間違いで始まるストーリー

Seabolt

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不安

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「るみちゃん?」

山本が野村の後ろから声をかけた・・・・

「はい・・・?」

後ろを振り向く野村・・・

やばい・・・どうしようと思っていた野村

そこへ・・・

「はるか!ちょっと・・・」

西本が割り込んできた。

「なに?あやか・・・」

ちょっと悔しいがにこやかに話す野村

そのにこやかな笑顔も次の瞬間、凍りついた。

「知ってる?西村さんがかえってくるって。」と西本が言うと。

「えっ・・・」

山本の動きが3秒間止まった。

「どうしたんですか?はるかさん?」

心配そうに聞く野村・・・

「あっ・・・いや・・・」

山本にさっきまでの切れのよさはなかった。

「よかったじゃない・・・・はるか・・」

西本は山本の肩をぽんとたたいた。

「あっ・・・じゃぁ、行くわ・・・」

山本は落ち込んだようにその場から離れていった。

「はるかったら、もう照れちゃって・・・・」

にこやかに見送る西本

「あやかさん・・・その西村さんて?」

野村が聞くと

「はるかの彼氏、2年3ヶ月ぶりにこっちの職場にもどるって。」

「あのはるかさんの彼氏・・か・・ところでどんな人なんですか?」

「そうねぇ~」

しばらく西村と山本の話題で持ちきりだった。



山本は、自販機の前でぼーっとしていた

哲也が帰ってくるの・・か・・・とため息をついた。

そして、

どういう顔であったらいいんだろう?

それとももう別れたし関係ないか

とか混乱している中・・・・

「山本さん・・・浮かない顔してますね?」

声をかけてきたのは、恭介だった。

「なんだ・・・久保君・・・か?」

「なんだとはなんですか。どうしたんですか?なんか・・・元気がないですね?」

久保も自販機でコーヒーを買いベンチに座った・・・・

「彼が帰ってくるの・・・」

「彼って?あの遠距離の?」

「そう・・」

「ひょっとして・・・今度戻ってくる?」

「そう・・・」

「あちゃ~」

そういって恭介は天を仰いだ・・・

その頃野村は、自販機の前にいる山本を見つけた・・・

そして

近づこうとしたら。

恭介がいるのに気づき近くに身を隠した・・・

「どうしたら・・」

不安を隠せない山本・・・

「迷ってるんですか?」と聞く恭介

「わからない・・・」

「何で? 迷っているようにしか見えませんが・・・」

「う~ん」と山本は考えたあと、

「このまま、久保君を襲おかしら・・」

「何を血迷っているんですか?」

少しあせって恭介は答えた。

「冗談よ・・・本気にしたの?」

「まぁ、ちょっとね。」というと

「もうっ!」と手を上げる山本。

「おおっと!!」

手で受けようとし、コーヒーをこぼしかけた。

そして

「うわっ!!」

声を上げ慌てる恭介を見て

少し明るさを戻した山本、

恭介はその表情を見て

「普段どおりでいいんじゃないんですか?」

「そうねぇ~」

山本は恭介を見つめた。

「そうそう、仕事ができて、美人で・・・でも怖い山本さん・・」

「なに言ってるの、怖いは余分よ・・怖いは・・」

山本は少し元気な声をあげた。

「じゃあ、そろそろ仕事に戻ります。」

「じゃぁ・・・」

恭介は、山本を置いて去っていった。
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