2人

たける

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2.葉山ミノル

1.

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ハヤトが退院するまで、俺は側にいた。途中、俺達を巻き込んで大事故を起こし亡くなった、遠山シゲノブ氏と俺自身の葬式もあり、俺はミノルの代わりに両方に参列した。

母は終始泣いていて、祭壇には2年前に大学へ入学した時に撮った写真が飾られていた。


──申し訳ない。


親より先に逝く事程、親不孝な事はない。謝りたくても謝れない気持ちの靄は、小さくなった母を見つめている間中濃くなって行った。
愛人を作って出て行った父親も参列してくれていた。

遠山シゲノブ氏の葬式は簡素で、喪主を務めた奥さんは、泣いてはいなかった。唇を噛み締め、膝の上で眠る幼子の髪を撫で、涙を堪えている様子だった。
それを見つめながら、俺は複雑な心境にさせられた。

医師の話を盗み聞きしたところによると、遠山氏はあの日の運転中、脳卒中を起こした、との事だった。
俺は巻き込まれて死んだ訳だが、家族を遺して逝く辛さは変わらない筈だ。だけど、遺された側の気持ちは違う。
恐らく母は、俺を殺された、と思っているに違いない。そして心の救いを求めるように、その理由を遠山氏とハヤトにぶつけるより仕方ないと言う事も分かる。
とにかく俺は、この先の母が心配でならない。


──誰が傷心の母を支えてくれる?
  夫を取られ、1人息子を亡くした母が、まともに生きて行けるのだろうか?


考えたところで、俺にはどうする事も出来ない訳だけど、祈る事は出来る。一刻も早く立ち直って欲しいと言う事と、新たな生きる糧を見つけて欲しいと言う事を。




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