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序章

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「うわぁ!?何だコレ!?燃え…てる?」

 確かに今俺の体からは炎が出ている。だが決して熱くは無い。むしろ落ち着くというか、清々しい気持ちだ。

「本物…だよな?」

 そう思いアルゴの服の端をちぎり、指先に力を集中させる。すると身体中に纏っていた微かな炎が指先に一点集中、ライターほどの炎になった。
 試しにそれを先ほどの布に近づけると勢いよく燃えた。あっという間に指でつまんでいた箇所まで燃え移り、跡形もなくなった。同時に俺の指も燃えたはずだが、少し熱気を感じた程度で特に火傷はしていない。

(これは炎魔法…!?アルゴを殺したら急に使えるようになったぞ…まさか…な?)

 俺は確証を得るため、ある部屋に足を進めた。
 斧を片手に。





☆●◇■△▼*▽▲□◆○★





 私はマイラ。優秀な一人の兄と優秀な可愛い二人の弟を持つクライス家の長女。キョウ?あんなの弟と思った事は無いわ。
 この前アルゴ兄様がキョウを焼き殺そうとして失敗したって話を聞いて、ソレを生で見たかったなぁ~なんて思いながら眠りに着いたはずなのだけど。

「ん…ん~…何コレ!暑い!」

 あまりの部屋の熱気に目を覚ましてしまったわ。窓の外を見る限りまだ夜中じゃない!最悪!それになんか臭い…。

(ふぅ…厨房の冷蔵庫に何か飲み物ジュースあったかしら…)

 城の一階にある厨房へ行こうと部屋を出た時、私は目を疑った。

「嘘…」

 城が炎上していた。辺り一面火の海で、廊下の炎もあと少しで私の部屋に届きそうな所まで燃えてた。
 慌てて私の氷魔法で消火するけど、炎の勢いは増す一方。もうどうしようもない。

(早く…早く逃げないと!)

 氷魔法を駆使して炎で火傷しないように一階まで駆け下りたところ、急な突風に襲われた。

「きゃあ!?あっ、熱い!火の粉がぁ!」

 今の風、外からのものじゃない。おそらくはガラの風魔法。何を考えているのかしら、こんな時に風なんて起こしたら火が強くなるだけじゃない!

「ちょっとガラ、やめなさい!このバカ!アルゴ兄様もギラもガラを早く止めて!」

 慌てて階段を駆け下り、やっと城の大広間に着いた。出口までもうすぐよ。

グチャ

 ん…?
 何か踏んだみたい。変な踏み心地…こんな時に何よ!

「一体なん…きゃ…きゃあああああぁぁぁ!?」

 私が踏んだもの、それはまっ黒焦げになった誰かの焼死体だった。
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