Love Monster

たける

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体を重ねて、確かな体温を感じる。舌先で胸元をくすぐってやると、フィックスは困った顔で笑った。

「くすぐったいよ」

優しく髪を撫でる指先。温かな眼差し。緩やかだが熱い吐息。薄紅色に染まる白い肌。
その全てに愛撫し、彼と1つになる。苦しくも心地よい圧迫を感じながら、ノッドは唇を何度も重ねた。

「ふ……ん、はっ……ノッド……」

どうして、と問う内心に、ノッドは微笑しながら突き上げる。

「うぁ……あ、ノッ……ド」

閲覧室で始める訳にもいかず、ノッドはフィックスの家にテレポートした。一人暮らしのフィックスの家は、サバル市内にあるマンションで片付いていた。
ベッドに向かう時間も惜しくて、ソファへと押し倒したノッドは、彼に全てを注いだ。

「ハァ……ハァ……」

この男を信用しよう、と決め、救いを請うと、フィックスは瞳を潤ませた。
黙ったまま唇を重ねたものの、その胸の内は穏やかではなかった。

「ノッド……どうして俺なんだ?」

情事に濡れた瞳に、熱が篭っている。それを見つめながら、赤毛を撫でた。

「味方だって、言ってくれたろ?そう言ってくれたのは、お前だけだったから」

それが1番の理由だった。が、2番目の理由をフィックスは知らなくていい。
そう思って言わなかった。
だが、いつかは話してもいい。

「あぁ、君の味方だ。だって君は、何1つ悪くない」

フィックスが頭をそっと撫でてくれた。
それがとても嬉しくて、ノッドは彼の胸元に頬を寄せた。
これが、嬉しいと感じる気持ちなのだと学ぶ。

「もっと色々感じたい」

怒りは知っている。嬉しさも今学んだ。後は、悲しみと楽しみだ、と思う。
その4つが、人間の感情を表す代表的なものだ。

「そうだな。その為には、やっぱり外に出て、たくさんの物に触れなくちゃな」
「だが、ストレインは許可しないぞ」

邪魔な存在だ。いくら自分を作ったからと言っても、何かをしよう、とする事を阻まれてはそうも言っていられない。
死ねばいい。そう思った。

「ノッド、それは駄目だ。死ねばいい、だとか、殺したいだとか、そう言う感情は抱いてはいけない」

知らぬ間に、思考がフィックスに届いてしまっていたようだ。

「だけど、邪魔なんだ。あいつらがいなければ、俺は自由なんだ」

顔を上げ、フィックスを睨む。すると彼は、悲しげな顔をしていた。

「それは憎悪と言う感情だ。人は誰しも、それを抱いてしまうものだ。だが、出来るだけそんな感情は抱いてはいけないよ。彼等は悪人ではないんだから」

そう言われるが、ノッドにしてみればストレイン達は悪人以外の何者でもない。

「彼等がいたから君がいる。君がいたから、俺はこうして君と出会えたんだ。憎くても、いつか分かり合える日が来る筈だよ」

フィックスの言いたい事は分かる。だが、積年の怨みは、そう簡単には消えやしない。

「だといいんだがな」

ノッドは呟いた。




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