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元の世界に帰る方法
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・クレイド視点・
疾風は部屋に居てもらい、騎士団の仕事に出かけた。
昨日書庫でとある本を見つけた。
世界の歴史という本。
疾風は俺が何を読んでいるか分からないから、パラパラと捲る。
そこにあったのは、異界人という疾風のように召喚される存在。
代々から召喚術というものが高貴な王族の間で伝わっている。
正確な術式を床に描き、魔術師五人で力を込める。
異界と呼ばれる場所から共鳴した力を持つ人間を召喚する。
確か、国王のところに行った時に誰かを呼ぶ話があるらしい。
既にザット団長には知らせていて、俺や他の騎士は後回しらしい。
そりゃあそうか、王族達からしたら英雄であるザット団長にしか期待していないんだろう。
別に召喚された人間に構っている暇はないから、そこはザット団長がやればいい。
そこで、今までのザット団長の行動に納得出来た。
なるほどな、功績を挙げたがったのはこういう事か。
くだらないものに付き合うのは嫌だが、仕方ない……アレを見られた俺の責任だ。
それはさておき、魔術師に共鳴した人間だから異界人は人間なのに力がある。
元の世界では、魔術を使う必要がないから能力を封印している。
魔術師がいる当たり前の世界だからこそ、潜在能力が発揮される。
俺も異界人は疾風が初めてで、疾風に潜在能力を感じなかった。
どんなに弱い魔物でも魔力があれば感じる事が出来る。
もし魔物がどんな方法か分からないが、この術式魔法陣を手に入れて召喚したとして、疾風は何を共鳴したんだ?
それとも、疾風がではなく場所が関係しているのかもしれない。
俺と同じ場所で同じように車で轢かれた。
その場所がこの世界に繋がるなにかで、たまたま魔物がその場所と共鳴したのかもしれない。
でもこの話には続きがあった。
召喚された異界人を元の世界に帰す方法はある。
それは召喚者の願いを叶える事。
役目を果たすために、異界人はいる。
当然、役目が果たせない異界人もいる。
その時は、召喚する前の時間と場所に戻されて記憶がなくなる。
疾風の召喚者は魔物で、疾風は魔王候補にされていると言っていた。
そうなると、魔王になるまで帰れないという事になる。
疾風は絶対にそんなものにさせないから、これはまぁいい。
問題は、召喚する前の時間と場所に戻す事が出来るという事だ。
疾風は知ってるのだろうか、知ってても疾風はやらないだろう。
元の世界に戻ったら無事ではない。
まだ疾風は来たばかりで、元の世界に未練がある。
俺のように死んだわけではないから、疾風はなかなか諦めないだろう。
もしかしたら、元の世界に帰るために魔王になると言いかねない。
そんなリスクを負うより疾風は俺の傍に居ればいいのに…
もし疾風が選んだ本の中にこういうのがあったら読むつもりはない。
何も知らなくていい、疾風は俺が大切に愛して守る。
廊下を歩いている時、疾風が言っていた事を思い出して考える。
魔物を街中で見かけた、か。
街に魔物が入れない結界はない、俺達も似たようなものだから身体に悪い。
いざという時、動けないのは国の滅亡に繋がる。
その代わり、門番は強い騎士がいる。
俺達も常に見回りをしているから、魔物が現れるとは思わなかった。
何処から紛れ込んだのか分からないが、街は騒ぎになっていない。
散歩しているだけとは思えないが、他に何の目的がある?
前からザット団長に執着しているのは分かっている。
でもここは魔物よりも遥かに強い騎士が大勢いる敵陣の中、そこに突撃する知能の低い魔物がいないとは言わないが一度全滅寸前に追い込んだ事がある。
もう一度やりたいなら構わないが、突撃する事はなかった。
森で会った人間に近い容姿の魔物は知能が他とは違った。
賢い魔物は時に厄介だが、考えれば考えなしの突撃はしない。
作戦を考えて突撃する準備をしても、窓からしか見えない疾風が分かるほど堂々としているのは可笑しい。
魔物が探しているのはもしかして疾風か?
疾風からは身代わりで逃げたと言っていた。
確かに大事な魔王候補の筈なのに可笑しい話だ。
でも、もし探しているのなら俺がこの手で始末する。
「あ、クレイドじゃん!」
「……」
城を出たところで面倒な男の姿を見て、すぐにでも引き返したくなった。
茶髪の優男は馴れ馴れしく俺の肩に腕を回した。
そのまま居ないもののように歩き出す。
クリスというこの男は同期の騎士で、出会ってからずっと馴れ馴れしい。
突き放しても変わらないから、無視する事にしている。
それでもクリスにとっては効果がない。
「ザット団長が探してて、部下がクレイドを探してたぞ」と紛らわしい言い方をしていた。
普通にザット団長が探しているだけでいい。
「相変わらずこき使われてるんだな、親友として悲しい……いい加減自分の人生を歩んだ方がいいんじゃないか?」
「……」
クリスが暑苦しくて、振り払い歩みを早めた。
俺のザット団長に握られている秘密は知らないが、ザット団長の身代わりになっていると推理している。
面倒な奴で、ずっと無視をしているから本人は真相が分かるまで周りには言っていない。
これからもそんな話をするつもりは一生ない。
仲良くなるつもりは微塵もない、でもいつもクリスが絡んでくる。
ザット団長のところに行くか、次の魔物の拠点の話か。
クリスがずっと後ろから付いて来るから、ザット団長との話は聞かせられない。
近くにいる騎士にクリスと一緒に見回りをするように言うと、クリスのところに行く。
これでもう邪魔はいなくなったと、ザット団長の部屋に向かった。
疾風は部屋に居てもらい、騎士団の仕事に出かけた。
昨日書庫でとある本を見つけた。
世界の歴史という本。
疾風は俺が何を読んでいるか分からないから、パラパラと捲る。
そこにあったのは、異界人という疾風のように召喚される存在。
代々から召喚術というものが高貴な王族の間で伝わっている。
正確な術式を床に描き、魔術師五人で力を込める。
異界と呼ばれる場所から共鳴した力を持つ人間を召喚する。
確か、国王のところに行った時に誰かを呼ぶ話があるらしい。
既にザット団長には知らせていて、俺や他の騎士は後回しらしい。
そりゃあそうか、王族達からしたら英雄であるザット団長にしか期待していないんだろう。
別に召喚された人間に構っている暇はないから、そこはザット団長がやればいい。
そこで、今までのザット団長の行動に納得出来た。
なるほどな、功績を挙げたがったのはこういう事か。
くだらないものに付き合うのは嫌だが、仕方ない……アレを見られた俺の責任だ。
それはさておき、魔術師に共鳴した人間だから異界人は人間なのに力がある。
元の世界では、魔術を使う必要がないから能力を封印している。
魔術師がいる当たり前の世界だからこそ、潜在能力が発揮される。
俺も異界人は疾風が初めてで、疾風に潜在能力を感じなかった。
どんなに弱い魔物でも魔力があれば感じる事が出来る。
もし魔物がどんな方法か分からないが、この術式魔法陣を手に入れて召喚したとして、疾風は何を共鳴したんだ?
それとも、疾風がではなく場所が関係しているのかもしれない。
俺と同じ場所で同じように車で轢かれた。
その場所がこの世界に繋がるなにかで、たまたま魔物がその場所と共鳴したのかもしれない。
でもこの話には続きがあった。
召喚された異界人を元の世界に帰す方法はある。
それは召喚者の願いを叶える事。
役目を果たすために、異界人はいる。
当然、役目が果たせない異界人もいる。
その時は、召喚する前の時間と場所に戻されて記憶がなくなる。
疾風の召喚者は魔物で、疾風は魔王候補にされていると言っていた。
そうなると、魔王になるまで帰れないという事になる。
疾風は絶対にそんなものにさせないから、これはまぁいい。
問題は、召喚する前の時間と場所に戻す事が出来るという事だ。
疾風は知ってるのだろうか、知ってても疾風はやらないだろう。
元の世界に戻ったら無事ではない。
まだ疾風は来たばかりで、元の世界に未練がある。
俺のように死んだわけではないから、疾風はなかなか諦めないだろう。
もしかしたら、元の世界に帰るために魔王になると言いかねない。
そんなリスクを負うより疾風は俺の傍に居ればいいのに…
もし疾風が選んだ本の中にこういうのがあったら読むつもりはない。
何も知らなくていい、疾風は俺が大切に愛して守る。
廊下を歩いている時、疾風が言っていた事を思い出して考える。
魔物を街中で見かけた、か。
街に魔物が入れない結界はない、俺達も似たようなものだから身体に悪い。
いざという時、動けないのは国の滅亡に繋がる。
その代わり、門番は強い騎士がいる。
俺達も常に見回りをしているから、魔物が現れるとは思わなかった。
何処から紛れ込んだのか分からないが、街は騒ぎになっていない。
散歩しているだけとは思えないが、他に何の目的がある?
前からザット団長に執着しているのは分かっている。
でもここは魔物よりも遥かに強い騎士が大勢いる敵陣の中、そこに突撃する知能の低い魔物がいないとは言わないが一度全滅寸前に追い込んだ事がある。
もう一度やりたいなら構わないが、突撃する事はなかった。
森で会った人間に近い容姿の魔物は知能が他とは違った。
賢い魔物は時に厄介だが、考えれば考えなしの突撃はしない。
作戦を考えて突撃する準備をしても、窓からしか見えない疾風が分かるほど堂々としているのは可笑しい。
魔物が探しているのはもしかして疾風か?
疾風からは身代わりで逃げたと言っていた。
確かに大事な魔王候補の筈なのに可笑しい話だ。
でも、もし探しているのなら俺がこの手で始末する。
「あ、クレイドじゃん!」
「……」
城を出たところで面倒な男の姿を見て、すぐにでも引き返したくなった。
茶髪の優男は馴れ馴れしく俺の肩に腕を回した。
そのまま居ないもののように歩き出す。
クリスというこの男は同期の騎士で、出会ってからずっと馴れ馴れしい。
突き放しても変わらないから、無視する事にしている。
それでもクリスにとっては効果がない。
「ザット団長が探してて、部下がクレイドを探してたぞ」と紛らわしい言い方をしていた。
普通にザット団長が探しているだけでいい。
「相変わらずこき使われてるんだな、親友として悲しい……いい加減自分の人生を歩んだ方がいいんじゃないか?」
「……」
クリスが暑苦しくて、振り払い歩みを早めた。
俺のザット団長に握られている秘密は知らないが、ザット団長の身代わりになっていると推理している。
面倒な奴で、ずっと無視をしているから本人は真相が分かるまで周りには言っていない。
これからもそんな話をするつもりは一生ない。
仲良くなるつもりは微塵もない、でもいつもクリスが絡んでくる。
ザット団長のところに行くか、次の魔物の拠点の話か。
クリスがずっと後ろから付いて来るから、ザット団長との話は聞かせられない。
近くにいる騎士にクリスと一緒に見回りをするように言うと、クリスのところに行く。
これでもう邪魔はいなくなったと、ザット団長の部屋に向かった。
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