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if story アルサーラー編(真)

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「なんて、ね」
「へ?」

 ユーリは魔力を解き、笑みを浮かべて俺に向き直った。その顔は皆といる時の、いつもの彼女の優しい表情だった。

「実は…もう既に知っているんです。全て」





☆●◇■△▼*▽▲□◆○★





「あ…もう行っちまったな」
「うん…大丈夫だよね?キョウくん…」

 キョウさんがニーズヘッグ様の指示でどこかに転送されししまいました。ニーズヘッグ様もどこかに行ってしまったようですし、どうしましょう。

「あの…ユーリさん、ちょっと」
「はい?」

 何でしょう、アナシアさんが私を呼ぶなんて珍しいです。アナシアさんは私の手を取って近くの林の中へ連れて行きました。林の中にはアナシアさんの兄であるジンさんが待っていました。

「えっと、ジンさん?私に何か用でー」
「ほいっ」

 ジンさんが不意打ちに私の頭を謎の光で貫きました。その瞬間色んな人の記憶が一気に頭の中に流れ込んで来ました。そしてその内容としては…

「嘘…ガラ…ギラ…」

 私とあの人との間にできた双子の息子の一生
 クライス家の今まで
 ベルバーグ家の今まで
 そして、二人の正体…。

「すまねぇ。もうアンタも薄々勘づいていたかもしれねぇが、これが真実だ。今まで騙すような事をして悪かった」

 クライス家を襲撃したのはベルバーグ家なんかじゃなくてキョウさん自身。あの噂はベルバーグ家がいやいや吹聴した真っ赤な嘘。そして彼がガラとギラを…。
 しかし何より驚いたのは二人がキョウさんにした仕打ちの数々。いいえ、二人だけじゃない。お兄さんとお姉さん、親であるガランドールとフレグラスさんまで。

「許してくれとは言わねぇ。ただ、今は怒りを抑えてほしい。アイツが世界を救うまでは俺が何でも言う事を聞こう。だから…」

 ジンさんは私の前で深く頭を下げました。
 最初は許す気になれなかった。けれど昔の二人の様子を見て失望してしまった。確かにあの子達は私がお腹を痛めて産んだ子。可愛くないはずがない、そう思っていた。でもダメ。二人がキョウさんにした仕打ちを見て一気に情が冷めてしまった。
 あの子達は私の子。けれど私の子じゃない。よく分からない感情が渦巻いてどうすれば良いのか分からない。ただ、友達を庇って頭を下げ続ける一人の男の子を目の当たりにして、彼らを憎む気にはなれなかった。

「分かりました。正直、私も今はどうすれば良いのか自分でもよく分からないのです。だから一つ、私はアナタ達にお願いしておきます」

 私には許す許さないの問題で、どうしても許せない人が一人いる。
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