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第1章『ベサーイの最後』
第18節『新たな暮らし』
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市民が、大地に水が無いと植物が育たない事を心配すると、それは心配無いとファモ族が言い、上から太鼓の家が降りて来た。
5個ある太鼓の内、研究用の太鼓だけが連結から外れて移動を始め、おびただしい量の水蒸気を巻きながら星の上空を、ゆっくりと移動して行く。
ファモ族が
『あの水蒸気が雲となり、雨を降らせるのです。』
と言い続けて
『今はまだ、土の地面が僅かですが、長い年月と共に少しずつ広がって行きます。自然とは、そういうものなのです。』
ラム王と市民達は、広大な茶色の大地を眺めながら、いずれ自然豊かな地上の景色になる事を想像していると、太鼓の上部から薄く輝く何かが一緒に撒かれている事に気付いた。
市民の1人が
『あれも水になるのですか?』
とファモ族に聞くと
『いいえ、あの輝く物質で星と宇宙空間の間に薄い層を作っているのです。大気が宇宙空間に漏れる事を防ぐのと、星を捕食者から守る為に宇宙から見えないようにする役目があるので す。捕食者から見えないかは、実験段階ですけどね。』
(ラム王がファモ族の家で見た、物質同士を近づけると片方が透明になる物質を加工した物)
地下都市へ帰る前、ラム王は再びムカーク族が地上で暮らす時が来る事を、待ち遠しく思いながら地面に植えた小さな植物に
『頑張るんだぞ。大きくなるんだぞ!』
と話し掛け市民達と共に帰路についた。
ファモ族とムカーク族が一緒に暮らし始め、
それまで地下の世界しか知らなかった市民達に、
ファモ族が空間に浮かぶ星を使い(サバル突入の時に星の位置を示した球体)宇宙や他の星について教えたり、
別の星の見た事も無い生物の知識や、物質等の扱い方など様々な事を教え、まるで授業のように大人も子供も夢中になってファモ族の話を聞いていた。
時には、見聞きするだけでは無く、地下で育ち独自に進化をしたザンパ種を一緒に研究したり、地上に植えたりしていた。
ファモ族もムカーク族の行事や、街のお祭りにも参加するなど、両者は、とても友好的な関係を築いて行った。
特に、ザンパ種レースは毎回、盛り上がっていた。
ザンパ種のレースとは
それぞれが持ち寄った植物によるレースで、重い物を運ぶのが得意な植物を使い、同じ重さの物を決められた距離まで、どれだけ早く移動出来るかの勝負。
市民達の育てた植物は、ファモ族の育てた植物より圧倒的に早く、決勝戦は市民同士の事が多かった。
そして、ほぼ毎回優勝するにはラム王の植物。(タルカをラヤキ族から守り移動したツル植物の子孫)
ちなみに、ラム王が初めて優勝した時。
嬉しさのあまりラム王は、ソウエに星の素材集めの時に見た巨大生物(巨体タコ)を記念に出して欲しい!
とお願いするとソウエは
『あれは無理ですが、別の物で宜しければ。』
と言い、
『何でも構わないです!みんな驚いて喜ぶぞ!』
とラム王。
サルンや市民達に何度タコの話をしても、分かって貰えなかったので、ここで出せば、みんな分かって喜んで貰える!と思ったラム王。
ソウエが、両端が開いたメガホンを持って来た。
ラム王は、メガホンの形が前回とは異なっている事に気付いたが、皆が喜んでくれる期待しか無かった。
(前回は片側が開いていた)
ラム王が市民達に向かって
『皆さん!見ていて下さい!凄いのが出ますよ!!』
市民達は一斉にラム王とソウエの方を向く。
『では、お願いします!!』
とラム王が言うと
ソウエはメガホンの中心を持ち、時計回りに1回転させた。
すると出て来たのは、顔が前後にある巨大なワニだった。(ワージリ星)
それを見た市民達はパニックで、子供達は泣き叫ぶ始末。
『何で…これを…』
と戸惑う、ラム王だったが、
『みなさん!聞いて下さい!これはリージリ星と言って、とても優しくて友好的な…』
『グルルルルルッ!!』
ラム王が何とか市民達を落ち着かせる為、説明している最中に巨大ワニが吠えた。
更に市民達はパニックになり、その様子にラム王は
『やってしまった…』
と小声で言うと、サルンが来て、早くあれを何とかしないと!とラム王に言い、ソウエに仕舞うようお願いする。
ソウエがメガホンを反時計回りに回してワニ収納。
ラム王がソウエに
『何故あれを出したのですか?』と言うと
『何でも構わないと…おっしゃったので、あれはワージリとコミュニケーションを図る時に使用する物だったのですが…あまり好評では無かったみたいですね。』
とソウエが言う。
市民達のパニックは収まったがラム王は暫く、しょげていた。
そして別の日、ラム王は地上に出て、いつも通りザンパ種をファモ族達と一緒に植えていた。
するとファモ族の一人が
『大分、土の地面が増えて来ましたね。そろそろ作物として、新種のザンパ種を植えませんか?』
とラム王に言い、どんな新種なのだろうか?と思っていると、不思議な実をつける植物だと言う。(大根やカボチャに似ている。)
ファモ族が
『昔、別の星の土で試したのですが、中々成長しなかったので、我々の知恵を僅かに組み込んだら大変な事になった植物なんですけどね。』
別の星に行った際、その星の土で栽培しようとしたが、上手く行かなかったのでファモ族の知恵を僅かに組み込んだ所、翌朝に植物を植えた所には、穴しか無く植物が消えていたそう。
枯れてしまったのかな?と思いながら周囲を見ると、遠くの方に走って逃げてる大根がいた。
何でこんな事に?と映像(監視カメラのような)で確認すると、植えてから短時間で急速に成長して翌朝、収穫される前に土から飛び出して一目散に走って行く姿が映っていた。
追いかけて捕まえようとすると、地面を掘って地中に逃げるので、夜中に収穫する事にした。
夜中に行くと、同じく知恵を組み込んだカボチャ達が、ファモ族の気配を感じて、黄色い警告灯のように発光して周囲の植物達を起こし、みんな逃げ出す始末になり回収不能になってしまったとの事。
それ以降、知恵を入れない植物を育てているが、上手く行かないので、この土で試したいそう。
『上手く成長すると良いですね』
とラム王が言い、ファモ族と一緒に土を畑のように耕して様々な種類の植物を植えた。
それが終わり、ふと周囲を見渡したラム王は
『確かに、だいぶ景色も変わってきたな』
あれから随分と土の地面が広くなり、森とまでは言えないが林のような場所が増え、ラム王達が失敗して造った山脈のふもと付近まで、植物達は広がっていた。
最近では、地上に住んでみたい!と言う市民達も現れ始めたので、それに向けファモ族と共に
市民達が地上に家を造り始めていた。
(まだ住んではいない)
そこから少し離れた場所に、ファモ族には秘密で市民達が、かなり大きな何かを造っている。
(その何か?はラム王も市民達も知っている)
時折、ソウエやファモ族達が、その大きな何か?の近くに来て
『これは何でしょうか?』
と聞いて来るが、皆口を揃えて
『完成まで秘密です!』
ラム王や他の市民達は、その完成を今か今かと楽しみにしていた。
ついに完成日、ラム王と市民達は、ファモ族に地上に集まってもらいたい事を伝える。
地上に集まったファモ族達の前でラム王が
『あなた方が、この星に帰って来てから街は活気に溢れ、我々の知らない事を沢山教えて下さった。そして何より、ファモ族がこの星に居てくれる事が、我々ムカーク族にとって心強く、安心して暮らせています。そのお礼の気持ちを込めてムカーク族から、送り物をしたいと思います!』
と言い、合図を送る。
すると大きな何か?を見せない為に囲っていた物が外され、現れたのは白く輝く巨大なバルターモの形をした家だった。
(ラム王が住む宮殿より、ずっと大きい。)
それを見たファモ族は驚いた。
そしてラム王がファモ族に
『受け取って貰えますか?』
言うと
『とても嬉しいです!もちろんです!ありがとうございます!』
ファモ族達は、とても喜んだ表情だった。
ムカーク族とファモ族は、同じ星で楽しく平和な日々を送っていた。
しかし、そんな平和な日々も長続きはしなかった。
星を破滅させる存在が忍び寄って来ている気配に、この時は、まだ誰も気付いてはいなかった。
5個ある太鼓の内、研究用の太鼓だけが連結から外れて移動を始め、おびただしい量の水蒸気を巻きながら星の上空を、ゆっくりと移動して行く。
ファモ族が
『あの水蒸気が雲となり、雨を降らせるのです。』
と言い続けて
『今はまだ、土の地面が僅かですが、長い年月と共に少しずつ広がって行きます。自然とは、そういうものなのです。』
ラム王と市民達は、広大な茶色の大地を眺めながら、いずれ自然豊かな地上の景色になる事を想像していると、太鼓の上部から薄く輝く何かが一緒に撒かれている事に気付いた。
市民の1人が
『あれも水になるのですか?』
とファモ族に聞くと
『いいえ、あの輝く物質で星と宇宙空間の間に薄い層を作っているのです。大気が宇宙空間に漏れる事を防ぐのと、星を捕食者から守る為に宇宙から見えないようにする役目があるので す。捕食者から見えないかは、実験段階ですけどね。』
(ラム王がファモ族の家で見た、物質同士を近づけると片方が透明になる物質を加工した物)
地下都市へ帰る前、ラム王は再びムカーク族が地上で暮らす時が来る事を、待ち遠しく思いながら地面に植えた小さな植物に
『頑張るんだぞ。大きくなるんだぞ!』
と話し掛け市民達と共に帰路についた。
ファモ族とムカーク族が一緒に暮らし始め、
それまで地下の世界しか知らなかった市民達に、
ファモ族が空間に浮かぶ星を使い(サバル突入の時に星の位置を示した球体)宇宙や他の星について教えたり、
別の星の見た事も無い生物の知識や、物質等の扱い方など様々な事を教え、まるで授業のように大人も子供も夢中になってファモ族の話を聞いていた。
時には、見聞きするだけでは無く、地下で育ち独自に進化をしたザンパ種を一緒に研究したり、地上に植えたりしていた。
ファモ族もムカーク族の行事や、街のお祭りにも参加するなど、両者は、とても友好的な関係を築いて行った。
特に、ザンパ種レースは毎回、盛り上がっていた。
ザンパ種のレースとは
それぞれが持ち寄った植物によるレースで、重い物を運ぶのが得意な植物を使い、同じ重さの物を決められた距離まで、どれだけ早く移動出来るかの勝負。
市民達の育てた植物は、ファモ族の育てた植物より圧倒的に早く、決勝戦は市民同士の事が多かった。
そして、ほぼ毎回優勝するにはラム王の植物。(タルカをラヤキ族から守り移動したツル植物の子孫)
ちなみに、ラム王が初めて優勝した時。
嬉しさのあまりラム王は、ソウエに星の素材集めの時に見た巨大生物(巨体タコ)を記念に出して欲しい!
とお願いするとソウエは
『あれは無理ですが、別の物で宜しければ。』
と言い、
『何でも構わないです!みんな驚いて喜ぶぞ!』
とラム王。
サルンや市民達に何度タコの話をしても、分かって貰えなかったので、ここで出せば、みんな分かって喜んで貰える!と思ったラム王。
ソウエが、両端が開いたメガホンを持って来た。
ラム王は、メガホンの形が前回とは異なっている事に気付いたが、皆が喜んでくれる期待しか無かった。
(前回は片側が開いていた)
ラム王が市民達に向かって
『皆さん!見ていて下さい!凄いのが出ますよ!!』
市民達は一斉にラム王とソウエの方を向く。
『では、お願いします!!』
とラム王が言うと
ソウエはメガホンの中心を持ち、時計回りに1回転させた。
すると出て来たのは、顔が前後にある巨大なワニだった。(ワージリ星)
それを見た市民達はパニックで、子供達は泣き叫ぶ始末。
『何で…これを…』
と戸惑う、ラム王だったが、
『みなさん!聞いて下さい!これはリージリ星と言って、とても優しくて友好的な…』
『グルルルルルッ!!』
ラム王が何とか市民達を落ち着かせる為、説明している最中に巨大ワニが吠えた。
更に市民達はパニックになり、その様子にラム王は
『やってしまった…』
と小声で言うと、サルンが来て、早くあれを何とかしないと!とラム王に言い、ソウエに仕舞うようお願いする。
ソウエがメガホンを反時計回りに回してワニ収納。
ラム王がソウエに
『何故あれを出したのですか?』と言うと
『何でも構わないと…おっしゃったので、あれはワージリとコミュニケーションを図る時に使用する物だったのですが…あまり好評では無かったみたいですね。』
とソウエが言う。
市民達のパニックは収まったがラム王は暫く、しょげていた。
そして別の日、ラム王は地上に出て、いつも通りザンパ種をファモ族達と一緒に植えていた。
するとファモ族の一人が
『大分、土の地面が増えて来ましたね。そろそろ作物として、新種のザンパ種を植えませんか?』
とラム王に言い、どんな新種なのだろうか?と思っていると、不思議な実をつける植物だと言う。(大根やカボチャに似ている。)
ファモ族が
『昔、別の星の土で試したのですが、中々成長しなかったので、我々の知恵を僅かに組み込んだら大変な事になった植物なんですけどね。』
別の星に行った際、その星の土で栽培しようとしたが、上手く行かなかったのでファモ族の知恵を僅かに組み込んだ所、翌朝に植物を植えた所には、穴しか無く植物が消えていたそう。
枯れてしまったのかな?と思いながら周囲を見ると、遠くの方に走って逃げてる大根がいた。
何でこんな事に?と映像(監視カメラのような)で確認すると、植えてから短時間で急速に成長して翌朝、収穫される前に土から飛び出して一目散に走って行く姿が映っていた。
追いかけて捕まえようとすると、地面を掘って地中に逃げるので、夜中に収穫する事にした。
夜中に行くと、同じく知恵を組み込んだカボチャ達が、ファモ族の気配を感じて、黄色い警告灯のように発光して周囲の植物達を起こし、みんな逃げ出す始末になり回収不能になってしまったとの事。
それ以降、知恵を入れない植物を育てているが、上手く行かないので、この土で試したいそう。
『上手く成長すると良いですね』
とラム王が言い、ファモ族と一緒に土を畑のように耕して様々な種類の植物を植えた。
それが終わり、ふと周囲を見渡したラム王は
『確かに、だいぶ景色も変わってきたな』
あれから随分と土の地面が広くなり、森とまでは言えないが林のような場所が増え、ラム王達が失敗して造った山脈のふもと付近まで、植物達は広がっていた。
最近では、地上に住んでみたい!と言う市民達も現れ始めたので、それに向けファモ族と共に
市民達が地上に家を造り始めていた。
(まだ住んではいない)
そこから少し離れた場所に、ファモ族には秘密で市民達が、かなり大きな何かを造っている。
(その何か?はラム王も市民達も知っている)
時折、ソウエやファモ族達が、その大きな何か?の近くに来て
『これは何でしょうか?』
と聞いて来るが、皆口を揃えて
『完成まで秘密です!』
ラム王や他の市民達は、その完成を今か今かと楽しみにしていた。
ついに完成日、ラム王と市民達は、ファモ族に地上に集まってもらいたい事を伝える。
地上に集まったファモ族達の前でラム王が
『あなた方が、この星に帰って来てから街は活気に溢れ、我々の知らない事を沢山教えて下さった。そして何より、ファモ族がこの星に居てくれる事が、我々ムカーク族にとって心強く、安心して暮らせています。そのお礼の気持ちを込めてムカーク族から、送り物をしたいと思います!』
と言い、合図を送る。
すると大きな何か?を見せない為に囲っていた物が外され、現れたのは白く輝く巨大なバルターモの形をした家だった。
(ラム王が住む宮殿より、ずっと大きい。)
それを見たファモ族は驚いた。
そしてラム王がファモ族に
『受け取って貰えますか?』
言うと
『とても嬉しいです!もちろんです!ありがとうございます!』
ファモ族達は、とても喜んだ表情だった。
ムカーク族とファモ族は、同じ星で楽しく平和な日々を送っていた。
しかし、そんな平和な日々も長続きはしなかった。
星を破滅させる存在が忍び寄って来ている気配に、この時は、まだ誰も気付いてはいなかった。
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