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5日目
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取り敢えず控え室に入ると、三上は雑誌者達に挨拶に行くと出て行った。早瀬タクミは私と共に控え室に残り、これから行う仕事について教えてくれた。
「私がいなくても構わないようだが」
率直に感想を言った。
対談は早瀬タクミと、ザ・トリプルズと言う若者で行うらしく、私の出番はない。むしろ、いない方が色々詮索されなくて済むのではないだろうか。
「そうだけどさー……君、何か用事とかあるの?」
ソファに座り──煙草に火をつけながら──早瀬タクミが私を見上げてきた。特に用事はないのだが、手持ちの文庫本を読み終えてしまったので、新しいものを購入したかった。そのように伝えると、じゃあ、と彼は言った。
「それならさ、暫く別行動にしよっか?」
「異議はない」
最期さえ見届けられれば、こんなにも担当の人間と一緒にいる必要はないのだ。
「そっか。俺としてはさー、ザ・トリプルズ、君に紹介したかったんだけどなー」
「されたからと言って、私は何も思わないが」
「そうだけどさー……」
早瀬タクミが苦笑いを浮かべると、控え室の扉がノックされた。彼が大きな声で、どうぞ、と言うと、勢いよく扉が開かれ、3人の若者──恐らく、と言うより、むしろ彼等がザ・トリプルズだ──が顔を覗かせた。
「タックミさぁん!おっひさっしぶりでぇす!」
太枠の黒ぶちメガネをかけた、茶髪の若者が飛び込んできた。その背丈は小さく、まるで子犬のように見える。その後ろには、真面目そうな──短い黒髪に、大きくも小さくもない目鼻がついている──男と、細く長身の──金色の長い髪が二の腕まであり、垂れた目は異国人みたいな青色をしている──男がいた。
「うはぁ、キミヒコ、久しぶりだなー!」
腕に飛び込んだメガネの男の頭を撫で──犬をあやすような手つきだ──早瀬タクミは満面の笑みでそう言った。
「2ヶ月ぶりですよぉ!」
「もうそんなになるかー。あ、お前等も入ってこいよ」
そう早瀬タクミが促し、残りの2人も控え室に入ってきた。私は所在なく、立ったまま彼等を見ていた。
「紹介するよ。こちらは、田中アユム君て言って、新しいアルバムに参加してもらったんだ」
3人が一斉に私を見た。私はどうも、と言い、軽く会釈する。
「アユム君、彼がリーダーでギターの鷹野キミヒコで、そっちの金髪がベースの坂田ハジメ、んで、そっちがボーカルの戸塚ノボルだよ」
1度に紹介され、私は多少なりとも狼狽えた。順繰りに、彼等が私に会釈するのを、どうも、と言いながら会釈を返す。
「タクミさん、今日も明日も、よろしくお願いしますねぇ」
鷹野が甘えた口調でそう言う。
「こっちこそ、よろしくなー」
「そうだ、今度飲みに連れてって下さいよぉ」
「んー?そうだな、飲みに行きたいね。あ、お前等さー、明日は何を歌うんだ?」
「大晦日に発売する、新曲っす」
戸塚が答え、坂田が髪を揺らしながら頷く。
私は彼等を残し、そっと控え室を出た。無駄話は好きではないし、早く新しい物語を読みたかったからだ。
「私がいなくても構わないようだが」
率直に感想を言った。
対談は早瀬タクミと、ザ・トリプルズと言う若者で行うらしく、私の出番はない。むしろ、いない方が色々詮索されなくて済むのではないだろうか。
「そうだけどさー……君、何か用事とかあるの?」
ソファに座り──煙草に火をつけながら──早瀬タクミが私を見上げてきた。特に用事はないのだが、手持ちの文庫本を読み終えてしまったので、新しいものを購入したかった。そのように伝えると、じゃあ、と彼は言った。
「それならさ、暫く別行動にしよっか?」
「異議はない」
最期さえ見届けられれば、こんなにも担当の人間と一緒にいる必要はないのだ。
「そっか。俺としてはさー、ザ・トリプルズ、君に紹介したかったんだけどなー」
「されたからと言って、私は何も思わないが」
「そうだけどさー……」
早瀬タクミが苦笑いを浮かべると、控え室の扉がノックされた。彼が大きな声で、どうぞ、と言うと、勢いよく扉が開かれ、3人の若者──恐らく、と言うより、むしろ彼等がザ・トリプルズだ──が顔を覗かせた。
「タックミさぁん!おっひさっしぶりでぇす!」
太枠の黒ぶちメガネをかけた、茶髪の若者が飛び込んできた。その背丈は小さく、まるで子犬のように見える。その後ろには、真面目そうな──短い黒髪に、大きくも小さくもない目鼻がついている──男と、細く長身の──金色の長い髪が二の腕まであり、垂れた目は異国人みたいな青色をしている──男がいた。
「うはぁ、キミヒコ、久しぶりだなー!」
腕に飛び込んだメガネの男の頭を撫で──犬をあやすような手つきだ──早瀬タクミは満面の笑みでそう言った。
「2ヶ月ぶりですよぉ!」
「もうそんなになるかー。あ、お前等も入ってこいよ」
そう早瀬タクミが促し、残りの2人も控え室に入ってきた。私は所在なく、立ったまま彼等を見ていた。
「紹介するよ。こちらは、田中アユム君て言って、新しいアルバムに参加してもらったんだ」
3人が一斉に私を見た。私はどうも、と言い、軽く会釈する。
「アユム君、彼がリーダーでギターの鷹野キミヒコで、そっちの金髪がベースの坂田ハジメ、んで、そっちがボーカルの戸塚ノボルだよ」
1度に紹介され、私は多少なりとも狼狽えた。順繰りに、彼等が私に会釈するのを、どうも、と言いながら会釈を返す。
「タクミさん、今日も明日も、よろしくお願いしますねぇ」
鷹野が甘えた口調でそう言う。
「こっちこそ、よろしくなー」
「そうだ、今度飲みに連れてって下さいよぉ」
「んー?そうだな、飲みに行きたいね。あ、お前等さー、明日は何を歌うんだ?」
「大晦日に発売する、新曲っす」
戸塚が答え、坂田が髪を揺らしながら頷く。
私は彼等を残し、そっと控え室を出た。無駄話は好きではないし、早く新しい物語を読みたかったからだ。
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