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日常
初めての玉遊び
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「ぶ~~~…」
先日の件で外出禁止を言い渡された心美。不貞腐れた感じで頬杖をつき、窓の外を眺めている。「退屈なのにお兄ちゃんのせいで外に遊びに行けないよ~」という文字列が心美の背中から読み取れる。
俺は一つため息をつき、ある提案を心美に持ちかけてみた。
「心美」
「ん~?」
「ちょっと俺の遊び相手をしてくれないか?」
「…お兄ちゃんの?」
☆●◇■△▼裏庭へ▽▲□◆○★
アパートの裏にある裏庭という名の空き地へ心美を連れ出した。そして俺が用意したのは柔らかい手のひらサイズのゴムボールとグローブ。皆様お馴染みのキャッチボールセットである。
「ちょっと最近肩が鈍ってきてな、少しキャッチボールの相手でもしてくれ」
「んー…いいけど…」
機嫌が悪いからなのか、あまり乗り気の様子では無い心美。無理強いはしたくないが、このまま部屋の中、気まずい空気で二人きりなのもキツイ。俺は半強制的にキャッチボールを開始した。相手は幼女だ。もちろん軽く宙に放る程度に投げた。
「あわ…わ!わ!わぁ!…と、取れた!」
千鳥足を踏みながらも心美はボールを無事にキャッチ。はめているグローブにすっぽりと収まっている。さっきまでの機嫌の悪さはどこへやら、心美は嬉しそうに今取ったボールを見せびらかしながらピョンピョンと跳ねている。すっかり上機嫌だ。
(ふふん…チョロい)
「お兄ちゃん何か言った?」
「ギクゥ!?いや!?何もぉ!?」
心を読まれた!?恐ろしい子!
「ほ、ほら心美。次は心美の番だぞ!おいで~おいで~」
「う…うん。ていっ!」
何とか誤魔化せた。
心美は大袈裟に振りかぶってボールを投げた。しかし所詮は幼女。どれだけ思い切り投げようともパワーはロリっ子級。放たれたボールは俺の左斜め上にゆっくりフワフワ飛んできた。
「おっ…とと。やるな心美。けど…まだまだだね」
ちょっと意地悪したくなった俺はさっきよりも強めにボールを投げた。もちろん怪我はさせないように配慮した威力だ。
「わっ…ん、お兄ちゃん強く投げたでしょ!あぶない!」
「ありゃ、バレたか~ハッハッハ」
心美は難なくキャッチ。強めに投げたのを見透かされ、怒られる俺氏。
「うー、心美も本気で投げるからね!知らないからね!」
「良いだろう、かかって来なさい」
完全に調子に乗っている俺は心美を煽り散らかす。
いくら頑張って投げても大した威力は出なー
ズギュウウウウウウウウウウウウウウウン
ゴシャアアアアアアアアアアアアアアアア
シュルシュルシュルシュル………
「…ふぇ?」
心美が投げたボールは高速で俺の頬を掠め、庭を囲っている塀にめり込んでいた。塀にめり込んでも尚ボールは数秒回転し続け、回り終わった今ようやくボールは落ち…て来ない。完全に塀にめり込んでいる。
「…スーッ」
突如謎の才能が開花した心美。それを目の当たりにした俺が取った行動。それは
「心美」
「んー?」
「…やっぱり部屋の中で…遊ぼうか」
逃げる事だった。
先日の件で外出禁止を言い渡された心美。不貞腐れた感じで頬杖をつき、窓の外を眺めている。「退屈なのにお兄ちゃんのせいで外に遊びに行けないよ~」という文字列が心美の背中から読み取れる。
俺は一つため息をつき、ある提案を心美に持ちかけてみた。
「心美」
「ん~?」
「ちょっと俺の遊び相手をしてくれないか?」
「…お兄ちゃんの?」
☆●◇■△▼裏庭へ▽▲□◆○★
アパートの裏にある裏庭という名の空き地へ心美を連れ出した。そして俺が用意したのは柔らかい手のひらサイズのゴムボールとグローブ。皆様お馴染みのキャッチボールセットである。
「ちょっと最近肩が鈍ってきてな、少しキャッチボールの相手でもしてくれ」
「んー…いいけど…」
機嫌が悪いからなのか、あまり乗り気の様子では無い心美。無理強いはしたくないが、このまま部屋の中、気まずい空気で二人きりなのもキツイ。俺は半強制的にキャッチボールを開始した。相手は幼女だ。もちろん軽く宙に放る程度に投げた。
「あわ…わ!わ!わぁ!…と、取れた!」
千鳥足を踏みながらも心美はボールを無事にキャッチ。はめているグローブにすっぽりと収まっている。さっきまでの機嫌の悪さはどこへやら、心美は嬉しそうに今取ったボールを見せびらかしながらピョンピョンと跳ねている。すっかり上機嫌だ。
(ふふん…チョロい)
「お兄ちゃん何か言った?」
「ギクゥ!?いや!?何もぉ!?」
心を読まれた!?恐ろしい子!
「ほ、ほら心美。次は心美の番だぞ!おいで~おいで~」
「う…うん。ていっ!」
何とか誤魔化せた。
心美は大袈裟に振りかぶってボールを投げた。しかし所詮は幼女。どれだけ思い切り投げようともパワーはロリっ子級。放たれたボールは俺の左斜め上にゆっくりフワフワ飛んできた。
「おっ…とと。やるな心美。けど…まだまだだね」
ちょっと意地悪したくなった俺はさっきよりも強めにボールを投げた。もちろん怪我はさせないように配慮した威力だ。
「わっ…ん、お兄ちゃん強く投げたでしょ!あぶない!」
「ありゃ、バレたか~ハッハッハ」
心美は難なくキャッチ。強めに投げたのを見透かされ、怒られる俺氏。
「うー、心美も本気で投げるからね!知らないからね!」
「良いだろう、かかって来なさい」
完全に調子に乗っている俺は心美を煽り散らかす。
いくら頑張って投げても大した威力は出なー
ズギュウウウウウウウウウウウウウウウン
ゴシャアアアアアアアアアアアアアアアア
シュルシュルシュルシュル………
「…ふぇ?」
心美が投げたボールは高速で俺の頬を掠め、庭を囲っている塀にめり込んでいた。塀にめり込んでも尚ボールは数秒回転し続け、回り終わった今ようやくボールは落ち…て来ない。完全に塀にめり込んでいる。
「…スーッ」
突如謎の才能が開花した心美。それを目の当たりにした俺が取った行動。それは
「心美」
「んー?」
「…やっぱり部屋の中で…遊ぼうか」
逃げる事だった。
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