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村開拓編

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「いやぁ愉快愉快。村だどんどん発展していくのは見ていて中々に気持ちがよかったわい」

 町興しの日の夜。就寝前。俺とダイランは客室のベッドに横たわりながら雑談をしていた。
 もちろん別々のベッドだぞ。俺の寝ているベッドの隣にダイランが寝ているベッドがあるんだ。

「楽しんでもらえたようで良かったです」
「村の連中もキョウ殿の頑張る姿を見て段々と心を開くようになってきましたし、もう副村  長…あ、いや副町長の座は不要かのぉ」
「あっはっは。何を言ってるんですかダイランさん。これからですよ、これから」
「…ところでキョウ殿」
「はい?」
「ワシ、明日誕生日なんじゃよ」
「おぉ、そうなんですか?おめでとうございます。明日でお幾つに?」
「ちょうど80じゃわい」
「お~、これからも長生きしてくださいね。俺もダイランさんくらい長生きしたいな~」
「キョウ殿は早死にしそうじゃがのぉ」
「えぇ…」
「ハッハッハ!いやぁすまんすまん。ただの"よく当たる老人の勘"じゃから気にせんでください」
「いや、めっちゃ気にするんですけど…」
「それでキョウ殿。ここからが本題なんじゃよ」
「はい、何でしょう?」
「ワシ、誕生日プレゼントが欲しいんじゃよ」
「お、良いですよ。俺があげられるものなら何でも言ってください」
「それじゃあ…この前採掘場で掘り出したと言う、あの透明な板をくれまいか?」
「え、あの奇跡的に掘り出したダイヤモンドのプレートですか…意外ですね、ダイランさんも宝石とか興味あるんですね」
「ダイ…モン…?まぁ、よく分からんがアレが良いんじゃよ。せっかくなら使
「?…とりあえず分かりました。差し上げますよ。あのプレート丸ごと」
「おぉおぉ…ありがとう。それじゃあキョウ殿。ワシは…そろそろ眠るぞい」
「はい。おやすみなさい」
「…」





「キョウ・クライス…村は任せたぞ」





 翌朝。目が覚めると、ダイランは隣で眠っていた。
 起こそうと体に手を触れた。
 冷たかった。

 俺はスグに墓地を作り、ダイランをソコへ埋葬した。
 朝一に村人をかき集め、この事を伝えた。
 町に初めての墓地。
 初めての埋葬。
 初めての葬式。
 初めての参列者。
 ダイランの墓石を作り、最期までしっかり見送った。

 町に作られた最初の墓はダイヤモンドでできていた。

村長ダイラン 享年80歳
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