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630 裏方は大変です
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2017. 12. 8
**********
ベリアローズとユフィアの結婚式は、サルバの規模では受け止めきれないほどの人が集まっていた。
予感はあった。だから、ひと月前から仮設で町の外にも宿屋を用意できるように計画されていたのだ。
ティアは可憐なドレス姿のままマティに乗って周辺の安全確認をしていた。
「この辺りの魔獣は、すっかり大人しくなったね」
《だって、全部マティの家来にしたからね》
「あはは。スゴイぞぉ」
《えへへ》
マティは最強の魔獣。その上につい先日まで、父親が傍について戦闘訓練ばりのことをしていたのだ。更に動きが良くなった。
しかし、ディストレアの年齢としてはまだまだひよっこ。十年にも満たないとなれば末恐ろしい。
「それじゃぁ、そろそろ会場に向かおうか。フラムも到着したみたいだから」
《誰を迎えに行ってたの?》
「クレアママ」
《おぉ。そっかそっか。どこにいたの?》
「ウィストの復興を手伝ってるんだって」
そんな話をしながら神殿へと急いだ。
神殿では教会の者達がティアを待ちわびていたらしい。
「ティア様。お待ちしておりました」
「あ~、うん。カランタは?」
「ご案内いたします」
どことなくソワソワと落ち着かない様子の彼ら。次期伯爵の結婚式であるから気合いが入っているというわけではない。理由は間違いなく式に参加するカランタとティアのせいだ。
「あんまり気は進まないけど、今日ぐらいはね~」
「はいっ!」
鼻息が荒いのは仕方がないのだ。ずっと草葉の影から女神であるティアを見つめていることで満足していた彼らからすれば、今こうして一歩後ろを付き従って歩ける事はこの上のない幸福らしい。
彼らは、あの戦いの折に『神の王国』の者達の口車に乗ることなくフリーデル王国の民達を守った。それだけでなく、神具についての正しい認識を広め、異種族への意識を確実に変えようと精力的に動き回ってくれたのだ。
時には教皇自らも動いていたらしい。寧ろ、上の者達が積極的に国外に赴き、これを説いて回っていた。
そして、唯一異種族であるハイエルフのシェリスを擁するフリーデル王国は、先んじて異種族との交流を始めた。
魔族はもちろん、遠く離れた獣人族の国や、エルフの里にも親書を送っている。
ただ、ティアが問題だと思ったのは、この時の宣言だ。曰く。
『断罪の女神、サティア様は間違った認識を広めた者達に断罪を下された』
『サティア様はかつてこの地にあった、全ての種族が手を取り合い生きる国を望んでおられる』
確かにその宣言の内容に間違いはない。けれど、ここまで大々的に名を出されるのはどうかと思わなくもない。
そして今回、ベリアローズやフィスタークさえ知らない。というか、教会の者にしか伝えてはいないとっておきのサプライズを考えている。
これに天使であるカランタも参加するのだ。公然と、天使ですと分かるように。
「いくら頑張ってくれたお礼って話でも、こんなんで良かったの?」
彼らの願いは、女神であるサティアの姿を見ることで、同時に多くの人々に女神は近くにいるのだと知ってもらうこと。しかし、揶揄でもなく近くどころか、人として地上で生きていると知られるのはどうかと思わなくもない。
「もちろんです! 国内外問わず、多くの司教、司祭も詰めかけております」
「……え……」
それこそ、これは王族の結婚式かと誤解を受けそうだ。
「ま、まぁ、お兄様は王子様顔だし……初めから誤解されてもおかしくないって思っておくしかない……かな」
もう諦めてもらおう。おめでたい事なのだ。集まる人数が多少というか過剰でも、悪い事ではないはずだ。
「あ、あのサティア様。出番と申しますか、式の進行についてなのですが……」
「うん。最後に出れば良いから、家族の所にいればいいんでしょ?」
「あ、いえ。その……王家との話し合いから、少々演出の方を明確にしていただきたいという意見が出まして……」
「演出を明確に? それってカランタの事じゃなくて私?」
「はい!」
カランタは最初の祝福の折、天使の羽を皆の前で広げて天使の加護を与えることは決定していた。元々、式では若い司祭の青年が天使役として祝福の祈りを捧げる。これを今回は本物の天使にさせるのだが、それだけで派手な演出だといえる。
何らかの魔術でそれを見せたと言われる心配はしていない。間違いなく、あの無垢で清廉な雰囲気は普通の人には出せないのだから。
一方のティアは、最後に祭壇に立って二人の結婚を認めると宣言するだけのはず。ただ、その時はサティアの姿でと約束していた。
「二度とサティア様の名を騙る者が出ないように。ティア様がサティア様であると明確にして欲しいとのものでして……」
「んん? まぁ、隠すつもりはもうないんだけど……」
またサティアの名を騙るバカが出てくる懸念は捨てきれない。今回の件では女神サティアが表に出てしまったために、あまりに身近な神という認識が既に広まっているのだ。
ティアをサティアと信じて疑わないフリーデルの神教会はいいが、他の国ではそうはいかない。
この先、サティアの名で他国に混乱を招く恐れがないとは言えない。王や教会の懸念を受けてティアは先日こう呟いた。
『それなら、公然のものとしてもいいんだけど……?』
ならばと、本物のサティアを多くの民衆の前で確認させてしまおうという案が出た。ティアは現在伯爵令嬢だ。民の内の一人ではない。それは大変都合がいい。
身元がしっかりとしているのだ。それも含めてティアがサティアだと証明、宣言してしまおうというとんでもない事を考えたらしい。
「え、それはちょっと困っ……」
「王からは『大丈夫だろう。その上、冒険者ティアも本人だと分かるようにすれば、誰も手が出せんから都合が良い』と……教皇からは『Sランクの冒険者ですからね。国であっても無闇に手を出そうとは思えないでしょう』という賛同がありました」
確かに隠さなくても良いかなと思いはした。それでもこんな大々的に宣言する事に賛同されるとは意外だった。つい先ほど、出がけにベリアローズへ言った冗談が現実のものになりそうだ。
「ねぇ、私は静かに暮らしたいんだけど」
「ご冗談がお上手ですね」
「……」
後でシメてやろうかと思ったが、一瞬でやめておいた。
そんなこんなでお披露目第一弾が今回の式らしい。因みに第三弾まで用意されている。後の二つは言わずと知れた王太子とエルヴァストの結婚式だろう。
「いけませんっ、もうこんな時間とはっ。さぁ、サティア様、段取りの確認をお願いいたしますっ」
「うおお……なんてヤル気満々な……いいけどね……」
信者に押されて色々と頼まれるというこの状況を、ティアはこの瞬間はまだ、まるで他人事のように感じていた。
**********
舞台裏のお話。
クレア「スゴイ人だねぇ」
ゲイル「お、く、クレア……久し振りだな」
クレア「そうだねぇ。元気そうで安心したよ」
ゲイル「おう。お前はまぁ……相変わらずいい女だな」
クレア「っ……バカ……」
ゲイル「なんだよ。思った事口にしただけだろ」
クレア「そんなこと分かってるよ。もう、本当に変わらないんだから……っ」
ラキア「……」
リジット「心配されなくとも、ラキアさんも今に、エル様とああなりますよ。どうにもこの伯爵家の関係者は相思相愛のバカップルになる呪っ……ゴホンっ。失礼、神の祝福でもいただいているようでして」
ラキア「……呪い並みに強力なのですね」
リジット「っ、ラキアさんは物分かりがよすぎますね」
ラキア「どなたかの指導の賜物かと」
リジット「……私にはもう、何も教える事はないようです」
ラキア「過分な評価は不要です」
ゲイル「着替えてくんだろ? その……待ってっからよ」
クレア「っ……うん……」
リジット「若いですねぇ」
ラキア「……私も着替えて参ります……」
リジット「一番にエル様に見せに行ってくださいね」
ラキア「はいっ」
リジット「やはり若さとは偉大です」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
ラブラブは呪い?
結婚式です。
次回、金曜15日0時です。
よろしくお願いします◎
●新作のお知らせ●
現在、不定期で新作を投稿公開中。
『秘伝賜ります』
家族愛あり、不思議な能力ありな
現代を舞台にした
【陰陽武道】という力を持った青年のお話です。
お暇な時にどうぞ。
今後の予定作といたしまして
ティアちゃんの時代から約六百年前。
マティアス母さんを主人公にしたお話を検討中です。
豪嵐のメンバーとどうやって出会ったのか。
『赤髪の冒険者の伝説』的なものを
予定しております。
少しお待たせするかもしれませんが
是非お楽しみに◎
**********
ベリアローズとユフィアの結婚式は、サルバの規模では受け止めきれないほどの人が集まっていた。
予感はあった。だから、ひと月前から仮設で町の外にも宿屋を用意できるように計画されていたのだ。
ティアは可憐なドレス姿のままマティに乗って周辺の安全確認をしていた。
「この辺りの魔獣は、すっかり大人しくなったね」
《だって、全部マティの家来にしたからね》
「あはは。スゴイぞぉ」
《えへへ》
マティは最強の魔獣。その上につい先日まで、父親が傍について戦闘訓練ばりのことをしていたのだ。更に動きが良くなった。
しかし、ディストレアの年齢としてはまだまだひよっこ。十年にも満たないとなれば末恐ろしい。
「それじゃぁ、そろそろ会場に向かおうか。フラムも到着したみたいだから」
《誰を迎えに行ってたの?》
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《おぉ。そっかそっか。どこにいたの?》
「ウィストの復興を手伝ってるんだって」
そんな話をしながら神殿へと急いだ。
神殿では教会の者達がティアを待ちわびていたらしい。
「ティア様。お待ちしておりました」
「あ~、うん。カランタは?」
「ご案内いたします」
どことなくソワソワと落ち着かない様子の彼ら。次期伯爵の結婚式であるから気合いが入っているというわけではない。理由は間違いなく式に参加するカランタとティアのせいだ。
「あんまり気は進まないけど、今日ぐらいはね~」
「はいっ!」
鼻息が荒いのは仕方がないのだ。ずっと草葉の影から女神であるティアを見つめていることで満足していた彼らからすれば、今こうして一歩後ろを付き従って歩ける事はこの上のない幸福らしい。
彼らは、あの戦いの折に『神の王国』の者達の口車に乗ることなくフリーデル王国の民達を守った。それだけでなく、神具についての正しい認識を広め、異種族への意識を確実に変えようと精力的に動き回ってくれたのだ。
時には教皇自らも動いていたらしい。寧ろ、上の者達が積極的に国外に赴き、これを説いて回っていた。
そして、唯一異種族であるハイエルフのシェリスを擁するフリーデル王国は、先んじて異種族との交流を始めた。
魔族はもちろん、遠く離れた獣人族の国や、エルフの里にも親書を送っている。
ただ、ティアが問題だと思ったのは、この時の宣言だ。曰く。
『断罪の女神、サティア様は間違った認識を広めた者達に断罪を下された』
『サティア様はかつてこの地にあった、全ての種族が手を取り合い生きる国を望んでおられる』
確かにその宣言の内容に間違いはない。けれど、ここまで大々的に名を出されるのはどうかと思わなくもない。
そして今回、ベリアローズやフィスタークさえ知らない。というか、教会の者にしか伝えてはいないとっておきのサプライズを考えている。
これに天使であるカランタも参加するのだ。公然と、天使ですと分かるように。
「いくら頑張ってくれたお礼って話でも、こんなんで良かったの?」
彼らの願いは、女神であるサティアの姿を見ることで、同時に多くの人々に女神は近くにいるのだと知ってもらうこと。しかし、揶揄でもなく近くどころか、人として地上で生きていると知られるのはどうかと思わなくもない。
「もちろんです! 国内外問わず、多くの司教、司祭も詰めかけております」
「……え……」
それこそ、これは王族の結婚式かと誤解を受けそうだ。
「ま、まぁ、お兄様は王子様顔だし……初めから誤解されてもおかしくないって思っておくしかない……かな」
もう諦めてもらおう。おめでたい事なのだ。集まる人数が多少というか過剰でも、悪い事ではないはずだ。
「あ、あのサティア様。出番と申しますか、式の進行についてなのですが……」
「うん。最後に出れば良いから、家族の所にいればいいんでしょ?」
「あ、いえ。その……王家との話し合いから、少々演出の方を明確にしていただきたいという意見が出まして……」
「演出を明確に? それってカランタの事じゃなくて私?」
「はい!」
カランタは最初の祝福の折、天使の羽を皆の前で広げて天使の加護を与えることは決定していた。元々、式では若い司祭の青年が天使役として祝福の祈りを捧げる。これを今回は本物の天使にさせるのだが、それだけで派手な演出だといえる。
何らかの魔術でそれを見せたと言われる心配はしていない。間違いなく、あの無垢で清廉な雰囲気は普通の人には出せないのだから。
一方のティアは、最後に祭壇に立って二人の結婚を認めると宣言するだけのはず。ただ、その時はサティアの姿でと約束していた。
「二度とサティア様の名を騙る者が出ないように。ティア様がサティア様であると明確にして欲しいとのものでして……」
「んん? まぁ、隠すつもりはもうないんだけど……」
またサティアの名を騙るバカが出てくる懸念は捨てきれない。今回の件では女神サティアが表に出てしまったために、あまりに身近な神という認識が既に広まっているのだ。
ティアをサティアと信じて疑わないフリーデルの神教会はいいが、他の国ではそうはいかない。
この先、サティアの名で他国に混乱を招く恐れがないとは言えない。王や教会の懸念を受けてティアは先日こう呟いた。
『それなら、公然のものとしてもいいんだけど……?』
ならばと、本物のサティアを多くの民衆の前で確認させてしまおうという案が出た。ティアは現在伯爵令嬢だ。民の内の一人ではない。それは大変都合がいい。
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「え、それはちょっと困っ……」
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「ねぇ、私は静かに暮らしたいんだけど」
「ご冗談がお上手ですね」
「……」
後でシメてやろうかと思ったが、一瞬でやめておいた。
そんなこんなでお披露目第一弾が今回の式らしい。因みに第三弾まで用意されている。後の二つは言わずと知れた王太子とエルヴァストの結婚式だろう。
「いけませんっ、もうこんな時間とはっ。さぁ、サティア様、段取りの確認をお願いいたしますっ」
「うおお……なんてヤル気満々な……いいけどね……」
信者に押されて色々と頼まれるというこの状況を、ティアはこの瞬間はまだ、まるで他人事のように感じていた。
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舞台裏のお話。
クレア「スゴイ人だねぇ」
ゲイル「お、く、クレア……久し振りだな」
クレア「そうだねぇ。元気そうで安心したよ」
ゲイル「おう。お前はまぁ……相変わらずいい女だな」
クレア「っ……バカ……」
ゲイル「なんだよ。思った事口にしただけだろ」
クレア「そんなこと分かってるよ。もう、本当に変わらないんだから……っ」
ラキア「……」
リジット「心配されなくとも、ラキアさんも今に、エル様とああなりますよ。どうにもこの伯爵家の関係者は相思相愛のバカップルになる呪っ……ゴホンっ。失礼、神の祝福でもいただいているようでして」
ラキア「……呪い並みに強力なのですね」
リジット「っ、ラキアさんは物分かりがよすぎますね」
ラキア「どなたかの指導の賜物かと」
リジット「……私にはもう、何も教える事はないようです」
ラキア「過分な評価は不要です」
ゲイル「着替えてくんだろ? その……待ってっからよ」
クレア「っ……うん……」
リジット「若いですねぇ」
ラキア「……私も着替えて参ります……」
リジット「一番にエル様に見せに行ってくださいね」
ラキア「はいっ」
リジット「やはり若さとは偉大です」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
ラブラブは呪い?
結婚式です。
次回、金曜15日0時です。
よろしくお願いします◎
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お暇な時にどうぞ。
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