてなしだよ」
「どこかに移された?」
「か消されたか?」
「残りも調べるか?」
「頼む」
表に出ると、轟に連絡を取った。すぐに元刑事を調達して調べるとのことである。彼のところに連絡を入れておくと、国崎に自動的に報告になる。轟とは持ちつ持たれつだ。
ケイ君は日払いの金を渡している。
待ち合わせの場所は、藤尾のアジトのさらに奥にあるビルだ。これは地図では工場になっているが、すでに廃屋になって久しいように思う。これは何時か藤尾に聞いたような気がするが、地上げした建物は税金の関係で更地にはしないそうだ。でも、赤坂にこんなお化け屋敷がある風景がちょっと信じられない。
「こちらだ」
作業着を着たケイ君が手招きで呼ぶ。工事用のヘルメットを被った年配の男性がいる。
「彼が見つけた。彼のような男を5人入れて地図を塗りつぶしているんだ。この奥だったね?」
男が頷いて、シャッターの隙間をこじ開けて中に入る。ケイ君はポケットの車の写真を出して見せる。
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ヘルメットの男が中二階から呼ぶ。周平はカメラに手に動き回る。
「ここに人がいた形跡があるね」
ケイ君が煙草の吸殻と毛布をさす。吸殻をつまんでビニール袋に入れる。
「何か刑事になった気がするな。今更刑事だなんてなしだよ」
「どこかに移された?」
「か消されたか?」
「残りも調べるか?」
「頼む」
表に出ると、轟に連絡を取った。すぐに元刑事を調達して調べるとのことである。彼のところに連絡を入れておくと、国崎に自動的に報告になる。轟とは持ちつ持たれつだ。
ケイ君は日払いの金を渡している。
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