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追い快楽

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初めての快楽に、身体が追い付いていない。
クレイドはもう中にいないのに、ずっと快楽ばかり残っている。
身体が震えて、俺だけがまだ欲求不満のようだ。

それでもここは外だから、裸のままでいるわけにはいかない。

服を着ようと思っても、指先に力が入らない。
下着すら上げられないとは思わず、頑張って上げようとしてみた。

そこまでヤってないと思っていたけど、一回が想像以上に濃厚だったって事か?

クレイドが「俺にやらせて」と言って、服を着せてくれた。

「ありがとう、ごめん…下着すら穿けなくて」

「俺に付き合わせてしまったから、俺の方こそごめん」

「あっ!」

ただクレイドに頬を撫でられただけだ。
いつもなら特になにか思う事はない。

それなのに、今の俺には刺激が強くて変な声が出てしまった。
それだけではなく、身体が反応して震えが止まらない。

さすがに可笑しい、俺の身体になにが起きてるんだ?

クレイドにどうしたらいいのかと助けを求めようと思って目線を向けた。

後頭部を押さえられて、そのまま舌を入れられてキスをされた。
敏感な身体はすぐに快楽に溺れて、クレイドを求めるように舌を絡める。

「んっ、んぅ…あぁっ、んぁっ」

唇が離れても快楽は止まらず、首筋を舐められて吸われて胸に触れられるだけで絶頂を迎えそうだ。
下半身には手を触れていないのに、俺の身体は変わってしまったのか?

せっかく穿いたズボンと下着を脱がされても、下半身には触れる事はなかった。

ただひたすらに首筋と上半身の快楽だけで、俺の欲望はさらけ出された。

なかなかイけないから、長い快楽に襲われる。

クレイドの腕を掴んで、頭が可笑しくなりそうだと首を横に振った。
また直接的な快楽がほしい、もう焦らされるのは嫌だ。

クレイドだって興奮しているのが服を着ても分かる。
魔力の大きさが肌で感じる、クレイドの魔力だけで気持ちよくなれそうなところまで来ている。

「クレイド、俺…またクレイドに…」

「それはダメ」

「なんで…もしかして、気持ちよくなかったのか?」

「違う、幸せだったよ…人生で一番興奮したし気持ちよかった、でも疾風は俺の魔力に溺れている状態だから、悪化しないために指で我慢して」

魔力に溺れてるって、いったいどういう意味なんだろう。
よく分からないが、異常な事が起こっているのは分かる。

俺も早くイけるように、下半身に手を伸ばした。

興奮して硬くなった俺のに触れるのもいいけど、今はもっと腹の奥に熱が欲しい。

指でそこに触れるだけで、吸い付く熱を感じて頬が熱くなる。
これは本当に俺の身体か?まるで別の生き物のようだ。

びっくりして手を離すが、クレイドに手を掴まれてそこに導かれる。

俺の手の上にクレイドの手が重なり、クレイドが指先に力を入れると俺の手も中に入っていく。

火傷しそうなほど熱くて、絡み付いてくる。

「あっ、こ…これ…」

「俺がどんなに気持ちよかったか分かった?擦ると可愛く吸い付いて離さないんだ」

「あっ、うっ…はぁ、ぁっ」

「指だけで、俺もイきそう…入れてないから悪化はしないけど、ごめんね」

クレイドがなんで謝っているのか理解する前に魔力がこの場の空気が一気にひりつく。

さっきまで快楽で気付かなかったけど、こんなにヤバい空気の中にいたんだ。
これなら確かに影響を受けるのは分かる。

指を動かすとキュッと締め付けて、限界が近い事を知らせる。
指で触られているだけでも、クレイドの指が俺の中にある。
繋がっているんだと幸せな気持ちになり、自分からクレイドに唇を合わせた。

最初は驚いていたけど、すぐに受け入れてくれた。

身体を重ねると、もっとクレイドが愛おしくなる。

中が痙攣して、絶頂を迎える。
少し遅れてクレイドも息を吐いて整えていた。

「クレイドも我慢しなくていいのに、俺がやるよ」

「俺の事は気にしなくていい、疾風に触られると自分のコントロールが出来なくなる」

クレイドはそう言って、熱が落ち着いてきた俺の額に軽く口付けをした。

服を着て、一緒に並んで座ると不思議と元の世界を思い出す。
もう帰れなくなっても、不安や寂しさはクレイドがいたら感じない。

空を見上げると、星がキラキラと輝いて見えた。

俺とクレイドは立場が違っても同じ時代に生きている。
この世界に来て、俺がするべき事は一つなのかもしれない。
俺じゃないと出来ない事だ。

「俺、ずっとクレイドと一緒にいたい…未来を歩んでいきたい」

「俺だってそのつもりだ、疾風を離すつもりはない」

ずっと一緒にいたい人が出来て、その幸せのために俺はなんだってする。
守られてばかりではいられない、今度は俺がクレイドを守る。

クレイドの強い魔力の気配で、近くの魔物達は逃げてしまったようだ。

「もし中に出したら、疾風は…どうなるんだろう」

誰にも聞こえないほどの小さな声でクレイドがそう言っていたなんて、幸せを感じていた俺は知らなかった。
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