幻想序曲

たける

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第三章

2.

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どこに行けばいいのか、全く見当もつかなかった。だが、聖には何となく分かっているような気もしていた。ただひたすらに駅まで戻り、電車に乗り込んだ。どこで降りようか、揺られながら考えよう。聖は目をつぶった。
どんどんと電車は走っていく。難波に近づく。難波の手前で、聖は何かを感じた。何かある。聖は降りた。降りてもどこに行けばいいのか。だが聖は黙々と歩いた。虚ろな瞳で駅から離れ、住宅街に入って行く。街灯の間隔が徐々に広がり、人気もなくなってきたその時、聖の足が止まった。何分歩いたか自分ではよく覚えていないが、気がついた時には結構足が疲れていた。
目の前には大きな屋敷とも言うべき家が建っていた。ここに帝がいるに違いない。しかし、もし違っていたら。聖は門に手をやりかけて、一瞬躊躇した。

──カタカタカタ

自分の回りで骨の音がする。聖は振り返った。姿は見えないが、きっといるだろう。夢から出てきたのか?そんなバカな。きっと風の音か何かだろう。そう思い直し、門に手をかけた。

「何か用ですか」

急に後ろから声をかけられ、聖は飛び上がるほど驚いた。そして恐る恐る振り返った。街灯の下に相手の顔が見える。瞳がギラギラとしている。そんな印象だった。背は自分よりも頭1つ分程高く、ひょろ長かった。なんと言ったらいいのか分からず、もごもごとロごもっていると、相手が再び声をかけてきた。

「この家に何か用ですか?あなたの名前は」
「私は……青山聖です。あの、妹の帝を捜しているのですが」


──聖だと?確かに見た目は聖かも知れないが、全く聖じゃない。むしろこいつは骨だ。骨が聖に化けたのか?いや、アイツらは化ける事など出来ない筈だ。それなのに何だこいつは。まさか聖か、本物の。だとしたら、どうして骨……そうか、アイツらに夢を食われて、仲間にされたのか。だとしたら、家に入れる訳には行かない。しかし骨ならば、入れば茂の結界で灰になる筈だが。一か八か入れてみよう……


「帝さんは家に来てますよ。良かったらどうぞ、中にお入り下さい」
「はあ……」

気のない返事をして、言われるままに聖は家に招き入れられた。
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