間違いで始まるストーリー

Seabolt

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「おい、恭介!!」と呼び止める渡辺

「なんだよ、なべ・・」と振る向く恭介、

「金曜はどこ行ってたんだよ。」

「なんだよ。急に!!」

「朝帰りしたくせに・・・あやしいぞ・・・」

「だから言ったろう、高校の同期と飲んでだな。」

「同期って、おとこ?おんな?」

「あのなぁ、会社でする話か?」

「あやしいな~」と渡辺が突っ込む

そこに後ろから野村さんの声がしてきた。

「おはよう」

思わずびくっとなった恭介は、恐る恐る振り向くと、山本と野村が立っていた。

「あっ!  おはようございます」と挨拶する二人。

山本は、恭介に目線で合図をした。

恭介は、少しうつむき答えた。

野村を見ると恭介から少し目線をそらした。

そして

二人は行ってしまった。

「あ~びっくりした!!」

第一声を発したのは渡辺だった。

「何緊張してんだよ!なべ!」

「お前こそ!」

「俺は、後ろから急に声がかかったから、驚いただけだ!」

「うそつけ!」

「えらく、声をあげるな。本当はなんかあったんか?一喝されたとか?」

恭介は、思わずなべに聞いた。

「実は、金曜日!めっちゃ!かわいい娘をみつけてな!」

「それで?」

「それで、その娘、ナンパしたら横に山本さんがいて」

「いて?」

「一喝されたんだよ」そこまで言うと渡辺はため息をついた。

「一喝されてどうしたんだよ・・・」

続きを聞く恭介

「逃げたよ・・・」

「逃げたって?なべ、お前逃げたんか!?」

あの時の光景を思い出し笑い出す恭介

「ああ、もう一目散に・・・」

「どうして?」と笑いながら聞き返すと

「何、笑ってんだよ!恭介!!もうあれは、恐怖以外の何者でもない・・・」

「そんなに怖かったんか」

「ああ・・でも・・・かわいかったよなぁ、あの娘」

この言葉に恭介が慌てた。

「お前・・・その娘・・・ちゃんと見たんか?」と聞きなおす恭介

「ああ・・・」

「暗かったせいじゃ?」

「なんだよ。急に・・・」

今度は怪訝な顔をする渡辺・・・

あんまり聞くと怪しまれると思い恭介は、聞くのをやめた。



一方、野村が山本と歩きながら聞いた

「知ってました?」

「何を」

「久保君って、フランに行ってたこと」

「木曜日に一緒に見たじゃない」

山本は思い出したかのように言った。

「あっそうか・・・」

「でもどうしたの?るみちゃん」

「土曜日も会ったの・・・フランで・・」

「そうなんだ~・・で?」

「それがね・・・服忘れたんだって。おかしいと思わない・・・」

「ほんと。まぬけね?」

少し笑みを浮かべて、野村を見ると

少しうつむいてため息をついて

「よっぽど気合入っていたんでしょうね。金曜日に・・・」と野村が言うと

山本は、手で口を押さえ、口元の笑みを隠した。

そして

野村の方を指差した・・・

それを見た野村は「ちがいます・・・」

そそくさと逃げていった。
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