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第6話 はじめての戦い

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勇者タニグに襲われてから1週間、食料も底をついた。本来ならヒールポーションを売ってGゴールドと交換するんだけど、イベント拘束のおかげで、そのヒールポーションも作れなかった。そして、手持ちは母が残してくれた5Gだけ、仕方がないイーストランドに行こう。
 こうして私は、自分の家を出発した。するとしばらくして、運がいいことにヒール草を見つけ、手に入れた。実は、ヒール草だけでも、1ゴールドになる。1Gだけど、ないよりかはましだ。もう少し探そうかと思ったんだけど、街道を離れるとモンスターや勇者に会う確率が上がるかもしれない。ここはとにかく、寄り道をしないで行くことに、そのことが功を奏したのか何とか運よくイーストランドへつくことが出来た。
 とりあえず向かったのは薬屋さん、ここで、ヒール草をGに換金することが出来た。こうして、手持ちは6G、1G=2食ということから、12食手に入れることが出来たんだけど、でも、必要最低限の食事だ。
 私は、その食事を購入し、自分の家へ向かうことにした。一日2食で、やりくりをしないといけない。そんな切実な現実が待っているんだけど、それは、真摯に受け止めることにして、兎に角、6日間で、ヒールポーションを量産しないといけない。これが、私の使命だと確信し家路を急いだ。

****

 そういう訳で本来は、街道を歩いている帰る予定がだったんだけど、その焦りが私を突き動かし、ちょっとだけ街道を外れ、家のある方へ直進していた。そこは、東の魔の森の近くの草原だった。
 すると運悪くモンスターが現れたのだった。

『ウサドンが出現した』

表示が出て、画面がマップモードに切り替わった。しまったと思ったんだけど、始まってしまったものは仕方がない。見た目はピンク色のおデブなウサギで、右目には、斜めに傷が入っていて、少しいかちいんだけど、そんな敵がマップの中心にいた。そして、私は、マップの右下になっていて、ターンは私の番になっている。早速、索敵を使用し、ウサドンのパラメータを見た。

 LV2、ライフ40、HP30、MP10、知力0

 これは、弱いと判断した私はすかさず、移動を選択、しかも、2マス移動できるところを1マスだけの移動にした。すると案の定、敵は、2マス接近してきた。と言うことで、近づいて攻撃だ、ファイアーアタックはまだ60%なんで使えない。とりあえず、殴るを選択すると

 バキ!!

 ダメージ20を与えたんだけど、次は敵の攻撃のターン、当然、攻撃をしてきた。当然、回避をしたんだけど、えっ?く・・・口から水鉄砲?ウサドンはまさかの水鉄砲で攻撃してきたのだった。うさぎの口から水鉄砲とは、驚いた私は思わず当たってしまった。

 ピューッ!!

 バキ!!

 10のダメージを受けてしまった。この状態ではまずいのは確かなんだけど、索敵では敵の攻撃まで予測できない。どうする?逃げることも出来ない。選択肢には、移動、攻撃、回避の三つしかない。当然、ファイアーアタックも80%なので使えない。とりあえず、攻撃の殴るを選択。

バキ!!

 ダメージ15ってことは、体力が残ってしまった。当然、敵の攻撃のはずなんだけど、突然、画面が切り替わった。そこにはウサドンは目の前で崩れて落ちる姿があった。こんな攻撃あり?と思っているとへたり込んだウサドンが話しかけてきた。

 「ま・・参った。命だけは、助けてくれ」

 こうして、私の軍門に下ったウサドンなんだが、結構、物を持っていた。それは、かつてLV1の勇者が2回ほどきて、返り討ちにしたことがあったそうで、皮の鎧2着と青銅の剣が2本、青銅の盾も2つ、更に魔法袋が2つ、その中には、10Gづつ合計20Gがあった。そこで不思議に思うのは、何故、彼が武具をつけていなかったのかなのだが、理由は簡単だった。体に合わなかったからだった。通常は、武器屋に行って調整してもらうのだが、彼には、それが出来ない理由があったからだった。

「これでも、俺は、魔物だから、町へ行くと殺されるんだ。だから、ここで一人生きてきたんだ」

 ここにもいたか、ワンダークエストの被害者が、思わず私も声を出した。

「ぴょんぴょん!!」

 やっぱり・・所詮、モブキャラなのね。今だにこの言葉しか話せない自分が腹立たしいんだけど、同じキャラでも私はモブキャラの“モンスターR“、彼は、ウサドンと言う列記とした名前が付いたキャラとなっている。だから、ウサドンは言葉を話すことが出来る。う・・・うらやましい・・・そんなウサドンが話してきたのは、驚くべき言葉だった。

 「命を助けてくれたら部下なるから」

 こうして、ウサドンという部下を手に入れた私、実は、領地も20x10へ100マス増えることとなったのだった。
 それは、ウサドンとの食事会の時だった。おれは、カップ食品のニンジン味を彼に提供した。すると、双丘のぷるるんとした触感にほんのりしみているニンジンの風味に彼も魅了された。

「もんすたーR様、こんなおいしいものがあるとは!!本当にありがとうございます」

 そういって、カップ食品を食べ終わると、お腹が満腹になるのだ、不思議なことに、そういう食べ物なんだけど、その会話のついでに、ウサドンが何を食べていたのかという話になった。

 「ぴょんぴょん!!(ニンジン草?)」

 「そうこれがニンジン草だ」

 そういって、私の目の前に差し出されたのは、どう見てもその辺の草にしか見えない。なんでも、よく噛むとニンジンの味がするから、と言われ、かみしめると、苦みが口いっぱいに広がった。

「ぴょんぴょん!!(うわーにがい)」

 そう間抜けな叫び声しか出せない状態のた私に、ウサドンは、ヒール草を見せつけた。

「これを煎じて飲むと体力が少し回復するんだ」

そう言って、彼は、ヒール草をゴリゴリと煎じ始めた。そして、出てきたのは、強烈なにおいの青汁だった。それを、ごくごくと飲むウサドンは当然

「まずい・・・もう一杯」

って、言ったかと思うと、私に勧めてきた。

「ぴょんぴょん!!(いいえ結構です)。ぴょんぴょん!!(ところでヒール草はどこから取ってきたの)」

 するとウサドンは、平原をさして、あの辺に一杯あります。抜いても、翌日には元に戻っていますから、ほぼ、無尽蔵と言っていいかも、そんな言葉を聞いた私はあることを閃いた。それは、ヒール草をウサドンに集めてもらって、私がヒールポーションに生成する。ウサドンの情報によると1日5つくらいとれるそうだ。ということは、1週間で30個作れる。こうして、ウサドンと一緒に我が家に向かった。
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