ほえ?

Seabolt

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第3話

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「ほえ」

 俺が奇妙な声を上げたのは、美沙との甘いキスが終わり、彼女のうるんだ目を見た瞬間。彼女はいきなり俺の愚息を握ったのだった。そして、これはいけないことだと我に返ることが出来、大事な愚息を握られたまま、俺は、彼女の上から離れようとした。

「ぐぁ!!」

 なんてことをしてくれるんだ。彼女は俺の愚息をぐっと握ったのだった。その激痛たるや、息をのむほどだった。

「たろちゃん。どうしてやめるのよ」

そして、俺は彼女に謝った。

「ご・・・ごめん」

「どうしてあやまる?」

彼女の言葉に何も言い返せない。謝る必要は何もない。むしろ普通ならこんなサービスはめったにない。本来なら喜ぶべきところなのだ。だが、彼女は、14歳の中2と来ている。ということは、犯罪者になってしまった。多分、すでに犯罪者なのだろう。けど、まだ、最終防衛ラインは突破していない。この一線だけは、超えてはいけないのだ。と思っていると俺の愚息を握っている彼女が

「たろちゃん・・・」

甘えた声で問いかけてきた。

「たろちゃん・・・って・・・ひょっとして・・・どうてい?」

「ほえ?」

「だって、さっきから逃げてばかりじゃん」

「ち・・違うよ」

否定はするが彼女の目をじっと見ることが出来ない。そんな俺に視線を合わせようとする彼女は、小首をかしげで、しばらくすると、にっと笑った。

「私も初めてだから・・・」

「へ?」

再び、沈黙が流れた・・・・

「い・・・今なんて・・・」

彼女は悪びれる様子もなく

「だから、私、今日はじめてのHなんだから」

まるで、某番組の初めての・・・という感じで話し始めた。

「だから・・・お願い・・」

そう言われても困る。今だったら、まだ、何とかなる

「でも、初めてだと、こんなおっさんよりいい男の方がいい思い出になるだろう」

すると彼女は、俯いてしまった。そして、

「たろちゃんの意地悪!!」

そういって、彼女は、俺の玉を強く握った。

「ぐぁうーーーぎゃーーーー!!」

思わず彼女から離れて、大事な大事な玉を両手で隠した。後ろを向くとくくくっという彼女の笑い声がしてきた。

「なんてことしてくれたんだ」

「だって・・たろちゃんが意地悪だから。私、今日、決めてきたの。だから・・・お願い・・」

と言っているのだが、彼女の顔は半分笑っている。俺の惨めな姿がそこまで楽しかっただろう。どちらかというと必死で笑いをこらえているようにしか見えなかった。

「笑ってるぞ・・・顔」

「えっ?だって・・・あんな・・・バカな声…あげるなんて・・・・ヒィーーははははははは・・・」

しばらく笑いに苦悶する表情が逆にかわいく見えた。そして、ようやく笑いも収まったかと思うと、彼女は俺の前に正座をした。そして、三つ指を縦深々と頭を下げた。

「不束者ですがよろしくお願いします」

たぶん顔を上げて、直ぐに飛びついてくるだろう。ここは、必殺、北斗デコ神拳だ。俺は彼女の顔が上がって来て、垂直になった瞬間を狙った。

「残念だが、ここまでだ」

俺は彼女のおでこの中心に人差し指を置いて、前へ押した。

「な・・・なにを・・・ぐ・・・あれ?」

彼女は立ち上がろうとするが立ち上がることが出来ない。これぞ、必殺、北斗デコ神拳だ。彼女はもう立ち上がることはできない。といって、俺の人差し指が彼女のおでこにあることが条件なのだが。

「い・・いや・・・なんとか・・・もう・・・いい加減にして‥」

そう言いながら、もがく彼女に

「だから、お金は渡すから、今日はここまでにしないか」

すると、彼女の行動に俺は驚いた。そう、泣き出したのだった。

「せ・・・せっかく・・ひっく・・・決心・・・ひっく・・・して、ひっくしてきたのに・・ひっく・・・なんで・・たろちゃんの意地悪~わーーー」

そんな彼女を見て俺も同情してしまった。そして、指を離したが、彼女は、しばらく泣いていた。

「だって・・ひっく・・・だって・・本気だったのに・・・ひっく・・・どうして・・・たろちゃんの・・ひっく・・いじわる・・・ひっく・・・」

しばらくして、彼女が落ち着いたところで、どういうことかを聞いてみた。実は、彼女は、しばらく、シングルマザーの母親に育てられてきたらしい。そして、その母も新しい父と再婚をしたんだけど、その父にどうしてもなじめない。というのは、その父は、ダンディというかちょっとかっこいいのだそうだ。彼女の本当の父は、既にこの世にいないそうだ。しかし、俺になんとなく似ているので、親近感があるというのだ。背も低く小太りで、少し頭がはげかかっている。イケナイ男とよく似ていたと彼女が唯一持っている父親の写真を見せると。なるほどと思えることだった。

「でも、今日は、ここまでだよ。美沙は自分を大事にするように」

そう言って、彼女の頭を軽く撫でると、顔を真っ赤にして、俯いてしまった。そして、ぼそりと

「おとうさんみたい・・」

口元に手を当て、しばらく俺のことをじっと見ていた。そして、

「たろちゃんって・・・結婚しているの?」

「いや・・・」

「だったら、お嫁さんにしてよ。ね・・・お願いだから」







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