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朝の会 5

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「まずは、二宮、三宅、川村、前へ出てこい」

担任の声は怒りのあまり震えていた。彼らの暴走は既に耳に入っていたのだった。

「お前ら自分がやったことが一体どういうことかわかているだろうな?」

先生の声はかなり震えている。それもそのはず、少なくとも山田さんのお尻を無理矢理触ったのだから、そのことに気付いた川村と三宅は保身に走った、

「二宮が、勝手に山田さんのお尻を触ったんです」

当然、見放された二宮は切れて

「お前ら何を!!三宅が女の子が山田さんが言って来たら、おしりを触っても大丈夫って言ったじゃないか」

「川村!!三宅、二宮が言ったことは本当か?」

「いえ!!そんなことは言ってません」

ついにブチ切れた二宮はダッシュで三宅のところに向かって行った。そして、次の瞬間

バキ!!

思いっきり三宅の顔面を二宮の右パンチがさく裂した。それを慌てて先生たちが抑えていたのだった。

そんな熾烈なバトルが始まっているとは俺は知らずに、廊下に立って、先生に呼ばれるのを待っていたのだった。

「なんか…騒がしいな?」

先生たちがクラスでも3番手に背が高く体格がいい二宮を取り押さえるのにはかなり苦労したようだ。そして、先生に抑え込まれた二宮の怒りはまだ収まっておらず三宅を睨んでいて、逆に先生の影に隠れる始末だった。こんなやり取りを見ていた教頭先生はあることに気付いた。それは、今回の件は、女の子と仲良くできない男子が、仲良くしている佐藤に嫉妬してやったことだと。

「なるほど…先生達」

3人の先生は教壇で協議をしている

「え?」

「そうなんですか?」

「たぶん」

「田中先生、あの生徒と仲がいい女子生徒たちは把握していますか」

「ええ・・」

「その生徒たちは、お尻が触られたと手を上げましたか?」

「いえ」

「そうでしょう」

「それはどういうことですか?」

「佐藤の反省文を読みましたよね」

「はい」

「あの反省文の中の好きな女の子へのスキンシップという言葉は、彼は仲がいい女の子へのメッセージだ」

「だとしたら?」

「今回、手を挙げた女の子は、誰かに脅されている可能性が高いと言ことだ」

「え?」

「つまり、もっと根深い問題があるということだ。すぐに今職員室にいる先生を呼んできなさい」

「はい!!」

こうして、5年4組には更に5人の先生が集まってきたのだが、俺は未だに廊下でじっと自分の出番を待っている。

「いったい何が始まったんだ?」

教室の中の様子はうかがい知ることはできないでいた。

一方、教室では先生たちが監視する中、みんな机に伏せた状態になっていた。しかも頭から自分たちの体操服を頭にかぶされた状態で、それを先生たちが隙間がないか一人一人確認している。特に、今回の首謀者である。三宅、二宮、川村の三人は、別の先生が教室から連れ出していたのが見えた。

「何があったんだ?」

廊下でずっと待っている俺は未だに蚊帳の外に置かれた状態で、教室の中は再び静寂に包まれた。先生の質問が始まっていた。

「いいか?顔を上げるなよ」

「これから質問をする。みんなからは見えないから正直にこたえろよ」

「佐藤が女の子のおしりを触ったのを見た人は手を上げろ」

そこには数人の男子と4人の女の子が手を挙げていた。すると先生方は4人の女の子の名前をメモしていた。一方、教頭先生は担任にその女の子達が俺と仲がいい女の子達ではないことを確認した。

「よし、わかった」

「続いて佐藤におしりを触られた人は手を上げろ」

すると4人の女の子が手を挙げたのだった。それを見た先生達は顔を見合わせて軽く頷いた。そして、次の質問が手を挙げた女子のうち2人をびくっとさせた。

「いいか、次の質問に正直答えること、そうでないと先生は共犯者とみなしますからね。人から手を上げるように強要された人は手を下げなさい」

まだ、小学5年生の子供である。その質問に動揺したに違いない。ひょっとしたら川村たちが見ている可能性もある。一方、共犯者にさせられる。そんな思いが挙げている手を委縮させたに違いない。

「わかった。みんな手を下ろしなさい」

しかし、この時の結果は先生たちを惑わせるのであった。結局、俺は、反省文を読み上げることになった。





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