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魔境地帯編

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ベルバーグ家にて

「うぅ…水が飲みたい。でもベッドから出るのはキツいし…うーむ。お、そうだ」

 アナシアに蘇生されてから数時間後、未だに吐き気が収まらない。ベッドの上から動けないでいた。

「暇だし、読みかけの本でも読もう。未知なる真実と寄り添えば、こんな吐き気どうってことぉおrrrrrrrr」

 逆効果である。こんな時に文字を読むのは。

「ぐぬぬ…少し落ち着こう。精霊魔法、出てこいウンディーネ~」

 傍らにウンディーネを出現させ、空中に水を生成させた。どんな時でも水分補給ができるから便利な魔法だ。

「ゴクッゴクッ…ふぅ、少し落ち着いた~。ん?あれ?」

 俺、精霊魔法使えてる?





☆●◇■△▼*▽▲□◆○★





「着きましたわ」

 公共機関を利用する事約四時間。そこから徒歩で約二時間。ようやく魔境地帯に着いたらしい。昼頃に出発したため外はもう真っ暗である。

「それで?アナシア、これからどうする。夜もだいぶ更けて来たんだが」
「えーとですね…あっ、ありましたわ!あそこです!」

 アナシアの指さした方向を見ると、岩や草木に囲まれている場所が何やら薄らと光っている。岩の陰に灯りがあるようだ。
 俺とアナシアはソコへ向かい、草木をくぐり抜け、岩の陰に回った。すると、二つのテントがソコには立てられていた。

「ジュナさん。レイさん。アナシア・ベルバーグ到着しました」

 アナシアがテントの前でそう言うと、テントの中から二人の男女が顔を出した。

「わーっ!アナシア、来てくれたんだ!ハハッ、ありがとう!まー、とりあえず入って入って」
「…長旅、お疲れ」

 ジュナと呼ばれた女性とレイと呼ばれた男性。二人は俺達の姿を見るなり快くテントに招き入れてくれた。

「おやおや?キミは誰かな?初めましてだよね?ねっ?」
「は、はい。キョウ・クライスです。ちょっと訳あってアナシアと同行している者です」
「あっ…キミが噂のキョウくんか。ジンの精霊から色々聞いてるよ。なんか~…大変だったみたいだね?」

 精霊魔法って情報伝達も思いのままなのか、本当に便利な魔法だな。

「おっと紹介が遅れたね。私はジュナ。ジュナ・アートラスト。ハンターとして活動しているよっ」
「レイ・エメラルド。俺も同じハンターだ。ジュナは槍、俺は銃を使って狩りをしている」

 ハンター
 一定の怪奇モンスターの調査や討伐を主に活動している。
 依頼主から依頼を受け、仕事として活動する者や、自己的に進んで趣味のような感覚で活動している者も多い。二人は活動のほとんどが後者に当てはまるようだ。
 特にこれといった組織図や協会等の存在は無く、かなりマイナーな職業と言っても過言では無い。
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