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――王都へ戻ると

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王都へ戻ると多くの人々が歓迎をしてくれていたんだけど、一部歓迎してくれていない人たちもいた。特に今回はシュヴァルツヴァルトへ侵攻したわけではないので、新たな土地の開拓がなかった。その為か兵士達の不満が大きいみたい。

久しぶり治療室へ行くと聖女様が治療するということで既に長蛇の列ができていて、驚いたんだけど、ほとんどの人がそんな深刻な状況ではなかったので、午前中には治療が終わった。

「聖女様、お疲れ様でした」

「ドクターワトソン様、その聖女様はやめてください」

「いえ、今後はこう呼ばしていただきます」

この治療室の長であるドクターワトソンさんでさえ、私のことを聖女様と呼ぶようになってしまって、少し居心地が悪くなったんだけど、マーリン様から修行の一環だということで.治療は続けないといけないらしい。こうして憂鬱な日々を送ることになった。

***

ひげを生やした白い人と黒い人が話をしている。

「フフフ…思ったよりすごいことになっている」

「そうだな…あんなにすごくなるとは思わなかったな」

「そうだな」

「まだまだ、すごくなりそうだな」

「そうだな。あとは彼女次第」

「そういえば、魔王達が驚いた顔」

「あれは傑作だったな」

「ホントにあの間抜け面は面白かったな」

「そうだな」

「これからが楽しみだな」

***

4人の魔王が集まっていた。漆黒の牛の顔にてんこ盛りの筋肉を持ったブートギアが叫んだ。

「なんだ。あの化け物は」

白髪の髪にルビーのような赤い瞳を持った氷の女王ミネルバが鼻で笑った。

「きっとあなたにだけは言われたくないというわよ」

「なにー!!」

2人をなだめる黒い長髪と青い瞳の月夜の女王カグヤが

「ふたりともやめなさいよ」

「そうだよ。それよりこんな強いやつがいるなんて、早く戦いてぇー」

指をぽきぽきさせながら体を震わしていたのは、コンゴウだった。

「それよりシュヴァルツヴァルトの魔物が委縮してしまっているよ」

「そうだな…真ん中に大きな湖までできいたせいで、シュヴァルツ火山が噴火を始めている」

「そのせいでせっかく名前を付けた魔物も逃げ惑っている」

「報告では、魔力は5らしい」

「そんな馬鹿な!!魔力がたった5であんなクレータができるものか」

「どうする?」

「しばらく、静観するのが一番じゃねぇ?」

「どうせ、人間のすることだ、教会がほっとかねぇえよ」

「そうだな」

***

教会総本山

「教皇様…偽聖女の件でございますが」

「なんだ…そのことか」

「実は、ホーリーからの報告でクラリスは寝返ったと聞いています」

「ほう…寝返ったか」

「はい。聖なる誓いが解けているようです」

「そうか、あれを解けたのか」

「多分…あの偽聖女かと」

「危険だな」

「は…危険でございます」

しかし、この後の刺客は、ライデンによって葬り去られていたのだった。そのことを聞いた教皇は騎士団を出すことを決意しだのだった。

「消えてもらわねば、騎士団を出す」

「はっ…」

教会は、聖騎士団1万の派兵を決めたのだった。








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