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停戦交渉前夜
しおりを挟む「停戦だと!?」
そう困惑していたのは、ディカッシュだけではなかった。E2共和国軍部首脳もこれには困り果てていた。そんな情報を入手した抗戦派の議員たちの鼻息は荒い。しかし、E2共和国内へ侵攻してきた道の敵に対して、防ぐ手段がない軍部にとって、停戦というのは、ある意味で絶好の機会だった。
そして、最悪なお鉢は、ディカッシュに回ってきたのだった。
「お・・俺ですか?」
思わず普段の話し方が出てしまうほど、ディカッシュは驚いていた。未だに前線で残党狩りに手を焼いているのに、その上、交渉事までとは
「無理ですよ。この現状では」
するとメディチ提督がある暗号電文を送ってきた。メディチ提督、彼は共和国でも、名家の出身で、数多く国会議員を輩出し、政治、経済、そして、軍部まで幅を利かせている一族の出身だった。そんな彼だからこそ、この情報をディカッシュに伝えることが出来たのだ
「えt?」
そこには、捕虜の中に帝国第二皇太子ユング殿がいる。彼を戦死したことにして、交渉を進めろという内容だった。
事実、今回の戦闘で数多くの帝国の重鎮達を捕虜にしている。その中に、第2皇太子であるユングがいたのは、ディカッシュ自体も知っていて、極秘扱いにしていたのだった。もし、これが知れ渡れば、本国の国会議員たちが何を言い出すかわからない。だから、報告すらしていなかった。ディカッシュにとっては、戦死してくれた方がよかったのにというところが本音であった。
しかし、捕虜になったことは既に帝国にわかっていることだろう。逆に彼を返せと言ってくることは、明白だった。
やがて、ディカッシュの元へ帝国からの連絡がはいった。それは、八八艦隊司令ブラウンからだった。そうこうして、この戦争における英雄が初めて顔を合わせるのであった。
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