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1. 俺の幼馴染

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「ねぇサク、SEXしてみる?」

 潤んだ瞳で軽く上目遣いに見つめながら、雪は言った。
 あまりの事に一瞬言葉の意味を理解できず、俺は目を見開いた。



 俺は柊 咲人(ひいらぎ さくと)。サクでいいぞ。皆そう呼ぶからな。
 俺には超絶可愛い幼馴染がいる。

 彼女は東雲 雪(しののめ ゆき)。

 親同士が大親友だった事もあり物心つく前からの幼馴染である俺らだが、歳を重ねるごとに美しく輝いていく彼女に、俺は次第に距離を感じるようになっていった。
 だって、雪は一度街を歩けば10人中11人(俺の視点が含まれている)が振り返って2度見するくらいの超絶美少女だ。

 肩甲骨くらいまで伸ばしたストレートな艶やかな黒髪、通った鼻筋、ぷっくりとした小さなプルプルの唇、長いまつ毛。
 零れそうな程大きな瞳は、星空のようにキラキラ輝いている。

 これでいて成績優秀、スポーツ万能。

 もう、どこのチートキャラだよお前。
 幼馴染の贔屓目なしにヤベェこいつ。

 対して俺は顔は平凡、成績も中の中~上の間を行ったり来たりしてる感じ。スポーツもそこそこ。

 もう俺のステータスって、こいつの『幼馴染』だって事くらいじゃね?

 だけど、雪はこんなパンピーな俺にも気さくに話し掛けてくれる優しい女の子だ。

 そんな良くできた女の子だから、雪はモテる。
 それはそれは滅茶苦茶にモテる。

 その人気は学年・学内に留まらず、家がある区内にいる雪を知ってる男はほぼ全て雪の事が好きなんじゃね。

 そんな男達とも雪は笑顔で会話するのだから、俺はヤキモキしっぱなしだ。

 ただ、雪は恋愛事にはあまり関心がないらしく、浮いた噂などは1つもない。
 もう1つ不思議な事に、雪をいやらしい目で見て迫ってくる男が1人もいないのだ。

 雪が女の子としての魅力に欠けているとかでは、断じてない。

 現に俺は、雪の唇を見ては吸い付きてぇ、プルプルの唇をハムハムしてぇとか思ってるし、オッパイを見ては揉みしだきてぇ、チューチューしてぇとか思っている。

 いや、やらないよ? てか、できないし。

 でも、そうわかってる。
 そんな雪も、いつかは誰か知らない男のモノになってしまうんだって事。

 それを思うと胸が張り裂けそうだけど、それが現実。

 嫌だと駄々をこねても、俺にワンチャンあるワケでもなし。

 俺は雪の枷にはなりたくない。

 その時になったら、俺は涙を流しながら橋げたのコンクリートに頭突きをかまし、頭から血をダラダラ流しながらホットミルク(まだアルコール駄目なので)飲んでふて寝するんだ。

 そして、次の朝会ったら笑顔で言ってやるんだ。

『おめでとう』

 あ、涙出てきた。チクショー!!

 残された時間はあと半年足らず。
 高校からは進路が違う可能性もある。

 約束された『不幸』から目を背け、つかの間の『幸せ』を享受する。

 男は辛いなぁ、ねぇ寅兄ぃ。



 そんなある日俺はホクホクとした幸福感を胸にイソイソと帰宅した。

 悲しかったんじゃないかって? 男には色々あんだよ。

 悪友(タダのチャラ男)から回ってきたエチぃDVDが入ったカバンを大切に胸に抱えて。

 今日から3日間、両親とも家にいない。
 と、なれば? そう、オナニー三昧だ。

 オカズは雪、テメーだ。ザマー見ろ。

 部屋のテレビの前にあるテーブルにDVDを置いて、ティッシュをセット。
 脱水症状を警戒して、スポーツドリンクも用意する。

 さてと…。
 待て待て、焦るな俺。

 俺は逸る気持ちを抑えて学校の課題、授業の復習、さらに次の範囲の予習、とやらなきゃいけない事を先に終える。

 俺が学校の勉強? らしくないだろ?

 超人の幼馴染にちょっとでも置いていかれないための、涙ぐましい努力だぜ。

 それでも気が急いたためか集中力が散漫になり、いつもより時間が掛かってしまう。

 もう少しで終わる、そんな時だ。

 来客を告げるインターホンの音が鳴り響いた。



ピンポーン




~~感謝~~

 本作を見つけて頂き、目を通して頂きありがとうございます。もし気に入って頂ければ、感想などお願いします。

 誤字・脱字、日本語としておかしい、文書に矛盾があるなどの指摘も歓迎。

 辛口の批評なども大歓迎。

 すでに書き上がったモノを投稿してますので「モチベーションが…」とかヘタれた事は言いません。
 ただ、自分メールなど打つのが遅いので、物理的に時間がない場合はチョット遅れるかも知れません。

 でもなるべくサクッと全話上げるつもりなので、よろしくお願いします。
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