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翌日
しおりを挟む―――翌朝・・・・
「真奈美・・これ・・・」
そう言って母は、昨日にことで憂鬱な私に一枚の紙を差し出してきた。
「これは?」
そう聞いた時には、無理矢理、私の手に持たせてきた。そして、
「俊介君の住所よ」
「えっ?」
驚く私に母は、なんのためらいもなく。
「今日から行くのでしょ?」
「あれ・・・本当だったの?」
「そうよ・・・俊介君のお母さんも働いているから・・・ちゃんと手伝ってきなさいね」
「え・・あ・・・」
そういい残すと母は、さっさとリビングに戻って行った。私が言いたいことを全く無視して・・・うーん・・・困ったぞ・・・本当に・・・高取の所に行かないといけないのか・・・とぼとぼ歩いていると目の前に武を見つけた。
「おはよう・・」
私の言葉に足を止めじっと見つめる武・・・
「な・・何よ・・・」
さらに私をじっと見つめる武、そして、こう呟いた。
「元気ないな~」
―――た・・・確かに・・・元気ないかもしれないけど・・・別な意味で・・・だいたい・・私が高取の叔母さんで、しかも一緒に暮らすことになったなんて・・・言える訳ないし・・そんなことを考えながら、何も答えない私に、とうとう武は痺れを切らしてこう聞いてきた。
「気にしてるのか?昨日のこと・・」
「いえ・・・」
私は首を軽く横に振って武の言葉を否定した・・・そんな私を見て、武は軽く肩を叩いた。
「気にするなよ・・・」
「大丈夫だってば・・・」
少し声を上げ言い切る私だったが、言い切った後思わず溜息を付いてしまった。そんな私を見てやさしく声をかける武・・・
「ほら~やっぱり気にしているだろう・・」
「ちがうんだってば~」
思いっきり否定してみたが・・・たぶん・・・顔に出ていたのだと思う・・・そんな私を見た武はすぐに反論してきた。
「じゃあ・・・なんだよ・・・」
「何が・・・」
すると、武は私の顔を指差した。
「その顔・・・」
す・・するどい・・けど・・・言えない・・そう思っていると私の肩をポンと叩いてボソッと言った。
「まぁ・・・いずれ・・・おばさんになるんだから・・・」
・・・!!!
・・・プチ
この間、ほんの数秒間だと思う
「なんですって・・!!」
こう叫んだ瞬間には、右手の拳を高々と上げて武を追いかけていた。
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