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第十一章
450 怪我しそうだね
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ワイバーンで戦い慣れたとはいえ、大きさが違うというのは問題だった。
「っ、風圧もすごいですね……っ」
近くに来ると、その翼から受ける風圧がすごい。体勢を低くし、地面に剣を突き立てるか岩や木に手をかけていなくては、飛ばされてしまう。上から受ければ、押し潰されるような圧がかかるほどだ。
そんな状態を緩和するために、コウヤが全員に風の盾を配置する。これでなんとか耐えられるはずだ。
「軽く竜巻きとか作れるからね~。着地が下手な子だと、すごく迷惑するんだ」
コウヤには予想通りなので、気楽なものだ。
「首までの距離も……っ、近付くとかなりあるのが分かりますっ」
ブランナは上で旋回しているドラゴンを見上げながら、距離感を測り兼ねていた。
「ジャンプ台はいるかな……これくらいでどう?」
そう言って、コウヤはいくつか岩のジャンプ台をつくる。
「っ……皮がちがう……」
ビジェは、一度ドラゴンの体に取りつこうとしたのだが、ワイバーンとの皮の違いに驚いて滑り落ちてきた。
「ドラゴンのはツルっとしてるよね。それも意外と綺麗好きだし。光の反射も気をつけて」
肌が綺麗なのがドラゴンだと、コウヤは得意げに頷いた。
「「「……」」」
三人が、呑気に答えるコウヤへ目を向けた。
「ん? どうかした?」
「いえ……その……コウヤ様ならば、どう倒されるのでしょうか……なんだか、とてもよくご存知のようですし……」
「ああ。うん。そうだね。ちょっと見せるよ。ドラゴンはねえ、顎の下辺りに……」
コウヤは上空で旋回する一体のドラゴンへ向けて、氷の巨大な槍を発射した。
それは過たずドラゴンの顎下を捉え、頭まで突き抜けた。
「あ、威力つけ過ぎた……」
落ちるというところで、迷宮の魔獣であるため、そのまま淡い光を纏って砕け散った。
そして、ドロップ品が落ちてくる。
「ん?」
ヒュ~ッ、ドゴッ!
結構な音が響き、すぐそばにドロップ品が埋まった。
「……」
「「「……」」」
近付くと、それは一抱えもある大きさの青い鉱石だった。
「え?」
「「「……」」」
鉱山を掘っても、これほど大きな鉱石は出てこないだろう。それも、既に土もなく綺麗に取り出された美しい石だ。
「……ドロップ品で怪我しそうだね……」
「「「気をつけます……」」」
ドラゴンを倒したと喜んだ直後に、ドロップ品としての大きな鉱石が降って来るのだ。油断できない。
「あ、えっと、それで……そうだ! あの顎の下に弱点があるから、そこからだと剣も入りやすいんだ。頑張ってみて」
「「「はい……」」」
そんな容易く狙える場所でもないのだが、ニール達はなんとか返事を返した。
「なないろ! 撹乱して手伝ってね~」
《ひよっ》
こうして、上手くなないろも動いてくれたことで、なんとか確実に一体ずつ討伐することができた。
ドラゴンを相手にし始めて二時間は経っただろうか。
「残り二体……そろそろテンキ達が来るかな」
そこにテンキ、パックン、ダンゴはもちろん、アルキスやミラルファ、ベニ達までゾロゾロとやってきたのだ。
これならば、何とかなりそうだ。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします!
「っ、風圧もすごいですね……っ」
近くに来ると、その翼から受ける風圧がすごい。体勢を低くし、地面に剣を突き立てるか岩や木に手をかけていなくては、飛ばされてしまう。上から受ければ、押し潰されるような圧がかかるほどだ。
そんな状態を緩和するために、コウヤが全員に風の盾を配置する。これでなんとか耐えられるはずだ。
「軽く竜巻きとか作れるからね~。着地が下手な子だと、すごく迷惑するんだ」
コウヤには予想通りなので、気楽なものだ。
「首までの距離も……っ、近付くとかなりあるのが分かりますっ」
ブランナは上で旋回しているドラゴンを見上げながら、距離感を測り兼ねていた。
「ジャンプ台はいるかな……これくらいでどう?」
そう言って、コウヤはいくつか岩のジャンプ台をつくる。
「っ……皮がちがう……」
ビジェは、一度ドラゴンの体に取りつこうとしたのだが、ワイバーンとの皮の違いに驚いて滑り落ちてきた。
「ドラゴンのはツルっとしてるよね。それも意外と綺麗好きだし。光の反射も気をつけて」
肌が綺麗なのがドラゴンだと、コウヤは得意げに頷いた。
「「「……」」」
三人が、呑気に答えるコウヤへ目を向けた。
「ん? どうかした?」
「いえ……その……コウヤ様ならば、どう倒されるのでしょうか……なんだか、とてもよくご存知のようですし……」
「ああ。うん。そうだね。ちょっと見せるよ。ドラゴンはねえ、顎の下辺りに……」
コウヤは上空で旋回する一体のドラゴンへ向けて、氷の巨大な槍を発射した。
それは過たずドラゴンの顎下を捉え、頭まで突き抜けた。
「あ、威力つけ過ぎた……」
落ちるというところで、迷宮の魔獣であるため、そのまま淡い光を纏って砕け散った。
そして、ドロップ品が落ちてくる。
「ん?」
ヒュ~ッ、ドゴッ!
結構な音が響き、すぐそばにドロップ品が埋まった。
「……」
「「「……」」」
近付くと、それは一抱えもある大きさの青い鉱石だった。
「え?」
「「「……」」」
鉱山を掘っても、これほど大きな鉱石は出てこないだろう。それも、既に土もなく綺麗に取り出された美しい石だ。
「……ドロップ品で怪我しそうだね……」
「「「気をつけます……」」」
ドラゴンを倒したと喜んだ直後に、ドロップ品としての大きな鉱石が降って来るのだ。油断できない。
「あ、えっと、それで……そうだ! あの顎の下に弱点があるから、そこからだと剣も入りやすいんだ。頑張ってみて」
「「「はい……」」」
そんな容易く狙える場所でもないのだが、ニール達はなんとか返事を返した。
「なないろ! 撹乱して手伝ってね~」
《ひよっ》
こうして、上手くなないろも動いてくれたことで、なんとか確実に一体ずつ討伐することができた。
ドラゴンを相手にし始めて二時間は経っただろうか。
「残り二体……そろそろテンキ達が来るかな」
そこにテンキ、パックン、ダンゴはもちろん、アルキスやミラルファ、ベニ達までゾロゾロとやってきたのだ。
これならば、何とかなりそうだ。
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読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします!
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