ホワイト・ルシアン

たける

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第2章.年下

2.

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高級ホテルのスイートルーム。夜景が綺麗だって確認する間もなく、部屋に入ってすぐキスをされた。

「んぅ……」

壁に押し付けられ──万歳する格好で、両手首を掴まれて──ながら、舌を絡められ、ズボンの上から股間を揉みしだかれる。

「はッ……はッ……」
「早く入りたい……」

荒い呼吸が互いの鼻先をかすめ、興奮が増していく。俺も早く欲しくて、誘うように笑んで見せた。

「可愛い……」

腰を抱かれ、踊るようにベッドへ移動し、倒される。ベッドが軽く軋み、滑らかなシーツが頬を撫でた。

「スーツ皺になっちゃう」
「じゃあ、脱がせてあげるよ」

ニンマリとする圭人の顔は、まさに鼻の下が伸びてる状態だ。出会った時は凛々しかったのに、凄い変貌ぶりだと思う。

「う……わぁ……凄い体ぁ……!」

裸にされ──スーツは全部ベッドの下だけど──じっと見つめられ、耳とアソコが熱くなった。

「は……恥ずかしいよ。もう、現役の時みたいな体じゃないから……」

とは言え、出勤前の早朝も、帰宅後の深夜も、走り込みは続けているし、週末のジム通いもしている。食事制限がなくなったからって、暴飲暴食もしてないから、そんなに劣化はしてない、筈、だけど、極端に運動量が落ちたから、その内……なんて、恐れてはいる。

「や、うん。現役の時の体は知らないけど、今でもめっちゃバキバキだし、それに……綺麗だ」

あれみたい、って、頭をひねりながらも、指先や唇が愛撫している。
ゴツゴツとした肉厚の掌が肌を撫で、太い指先が胸元の突起を捏ねてくる。体は行為に慣れているからか敏感ではあるけど、酷く胸がドキドキしていた。


──今更緊張してる、とか?


自分でも、そのドキドキの正体が分からない。考えたくても、意識を集中出来ないでいた。

「あ、思い出した。ダビデ像だ」

ヤッターって、笑う顔が子供──と言っても、彼は24歳なんだけど──すぎて可愛い。

「ミケランジェロ?」
「そそそ!完璧な体ってのかな?そう思ったの、澪君で2人目だよ」

確かに、現役の時にそう言う比喩で誉めそやされた事もあるけど、引退してから2年にもなるのに?


──嬉しいけど、2人目って言った?


「もう1人って……」
「沢村朋樹先輩」

どこかで聞いた名前だと、記憶の引き出しに手をかけた瞬間、内腿に熱い吐息がかかり、圭人がつ、と、俺のペニスを口に含んだ。熱く柔らかな舌や唇が、強い刺激を与えてくる。

「圭人……!はッ、凄く……あァッ、ハッ……ハッ」

ぴくぴくと、快感に足が震える。圭人はどんどん呼吸を荒くし、強く吸い付いてきた。

「あァッ!ハァッ……ハァッ……!」
「澪君……」
「あッ!」

太い圭人の指が後孔ごこうに挿入され、ピクリと腰が小さく跳ねる。様子を伺いながら、更に深くまで挿入され、俺は圭人にしがみついた。首も太いけど、牛みたいに体がどっしりしている。

「や、んッ!」
「痛かったら言って」

耳元に、荒い息と共に囁かれ、耳朶じだを甘噛みされた。圭人が更に興奮してるのが分かる。

「い……たく、ないよ……」
「ほんと?じゃあ、あの……」

語彙力が低下してきてる。その気持ち、分かるよ。どうしたいかも。だから、唇を重ねて答えた。伝わるよう、丹念に。

「は……ぅ、み……お、く……」

キスには自信あるから、きっと伝わったと思う。現に圭人はぽやっと──うっとり、かも──し、俺を見下ろしている。

「早く欲しい……」
「うん!」

元気に返事した圭人は、枕元に置いたチューブ──いわゆるローションってやつだ──から、たっぷりと指先に取り、改めて後孔に挿入してきた。グチュリ、と、卑猥な音を立て、鼓膜も犯されてる気になる。

「ふ、ぅ……ッ……あ、ハァッ……ハァッ……」
「澪君、俺、あんま、も……我慢、出来ないかも……」

内壁に指を擦り付けながら、丹念にナカをほぐしてくれてる。それに俺は小刻みに体を震わせ、圭人の厚みのある胸板に触れた。
ドキドキしてる。俺と、同じなのかな?

「いいよ、もう……」
「澪君んッ!」

片足を持ち上げられ、露になった後孔に圭人が勢いよく入ってきた。その衝撃は凄まじく、今まで体感した事のないものだった。

「ひァッ!」

一気に根元まで。固く太い圭人のペニスが、敏感な場所に触れてる。それだけで背筋がゾクゾクしてるのに、動かれたらマジでヤバいんじゃないかって。


──さすが元アスリートだな……


それも、武道系。力強さがサラリーマンとは桁違いだ。
こう言うセックスを、俺は求めてた。

「気持ちいいよぉ、澪君ナカぁ……!」

ズチュッ、ズチュッ、って、何度も突き上げられる。その度に圭人のペニスが擦れ、もっと欲しいってアソコが収縮した。ローションのお陰で──熱で甘い香りがするやつらしい──滑りもよく、どんどん律動が激しさを増していく。

「あッ!あッ!あッ!」
「エヘヘ、かわいー」
「け……と……!そ、んな、あッ!は、げし……!」

ベッドが壊れそうなぐらい──総重量200キロ近いからかも──軋んでいる。


──相性いいかも……


なんて考えていると、四つん這いにさせられた。恥ずかしいけど、もっと圭人が欲しくて黙ってる。

「凄い濡れてる……!」

そう言うなり、圭人が丁寧に蕾の回りを舐め、そっとそのひだをくすぐってくる。その気持ちよさに、俺は上半身を崩しそうになっていた。

「じ……焦らさないでよ……」

早くイきたいのに、お預けするなんて。

「まだ駄目ぇ……澪君を、もうちょっと苛めたいんだもん」

舌を挿入し、届く浅い範囲をチロチロと舐めてくる。だけど片手は俺のペニスを扱き、もう片手は後孔を広げている。

「ぅアッ、あ、あンッ……!も、駄目だって……!」

内腿がビクビク震え、先走りがシーツに垂れた。

「我慢……してよ。俺だって……相当キツイんだから」

ペニスは厳戒まで膨張し、痛いぐらいになっていた。

「そん……な、ハッ……!あ、んンッ!言っても、無理、だ……あッ……!」

舌が引き抜かれ、次いで指が挿入される。尻がキュッとすぼみ、圭人の指をきつくくわえた。

「早く欲しいって?そうだなぁ……」

意地悪をするように、圭人が激しい抜き挿し──2本に増やされた──を始める。先走りは更に量を増し、まるでお漏らしでもしてしまったかのようだ。

「んァッ!圭人、もう……もう欲しい……ッ!」

肩越しに見つめると、仕方ないなって圭人は苦笑し、指を引き抜いた。けど、次の瞬間には再び、昂ったペニスが突きれられた。

「アッ!」

大きく体が跳ね、危うくイきそうになる。

「えへへ……ヌルヌルして、凄い滑るよ……」

パンッパンッと音を立てながら、圭人が腰を打ち付ける。快感は一気に全身を駆け巡った。

「あァッ!あァッ!」

堪えきれずに、白濁を放ってしまった。シーツに飛散した精液が、部屋の照明に照らされて鈍く光っている。

「酷いよぉ、先に……イくなんて」

そうむくれた圭人が──前後だけでなく──上下にも腰を揺らしてくる。俺はついに上体を崩し、シーツに頬を擦り付けた。

「ハァハァ……仕方、ないだろ……?焦らされちゃったんだから」
「そうだけどぉ……でもまぁ、俺はまだイッてないんだから、勿論付き合ってくれるんでしょ?」

返事を聞く前に、圭人が腰を突き出す。俺は更に足を広げ、そんな圭人を挑発した。

「いい眺めだよ、澪君!」

ニヤリと笑い、激しく突きまくってくる。その度に体をくねらせ、俺は敏感に反応した。

「あッあッあッ!」
「もう……ちょっと……!」

腰をしっかり抱かれ、乱雑に腰を振られる。いやらしい水音が聞こえ、やがて圭人はナカで射精した。
ぐったりとした体を互いにシーツの上へ投げ出していると、まだ熱のこもる視線がぶつかった。

「ハァ……ハァ……シャワーでも、浴びる?」

そう尋ねると、圭人は何かを訴えるように、ゆっくりと瞬きだけした。

「もう……先にシャワー浴びるからね」
「やだ、待ってよ。こんないい眺めを堪能してるんだから、もうちょっとだけぇ!」

足の間に手を差し入れると、ぬめったペニスを掴んでくる。仕方ないなって──俺もまだ欲しかったから──そろそろと足を開いた。

「まだ足りないの?」

意地悪で聞いてみる。すると、素直──しかも可愛い──な圭人は、うんって頷いた。

「朝がくるまで、ってのはどうかな?」

そう提案して体を起こすと、圭人は俺のペニスを扱きながら詰め寄ってきた。
ウズウズして仕方ない。

「朝って……何時?」
「そうだなぁ……6時にしよっか?」
「まだ10時間以上もあるけど?」


──さすがに長すぎるでしょ。


ちょっぴり非難するみたいに言う。俺もまだ一緒にいたいけど、ランニングとかしたい──ジムにも行きたい──し。

「そんなに早く別れたいの?それなら、もう終わりにしてもいいよ……」

そう言って圭人は黙ってしまった。少し意地悪をしすぎたらしい。手が離れていく。

「ごめんって。悪かった、言いすぎたよ」

謝りながら、俺は圭人の手を掴んだ。

「……して、いいの?」

頬が赤くなってる。窺うような上目遣い。本当に可愛い──オスなのかも怪しいんですけど?──と思う。

「どうしようかな?」

含み笑いをし、いいよって、ついばむようにキスをする。すると、パッと表情を明るくした圭人が、ヤッターって飛び付いて──もし犬なら、尻尾を千切れんばかりに振ってるだろう──きた。

「澪くぅん…!」

ぐいんと上体を屈め、ペニスをくわえてきた。精液を舐めながら、じっくりて愛撫してくる。

「ハッ……あァ……」

再びの快感に後ろ手をつき、背中を軽く逸らして体を支える。内腿はピクピクと痙攣し、激しくアソコが疼いた。
溢れる先走りを、圭人が飲み込みんだのを見て、その栗色の髪を撫でた。

「澪君……」

待て、って言われてるみたいな顔が──ちょっと辛そうに──今にも泣きそうに見える。だから。


──甘いなぁ、俺……


「圭人、早く……」

圭人を見下ろした。
おねだり上手なんだから、って、笑いながら。

「ねぇ澪君、俺と……」

背中から抱き締められ、膝上に座らされる。圭人はペニスをゆっくりと挿入し、そして両手は俺の胸を揉み、突起をこねくり回してきた。

「やッ……ん、あァッ!」
「ハッ……ハッ……気持ちいい?」

そう尋ねられ、俺は何度も頷いた。

「俺と……つきあ」
「圭人、それは……」

言葉を遮った。
この人となら、優の事を忘れられるんじゃないかなって。
むしろ、忘れさせて欲しい。
そう思った。
けど、駄目だった。脳裏にチラつく影が──ぼやけて判別つかないのに──笑ってる。

「ごめん……」
「うぅん。いいよ。いきなり言った俺が悪いし。でも、これからも会って欲しいな」

その明るさに救われた。


──ありがとう。好きだよ……


「もちろん」

早く、あの人を見つけないと……




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