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347 子育て事情
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2016. 2. 15
********************************************
火王は、フラムが起きた事を察知したのだろう。
ティアが危惧していたフラムの寝起き。それが解決して、内心ほっとした。
《それ、ドラゴン……だよな?》
妖精王がマジマジとティアの腕の中に収まったフラムを見て尋ねる。
「うん。ちょっと事情があって、契約することになっちゃったの。ほら、フラム。ここの王様だよ。挨拶して」
《キュ……キュゥ》
《お、おう。よろしくな》
《キュ……》
人見知りなフラムは、不安そうに身を縮こませながら、頭を下げた。
これには、どう対応していいのか分からず、妖精王も困り顔だ。
《フラム。食事は》
《キュっ》
火王の声掛けに、それまで不安そうだったフラムが首を伸ばす。
そんな様子に苦笑しながら、ティアはフラムに言った。
「行っといで」
《キュゥっ》
嬉しそうに火王のもとへと羽ばたくフラム。それを見送って、ティア達も食事を始めた。
「相変わらず、あのおチビちゃんは甘えん坊みたいだねぇ」
「そうなんだよね……それも、食事は私か火王の用意した物しか食べないんだよ。拾い食いするマティも困るけど、人見知りなフラムも困る」
マティは普段から誰にでも愛想が良く、知らない人からも食べ物をもらって食べている。だが、フラムはそうはいかない。
サルバでは大丈夫だったが、さすがに小さいとはいえ、ドラゴンを連れて歩けば目立つ上に、いらぬトラブルを呼びかねない。
人見知りなフラムを人に慣らしたくても、できないのだ。
お陰で、学園に行くようになって、フラムは更に人との関わりを持てなくなっていた。
「力も強くなってきてるし、本来の体の大きさも成体と変わらなくなってるから、いざという時にパニックを起こさせない為にも、あの極度の人見知りはどうにかしたいんだよね……」
大きくなっても、まだまだ精神的には幼い子どもだ。だが、ドラゴンである以上、人よりも遥かに力を持っている。
暴れれば、その被害は少なくないだろう。
「難しい悩みだねぇ。ティアと契約してしまったんだ。人との関わりをなくす事は出来ないだろうね。魔族はドラゴンを見守るだけだし……あまり力になれなくて残念だよ」
魔族は、あくまでもドラゴンを保護しているに過ぎない。
ドラゴン達が平穏に生きられるように環境を整えたり、危害を加えられないようにする事はしているが、直接関わる事はないのだ。
「改めて見ると凄い組み合わせよね。あれ、ディストレアとドラゴンよ?なんか、姉妹みたいね」
「ふふっ、兄弟じゃなく?」
「あれは姉妹よ。フラムちゃんの方は女の子でしょ?」
「うん」
サクヤは微笑ましいものを見るように、フラムの世話を焼こうとするマティと、小さなフラムを見ていた。
しばらく全員が火王を含めた二匹の様子を見守っていると、カルツォーネが重要な事を思い出した。
「そうだ。ドラゴンの話で思い出した。妖精王。ここにいるドラゴンは引き取るからね」
《は?ん?ドラゴン?》
妖精王は意味が分からず、フラムへと一瞬目を向けてから首を傾げた。
これに、ティアが答える。
「赤のフィールドの担当の妖精さんが、ボーンドラゴンをここで育ててたの。やっぱり知らなかったんだね」
《……フィン……》
《確認して参りますっ》
眉をひそめてフィンを呼ぶ妖精王。それにすかさず反応し、フィンは飛び出して行った。
間をおかず帰ってきたフィンは、妖精王の傍らに膝を突き、頭を下げて言った。
《……間違いなくボーンドラゴンです……》
《……》
凄いのがいたぞと、顔色を悪くして報告するフィン。妖精王もびっくりだ。
《その……お願いする》
「任せておくれ。あ、あまり怒ってはダメだよ?こちらとしては、絶滅を危惧していたボーンドラゴンを保護してくれていたなんて、感謝じゃ足りないんだ。それに、今は反省中だろうしね」
上に報告義務を怠ったという事は、反省すべき所だが、シェリスの風の球に閉じ込められて反省する妖精を確認している。
これ以上は気の毒だろうとカルツォーネは思ったのだ。
《そうか……まぁ、ちょい色々と見なきゃならんだろうし、任せっきりにしてたこっちにも責任あるからな。わかった》
こう苦笑しながら答える妖精王に、ティアは頷く。
「うんうん。前より楽しかったよ。プロ意識高めで、ここの妖精さん達はいいよね」
《おう。このダンジョンの人選にはかなり力を入れたからな》
そう誇らし気に言う妖精王だった。
************************************************
舞台裏のお話。
マティ 《フラムおはよう》
フラム 《キュ~》
火王 《フラム。まずは野菜から食べて待て》
フラム 《キュ……》
マティ 《お野菜も食べなきゃダメなんだよ?》
フラム 《キュっ……》
火王 《寝起きに肉からはお腹を壊すといけない》
フラム 《キュ》
マティ 《はい、お水。最後にジュースもあるって》
フラム 《キュキュ~ゥ》
火王 《ゆっくりな》
フラム 《キュ》
火王 《そう、いい子だ》
フラム 《キュ~♪》
マティ 《ふわぁ~ぁ……眠くなってきた》
火王 《もう遅い時間だ》
マティ 《ちょっと寝てもいい?》
火王 《ああ。起きられなかったら、どうにかする》
マティ 《うん。おやすみなさ~い……む~、この氷気持ち~……》
フラム 《キュ?》
火王 《アレは気にしなくていい。フラムはもう眠くないか?》
フラム 《キュ》
火王 《なら、帰りは頼むぞ》
フラム 《キュキュっ》
マティ 《ス~……》
火王 《寝る子は育つ》
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
パパ……。
うん。忘れてましたね。
マティの首には……。
フラムちゃんは、マティほどになれとは言いませんが、もう少し他人との触れ合いができるようにしなくてはならないようです。
餌付けされるディストレアはどうなのか……。
愛想のいい子どもには、どうしても喜ばせてやりたいと思っしまいますからね。
そうして、外面を磨いていくのです。
ボーンドラゴンを引き取る話も出来ました。
未だ閉じ込められたままのペリィチェを、更に怒るのは可哀想です。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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火王は、フラムが起きた事を察知したのだろう。
ティアが危惧していたフラムの寝起き。それが解決して、内心ほっとした。
《それ、ドラゴン……だよな?》
妖精王がマジマジとティアの腕の中に収まったフラムを見て尋ねる。
「うん。ちょっと事情があって、契約することになっちゃったの。ほら、フラム。ここの王様だよ。挨拶して」
《キュ……キュゥ》
《お、おう。よろしくな》
《キュ……》
人見知りなフラムは、不安そうに身を縮こませながら、頭を下げた。
これには、どう対応していいのか分からず、妖精王も困り顔だ。
《フラム。食事は》
《キュっ》
火王の声掛けに、それまで不安そうだったフラムが首を伸ばす。
そんな様子に苦笑しながら、ティアはフラムに言った。
「行っといで」
《キュゥっ》
嬉しそうに火王のもとへと羽ばたくフラム。それを見送って、ティア達も食事を始めた。
「相変わらず、あのおチビちゃんは甘えん坊みたいだねぇ」
「そうなんだよね……それも、食事は私か火王の用意した物しか食べないんだよ。拾い食いするマティも困るけど、人見知りなフラムも困る」
マティは普段から誰にでも愛想が良く、知らない人からも食べ物をもらって食べている。だが、フラムはそうはいかない。
サルバでは大丈夫だったが、さすがに小さいとはいえ、ドラゴンを連れて歩けば目立つ上に、いらぬトラブルを呼びかねない。
人見知りなフラムを人に慣らしたくても、できないのだ。
お陰で、学園に行くようになって、フラムは更に人との関わりを持てなくなっていた。
「力も強くなってきてるし、本来の体の大きさも成体と変わらなくなってるから、いざという時にパニックを起こさせない為にも、あの極度の人見知りはどうにかしたいんだよね……」
大きくなっても、まだまだ精神的には幼い子どもだ。だが、ドラゴンである以上、人よりも遥かに力を持っている。
暴れれば、その被害は少なくないだろう。
「難しい悩みだねぇ。ティアと契約してしまったんだ。人との関わりをなくす事は出来ないだろうね。魔族はドラゴンを見守るだけだし……あまり力になれなくて残念だよ」
魔族は、あくまでもドラゴンを保護しているに過ぎない。
ドラゴン達が平穏に生きられるように環境を整えたり、危害を加えられないようにする事はしているが、直接関わる事はないのだ。
「改めて見ると凄い組み合わせよね。あれ、ディストレアとドラゴンよ?なんか、姉妹みたいね」
「ふふっ、兄弟じゃなく?」
「あれは姉妹よ。フラムちゃんの方は女の子でしょ?」
「うん」
サクヤは微笑ましいものを見るように、フラムの世話を焼こうとするマティと、小さなフラムを見ていた。
しばらく全員が火王を含めた二匹の様子を見守っていると、カルツォーネが重要な事を思い出した。
「そうだ。ドラゴンの話で思い出した。妖精王。ここにいるドラゴンは引き取るからね」
《は?ん?ドラゴン?》
妖精王は意味が分からず、フラムへと一瞬目を向けてから首を傾げた。
これに、ティアが答える。
「赤のフィールドの担当の妖精さんが、ボーンドラゴンをここで育ててたの。やっぱり知らなかったんだね」
《……フィン……》
《確認して参りますっ》
眉をひそめてフィンを呼ぶ妖精王。それにすかさず反応し、フィンは飛び出して行った。
間をおかず帰ってきたフィンは、妖精王の傍らに膝を突き、頭を下げて言った。
《……間違いなくボーンドラゴンです……》
《……》
凄いのがいたぞと、顔色を悪くして報告するフィン。妖精王もびっくりだ。
《その……お願いする》
「任せておくれ。あ、あまり怒ってはダメだよ?こちらとしては、絶滅を危惧していたボーンドラゴンを保護してくれていたなんて、感謝じゃ足りないんだ。それに、今は反省中だろうしね」
上に報告義務を怠ったという事は、反省すべき所だが、シェリスの風の球に閉じ込められて反省する妖精を確認している。
これ以上は気の毒だろうとカルツォーネは思ったのだ。
《そうか……まぁ、ちょい色々と見なきゃならんだろうし、任せっきりにしてたこっちにも責任あるからな。わかった》
こう苦笑しながら答える妖精王に、ティアは頷く。
「うんうん。前より楽しかったよ。プロ意識高めで、ここの妖精さん達はいいよね」
《おう。このダンジョンの人選にはかなり力を入れたからな》
そう誇らし気に言う妖精王だった。
************************************************
舞台裏のお話。
マティ 《フラムおはよう》
フラム 《キュ~》
火王 《フラム。まずは野菜から食べて待て》
フラム 《キュ……》
マティ 《お野菜も食べなきゃダメなんだよ?》
フラム 《キュっ……》
火王 《寝起きに肉からはお腹を壊すといけない》
フラム 《キュ》
マティ 《はい、お水。最後にジュースもあるって》
フラム 《キュキュ~ゥ》
火王 《ゆっくりな》
フラム 《キュ》
火王 《そう、いい子だ》
フラム 《キュ~♪》
マティ 《ふわぁ~ぁ……眠くなってきた》
火王 《もう遅い時間だ》
マティ 《ちょっと寝てもいい?》
火王 《ああ。起きられなかったら、どうにかする》
マティ 《うん。おやすみなさ~い……む~、この氷気持ち~……》
フラム 《キュ?》
火王 《アレは気にしなくていい。フラムはもう眠くないか?》
フラム 《キュ》
火王 《なら、帰りは頼むぞ》
フラム 《キュキュっ》
マティ 《ス~……》
火王 《寝る子は育つ》
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
パパ……。
うん。忘れてましたね。
マティの首には……。
フラムちゃんは、マティほどになれとは言いませんが、もう少し他人との触れ合いができるようにしなくてはならないようです。
餌付けされるディストレアはどうなのか……。
愛想のいい子どもには、どうしても喜ばせてやりたいと思っしまいますからね。
そうして、外面を磨いていくのです。
ボーンドラゴンを引き取る話も出来ました。
未だ閉じ込められたままのペリィチェを、更に怒るのは可哀想です。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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